定額でサービスを受けられる「サブスクリプション(以下サブスク)型サービス」の需要が高まっており、さまざまな業界で幅広くサブスクサービスが展開されています。
しかし一方で、サブスクの解約に関するトラブルが問題視されています。今回は、サブスクの解約トラブルのダークパターンを、事例とともにまとめました。
目次
実際にあった解約トラブル2例
トラブル①「無料期間中に解約したのに、カードに請求があった」
1カ月のお試し期間は無料の動画視聴サービスに会員登録をしました。無料期間中に解約手続きをしたのに、申し込みの際に番号を入力したクレジットカードへ料金の請求がありました。調べたら、動画視聴サービスと一緒に気づかずに申し込んでいた、音楽聴き放題のオプションサービスの料金だとわかりました。全く利用していないのに、料金は発生するのでしょうか?
引用元:消費者庁
購入プロセスの途中で、カートに商品を紛れ込ませるダークパターン「こっそりカゴに入れる」が該当します。このダークパターンの真の目的は、より多くの商品を買ってもらうことです。
ダークパターン事例 買い物客の同意なく「こっそりカゴに入れる」
「1カ月無料サービス」でユーザーをおびき寄せ、こっそりオプションを追加します。この場合、初期値(デフォルト)で選択されていたり、遷移するタイミングで追加されるなどユーザーに気づかれにくくなっています。
申し込んだサービスに解約漏れがあると、利用していなくても料金の支払いが発生する可能性があります。たとえ無料でも、事前に契約内容・契約条件をしっかり確認しましょう。
以下は確認事項となります。
- 希望するサービス以外のサービスも契約していないか?
- 契約期間、解約料金などが設定されていないか?
- どのような手順で解約するのか?
- 解約の受付がWebサイトや電話など特定の方法に限定されていないか?
参考元:消費者庁HP「解約トラブルを防ぐには」
トラブル②「解約を忘れていて、知らないうちに引き落とされていた」
半年前に、3カ月無料の音楽聴き放題のアプリをダウンロードした。最初は利用していたが、しばらくして利用しなくなって忘れていた。最近、クレジットカードの利用明細に月額約1000円の利用があることに気付いた。アプリの提供事業者に問い合わせたところ、自分で解約しないと3カ月の無料期間終了後は自動的に有料サービスに移行すると言われた。返金してほしい。
引用元:消費者庁
サービスの無料トライアルが終了すると同時に、何の告知もなく料金を請求されるダークパターン「強制的な継続性」に該当します。
無料トライアル終了後、自動的に有料サービスに移行する旨をサイトに明示していなかったり、「ユーザーの解約忘れ」を狙って、無料期間の終了を通知しないケースもあります。
ほとんどの企業が積極的な通知やリマインダーは行っていません。ユーザーは自分自身を守るために、以下のことを確認・相談する必要があります。
- クレジットカードの利用明細をこまめにチェックする
- 自身でリマインダー設定を行う
- 消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談する
参考元:消費者庁HP「解約トラブルを防ぐには」
解約トラブルに関する当サイトの記事4選
また、実際に企業名を挙げた解約トラブルについては、以下の記事もご参考ください。
解約方法は?画像加工アプリ「Picsart」のダークパターン
死後も引き落としは続く?複雑な解約方法とは?NHKが使用するダークパターン
解約に関する日本の法律については、以下の記事をご覧ください。
世界一のECサイト、Amazonのシニアプロダクトマネージャーとして活躍するRhiana Matthewは、サブスクについて以下のような記事を執筆しています。ご本人の許可を得て、当サイトで翻訳しました。こちらもぜひ併せてご覧ください。
サブスクリプションモデル:良いもの、悪いもの、醜いものから得た9つの教訓
まとめ
今回は、サブスクに関する解約トラブルについてまとめました。
もしも、あなたのサイトがダークパターンを取り入れていたとしたら・・・例であげた対策をユーザーにしてもらわなくてはなりません。
企業からの一方的な押し付けは、ユーザーの不満につながります。そして一度抱いた不信感は、なかなか拭えるものではありません。
サービスの改善にあたって「なぜ、ユーザーは登録したくないのか」を倫理的観点から企業全体で取り組むことが重要であり、それが必然的にエシカル消費(※)の促進につながるでしょう。
(※)地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のこと
■この記事は書籍『ザ・ダークパターン』を参考に作成しています。(参考文献:仲野佑希著 『ザ・ダークパターン』翔泳社 2022年8月)