【プロスペクト理論】緊急性が顧客心理に与える影響とダークパターン

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ユーザーに切迫感を与えることは、コンバージョン率を高めるために効果的です。

例えばメールの件名に

【本日で〇%引き終了】【〇円引きは今日まで】

といった表現を使うことで、商品やサービスの購入を促すことができます。

緊急性を伝えることでユーザーの購買意欲を高めることは正当なマーケティング戦術かもしれませんが、そこにひとつでも“嘘”がある限り、それはダークパターンとなるのです。

今回は、緊急性を高めてユーザーを騙すダークパターン(アージェンシー)の事例と、ユーザーの心理的状況について解説します。

緊急性をアピールするダークパターン

無限ループ?繰り返されるカウントダウンタイマー

カウントダウンタイマーは、時間が経つにつれて商品の価値を高めるためによく使われますが、セール価格というものは存在せず、タイマーがリセットされると再びカウントが開始される“偽のカウントダウンタイマー”が設定されているケースがあります。

訳:@Fableticsのお得な期間限定セール。ちょっと待って… #darkpatternです。カウントダウン タイマーは、ページを更新するたびにリセットされます。

いつまでも閉店しない「閉店セール」

閉店セールという表現は、緊急性を高めるためによく使われます。しかし、実際にはいつまでも閉店せず長期間にわたって“偽の閉店セール”を行う企業もあります。

これは景品表示法に違反する可能性があるため注意が必要です。

また、この手法はダークパターンの事例でいうおとり商法に該当します。詳しくは下記をご参考になさってください。

ダークパターン事例 意図しない行為を実行させる「おとり商法」

なぜ、これらのような緊急性をアピールするダークパターンに騙されてしまうのでしょうか?

それは「損をしたくない」と思うあまり、焦って判断力を誤ってしまうプロスペクト理論が働いているためです。

「損をしたくない」プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、「損をしたくない」と思うあまり、普段しないような非合理的な行動をとってしまうという理論です。

1979年に行動経済学者であるダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏によって提唱されました。

最も分かりやすい例えとして、ジャンボ宝くじがあげられます。

ジャンボ宝くじでわかるプロスペクト理論

宝くじ公式サイトによると、宝くじを過去に1度でも購入したことのある購入経験者の割合は日本の総人口の74.5%を占めているそうです。

7割以上の人が一攫千金を狙って宝くじを買っていることがわかったところで、1等当選確率は果たしてどのくらいの確率なのでしょうか?

宝くじの当選確率を例える例として、「雷に打たれる確率」があげられます。

ジャンボ宝くじの当たる確率は、1年に1度、雷の被害に遭うのとほぼ同じ確率です。
1994年(平成6年)から2003年(平成15年)の間に、約13.8人が落雷の被害に遭っています。日本の人口が1億2,289万8,000人とすると、その確率は約0.00001122%です。ジャンボ宝くじの当たる確率1,000万分の1(0.00001%)は、雷の被害に遭うのとほぼ同じだと考えるとわかりやすいでしょう。

引用元:四国銀行「宝くじの当選確率はどのくらい? 当たりやすくする秘訣などを徹底解説!」

広く知られている雷に打たれる確率の例えですが、数字で見てみると当たる確率は0.00001%と非常に低くかつ非合理的。しかし、以下のような

「発売は、クリスマスイブの12月24日(金)まで!」「あと5日!」

といったコピーに惹かれて、消費者は思わず購入してしまうのです。

まとめ

ジャンボ宝くじは、プロスペクト理論を上手く活用して利益を上げるだけでなく、大きな経済効果をもたらしています。

一方で、フェイクのカウントダウンタイマーや閉店セールのような緊急性を高めてユーザーに不利な選択をさせるダークパターンは、企業のブランドイメージに悪影響を与えるだけでなく、ユーザーからの信頼を失う原因にもなりかねません。

ダークパターンから脱却することで、ユーザーからの信頼性を高め、最終的に顧客ロイヤルティを向上させることができます。

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競合サイトと差をつけるためにも、ダークパターンを使用せずにユーザーの信頼を獲得する方法を学びましょう。

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