ダークパターンで起こった定期購入トラブル

folderオブストラクション(妨害), スニーキング(こっそり)
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ダークパターンとは、ユーザーに意図せず、もしくは潜在的に有害な決定をさせることを強制したり、誘導したりすることで、オンラインサービスに利益をもたらすUI(ユーザーインターフェース)やデザインのことです。

ユーザーを 〝欺く 〟ダークパターンを導入する企業へのトラブルやクレームは後を絶ちません。ユーザー自身を守るための解決策を、実際に起こった定期購入トラブルの事例を交えて解説します。

世界と日本のダークパターンに対する温度差

米カリフォルニア州は3月15日に消費者プライバシー法(CCPA)を見直し、解約手続きなどのダークパターンを新たに禁止。ワシントン州でもダークパターンによる利用者の同意取得を規制する法案が提出された。

(引用元:日経新聞 消費者操る「ダークパターン」 国内サイト6割該当 2021年3月26日 より)

このように海外ではダークパターンに対する規制強化の動きが加速していますが、現在の日本ではダークパターンそのものは違法ではないグレーゾーンと考えられています。日経新聞の調査の調査によると、国内の主要サイトの6割でダークパターンが確認されており、企業のダークパターンに対する問題意識への低さが懸念されています。

定期購入における国内トラブル

「お試し」のつもりが定期購入に

健康食品や化粧品の広告を見て、通常の価格よりも安く購入したつもりが、複数回購入する必要がある定期購入契約だったというケースが増えています。

また、「お試し」や「1回だけ」と思って購入したつもりが実は定期購入契約で、注文していないのに勝手に2回目が送られてきたり、キャンセルができなかったり、電話がつながらなかったりするなどの事例も少なくありません。(ダークパターン事例:「ゴキブリホイホイ」)

【事例】 事業者に電話がつながらず解約できない

インターネットで検索して見つけた化粧品のクリームを注文しました。1回目の注文は約2000円、2回目の注文は約4000円で、いつでもキャンセルできると記載されていました。1回目の商品を受け取って使用した後、もう必要ないと思い、事業者にキャンセルの電話をしました。しかし、1日に数回、数日間かけても、電話は混み合っていて繋がらない。次の商品発送の10日前までにキャンセルの電話をしなければならないことはわかっているのですが、いつまでたってもつながりません。どうしたらいいでしょうか?

気付くことが困難な小さく書かれた更新の注意書き

定期サイトで多くみられたトラブルのひとつの事例として、うっかり見落としてしまうほど小さな文字で書かれた「契約の更新は、お客様が継続しないことを選択しない限り、自動的に更新されます」といった更新に関する注意書きです。ユーザーはそういった注意書きに気づきにくく、その結果トラブルが発生し、多くのクレームが寄せられました。(ダークパターン事例「強制的な継続性」)

①「初回購入限定100円」「初回50%オフ」など、魅力的なオファーを提示するが、サイトのフッターに契約期間の縛りなどの条件が小さく表示されている。

②表示に気付かないユーザーに購入意思の確認を行うことなく、断りなく商品が送られてくる。お試し月の後、6ヶ月分の商品が一方的に届けられ高額な請求がされるなどの事例も。

申し込む前に注意すること

定期購入にまつわるトラブルの多くは、契約条件の確認不足または、販売サイトが明確でないことが原因です。販売サイトで商品が定期購入であることが掲載されていれば、ユーザーが契約したことを意識していなくても、契約条件に同意したとみなされます。

満足いかなかったからと、商品を送り返したり、代金を支払わなかったりすることはできません。申し込む際には商品や契約条件、そしてサイトの表示をよく確認する必要があります。

□1回限りの購入か? 継続的な購入か?
□継続的な購入の場合、回数が定められているか?
□支払う総額はいくらか?
□解約や返品が可能か? 
□解約や返品ができる場合はどんな条件か?

引用元:政府広報オンライン

ユーザー(消費者)の声により法律の改正へ

総務省統計局によると、2人以上の世帯でインターネットを利用して買い物をする割合は、新コロナの緊急事態宣言が発令された昨年4月以降、上昇しています。同年5月には50.5%の世帯がインターネットを利用しており、2002年の調査開始以来、初めて50%を超えました。

こうした中、全国の消費生活センターに寄せられたネットショッピングに関する相談件数は、273,271件で、前年より57,284件増加し、過去5年間で最も多い件数となりました。

引用元:産経新聞

これらのユーザーの声をうけ、令和4年6月1日より詐欺的な定期購入商法について厳罰化されるようになりました。

〇 定期購⼊でないと誤認させる表⽰等に対する直罰化
〇 上記の表⽰によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設
〇 通信販売の契約の解除の妨害に当たる⾏為の禁⽌
〇 上記の誤認させる表⽰や解除の妨害等を適格消費者団体の差⽌請求の対象に追加

 

引用元:消費者庁「特定商取引法・預託法等の改正について」

企業がユーザーのために行うべきこと

ダークパターンを強行する企業は、ユーザーが不信感を抱き、トラブルが発生する可能性を常に懸念しなければなりません。そのためにも不満の声を受け止め、ユーザーの気持ちを考慮し「自分だったらどうされたいか」を個々で考え、企業全体としてモラルの向上に努める必要があります。

日本ではようやく動き出したダークパターンへの規制も、現在の日本の法律ではすべてのダークパターンが規制されるわけではありません。グレーゾーンをいいことにダークパターンを継続する企業は、いつかはユーザーの不満がクレームとなり、イメージダウンにつながるだけでなく、結果対応コストも高め、企業にとって不利益にしかならないのです。

目先の利益だけではなく、満足度を重視した組織作り。そして信頼(トラスト)のあるサイトを構築することが結果的にCVR(コンバージョン率)を高め、利益に繋がることでしょう。

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