“ダークパターン”が大衆化する未来はそう遠くない?

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ダークパターンとは、潜在的に有害な決定をさせることをユーザーに強要したり、誘導したり、欺いたりするデザインのことです。ユーザーエクスペリエンス(UX)の専門家Harry Brignulが2010年に名付け12の種類に分類しました。

ダークパターンは消費者の心理的行動と深い関わりがあります。

●「今あなたと同じ商品を見ている人がいます」などという情報を与える(社会的証明バイアス)

●「残りわずか!」という希少価値を示す情報を与える(希少性バイアス)

●「〇円から〇%オフ!」という基準となる数字と比較させる(アンカリング効果)

もちろんこれらは正当なマーケティングですが、ひとつでも嘘があれば、それはダークパターンとなりうるのです。参考:Bringing Dark Patterns to Light

日本では馴染みのない言葉かもしれませんが、実は私たちの生活と密接に関係しています。あなたは次のような経験をしたことはありませんか?

  • 「メールマガジンを受け取る」のチェックボックスに既にチェックがついていた。
  • 何の告知もなく、勝手に年会費が引き落とされていた。
  • ネットショッピングの最終確認画面で、初めて別途送料がかかることを知らされた。

 

恐らく心当たりのある方は多いのではないでしょうか。これらはすべてダークパターンの一例です。このような悪質なダークパターンは消費者庁でも問題視され、中長期的な課題として検討されています。また、今では新聞やメディアでも取り上げられるようになり、徐々に一般大衆にも認知され始めました。

今後は社会的に「脱ダークパターン」の動きが加速し、多くのサイトが競い合って信頼性の高いサイトを作るようになることが予想されます。

今回は、世界のダークパターンに対する規制の紹介や身近に潜むダークパターンの事例紹介。そして、大衆化した未来を予想しています。信頼を高めるサイト作りの参考になれば幸いです。

ダークパターン規制が進む海外

海外では以下のようにダークパターンへの規制が進んでいます。

EU(欧州連合)

EUはGoogleなどの巨大IT企業に対し、消費者保護のため違法なコンテンツの対策強化を義務付けました。その対策のひとつに「ユーザーに個人情報の入力をけしかけるダークパターン」の禁止も含まれています。違反した企業には、世界売上高の最大6%の罰金。そして、繰り返し違反した場合にはEU内での活動を禁止することが決定しました。参考:EU、巨大IT規制法案に合意 違法コンテンツ対策強化

アメリカ合衆国カリフォルニア州

カリフォルニア州はCCPA(消費者プライバシー法)に世界で初めてダークパターンを禁止する条項を加えました。消費者を欺くダークパターンを使用した企業に対し、30日間の猶予が与えられたのち、従わない場合は不正競争防止法に基づき、民事罰の対象となる可能性があります。参考:Dark Patterns Come to Light in California Data Privacy Laws

スタンフォード大学プライヴァシー・スペシャリストJennifer Kingはこのことについて次のように語っています。

「米国の法令に“ダークパターン”という言葉が登場するのは今回が初めてだが、これが最後になることはないだろう。この用語は今後ますます多用されるでしょう。」参考:オンラインでの行動を操る「ダークパターン」、その規制が加速する

国内のダークパターン事例

海外の状況から、日本でも今後ますます多用されるであろう言葉“ダークパターン”は、冒頭でもあげたように、私たちの生活と密接に関係しています。「サブスクの解約をわかりやすく」改正消費者契約法とは?にもあげている通り、日本でもダークパターンに関連する法律は既に施行されています。

次に国内大手企業の例を紹介します。

大手寿司チェーン店の事例

大手寿司チェーン店は、日によっては9割以上の店舗で販売していない商品を、期間限定でCMや広告を出す“おとり広告”をしていたとして、消費者庁は運営会社に対して不当景品類及び不当表示防止法に基づき、措置命令を出しました。

画像元:YouTube日テレNEWSより

これはダークパターン事例おとり商法にあたり、ネットニュースやワイドショーなどでも取り上げられました。おとり商法についてはこちらもご参照ください。

大手ファッション通販サイト

国内の大手ファッション通販サイトでは、購入時に「ZOZOプラチナムに登録する」という項目があり、最初からチェックがついている状態になっていました。さらに確認画面でも、お試し期間の後に課金が発生することを伝えることなく、あとになって消費者から「勝手にお金が引き落とされた」との苦情が殺到したのです。参考:国内サイトの6割が使っている!?「ユーザーを騙す」ダークパターン

しかし、これらの例は氷山の一角であり、世界的な大手企業さえもダークパターンを取り入れている現状から、どんな企業でもダークパターンを無意識に取り入れてしまう可能性があることは確かです。

ダークパターンが日常の言葉に・・・

ソーシャルコマースに関する定点調査2021によると、ECサイトの利用率は性別・年齢問わず8割を超え、私たちの生活には欠かせないものとなっています。

日経新聞の調査によると、国内の主要サイトの6割でダークパターンが確認されており、はじめにあげた消費者庁の検討や、海外での規制強化などから考えても、今後もダークパターンと私たちが遭遇することは至極当然なことです。

そのうち「それってダークパターンじゃない?」と日常会話で使われ、ワイドショーなどで専門家が解説。そうなると流行語大賞にノミネートされる可能性だって0ではありません。そしてダークパターンを使用した企業はTwitterや2ちゃんねるで拡散される・・・。そんな未来がくるかもしれません。

信頼性を高めるサイトつくりを

ダークパターンを使わずとも、信頼性を高めてCVRを高める方法はあります。例えばMod Girl Marketing創設者兼CEO:Mandy McEwen8 Ways to Build Trust Through Your Website and Increase Conversionsの中で、信頼を築き、コンバージョン率を上げる8つのポイントを以下のように述べています。翻訳記事はこちら

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