日常に潜むダークパターンを回避するには?

ダークパターンを行う企業の思惑とは

イギリスの著名なウェブデザイナーであるハリー・ブリヌル氏が2010年に提唱したダークパターンとは、ユーザーに意図しない、あるいは潜在的に有害な決定をさせることを強要したり、誘導したり、欺いたりすることで、オンラインサービスに利益をもたらすユーザーインターフェース(UI)やデザインのことです。

なぜ多くの企業がユーザーを騙してまでも、ダークパターンを取り入れるのか?

その理由はいたってシンプル。短期的でも大きな利益に繋がるからです。

では、ユーザーが企業の思惑に罠にはまることなく、ダークパターンを回避するにはどうすればよいのでしょうか。多くの人が知っている大手企業が実際に採用しているダークパターンの例を挙げ、解説していきます。

日常生活の一部となったECサイト

スマートフォンの普及やコロナ禍により、性別・年齢問わずECサイトの利用率が8割を超え、私たちの日常生活の一部となっています。

出典:Glossom(株):「ソーシャルコマースに関する定点調査2021」より

そんな私たちの生活に浸透するECサイトですが、日経新聞の調査によると、国内の主要サイトの6割でダークパターンが確認されています。しかし、ダークパターンは不透明な部分が多く、明らかに違法と判断することが難しいため、企業が意図せずダークパターンを取り入れてしまうことも少なくありません。

大手企業が使用したダークパターン

多くの人が認識する世界的な企業で、実際に使用されたダークパターンの事例を紹介します。

Adobe(ダークパターン事例:強制的な継続性

PhotoshopやIllustratorといったソフトウェアを開発・販売しているAdobeがダークパターンを利用してユーザーをだまし『7日間無料体験後』知らないうちに、年間契約をさせている。と話題になりました。

この件に関してDeceptivePatterns

(日本語訳)

要約しましょう:

1. 年間総コストが隠蔽されていた
2. 50% キャンセル無料が非表示になりました。
3. クリックラップ契約テキストは販売テキストよりもはるかに小さかった (例: 「£0.00」、「無料トライアルを開始」)
4. キャンセル条件がわかりにくかった

これは許されるべきでしょうか?

と指摘しました。

※「強制的な継続性」に関してはこちらでも詳しく書いています。

Facebook(ダークパターン事例:プライバシー・ザッカーリング

 

Facebook社は、米国の政治キャンペーンに関与するデータ分析会社であるケンブリッジ・アナリティカ社に対して、同社の「性格診断アプリ」(GSRApp)をダウンロードしたユーザーや、そのユーザーの「友達」からプロフィールデータや「いいね」ボタンの履歴データなどを無断で収集させていました。

この問題に関して、ケンブリッジ・アナリティカの元CEOとアプリの開発者は「個人を特定できるデータは収集していない」と虚偽の説明をした上で、収集した個人情報に基づいて性格スコアを生成するアルゴリズムを開発。

そのアルゴリズムを用いて、選挙の有権者データと照合して広告のターゲットとするなど、個人情報の悪用が問題となりました。

Facebook社は2019年7月24日(現地時間)、個人情報の不正使用に対する50億ドル(約5400億円)を支払うことで米連邦取引委員会(FTC)と合意。FTCが同日発表したところによれば、これは米国政府が課した罰金としては過去最大のものです。

参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/05592/

※「プライバシー・ザッカーリング」に関してはこちらでも詳しく書いています。

Amazon(ダークパターン事例:ゴキブリホイホイ

「AmazonはAmazonプライム会員の解約を不当に妨げており、法律に違反している」との声明を発表しました。これを受けて、欧米の16の消費者団体がAmazonに対して訴訟を起こしました。

ノルウェー消費者協議会が実施した(PDFファイル)調査によると、ノルウェーの消費者の4人に1人が「会員制有料サービスの解約方法は分かりにくい」と答えているそうです。

6回も画面が遷移するAmazonプライムの解約手続きについて、ノルウェー消費者協議会は「Amazonプライムの解約を試みた多くの消費者が複雑なナビゲーションメニュー・紛らわしい表現・分かりにくい選択肢・余計な提案など、数々のハードルに直面しています」と指摘。必要以上に複雑で分かりにくい手続きを踏ませるダークパターンに該当していると非難しています。

引用元: GIGAZINE

※「ゴキブリホイホイ」に関してはこちらでも詳しく書いています。

例として挙げたこれらの企業は氷山の一角であり、誰もが一度は耳にしたことがあるような企業がダークパターンを取り入れ、問題となりました。

ユーザーが身を守るために出来ること

しかし、上記でも挙げたようにダークパターンは不透明な部分が多く、企業側も意図せずダークパターンを取り入れてしまうのが現状です。そうした中、ユーザーはどのように身を守ればよいのでしょうか?

まずはダークパターンを理解する

日常生活の中でダークパターンを意識してみてください。

・スーパーでの買い物で、まとめ売りの1パック価格と、単体での重さの価格が並び、価格比較を意図的に難しくしてあるような価格(プライスカード)を掲示を見た。

・通販サイトで会員登録をしたとき、はじめからメルマガ購読のチェックボックスにチェックがはいっていた。

・サブスクリプションのトライアル終了後、通知もなく年会費がひかれていた。

 

このような例は、多くの人が思い当たるのではないかと予測します。

ユーザーは、これらを回避するにはどうしたらいいのか。

それはまずダークパターンに対して認知することです。「ダークパターンとはこういうものだ」と日常生活で意識することにより、冷静な判断力を養い、衝動的な買い物を避けることが出来ます。

ダークパターンを体験する海外ゲーム

その「ダークパターンとはこういうものだ」を実際に体験できるゲーム「Terms and Conditions Apply」があります。一見簡単そうに見えますが、「いいえ」を選択しようとも、裏をかいた問題も多くダークパターンを『楽しみながら』体験することができます。

参考:海外メディア「The Guardian」より

企業がユーザーとの信頼関係を築くために

不満を持ったユーザーの96%は、あなたに対して何も言わずに去る「サイレントクレーマー」だといわれており、サイレントクレーマーを放置すると、口コミでクレームが書き込まれたり、SNSで拡散されたりする可能性もでてきます。(参考:創業手帳

そこで、企業として取り組むべきことは「安心して買い物ができる」「おすすめしたくなる」といった信頼度を高める仕組み作りです。

信頼度を高め、成功を収めた企業の例として世界1位の有料会員数2億2,184万人を誇る「NETFLIX 」があげられます。

・解約忘れがないよう無料期間が終了する3日前にリマインドメールが届く。

・解約手続きも非常にシンプルで、たったの2ステップで解約可能。

 

このような仕組みも、下記のように有料会員数が急増している理由のひとつです。

参考:ネットフリックスの有料会員数の推移のグラフより

NETFLIXのように、ユーザーに安心感信頼(トラスト)を与えるサイトを構築することが、成功への近道となるでしょう。

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