登録者140万人超チャンネルに収益停止 釣りタイトル動画でYouTubeが措置

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AI生成の偽予告で収益化していた人気チャンネルが対象に

動画プラットフォーム「YouTube」が、AIを使って制作された偽の映画予告動画を投稿しているチャンネルに対して、広告収入の受け取りを停止する措置を取りました。

対象となったのは、「Screen Culture」や「KH Studio Trailers」といった、合計登録者数が200万人を超える人気チャンネルです。その中でも「Screen Culture」は登録者数約140万人を誇り、多くのユーザーに視聴されていました。

これらのチャンネルでは、あたかも実在するかのような「マーベルの続編」や「ハリー・ポッターの新作予告」など、本物に見せかけたAI生成の“釣りタイトル”映像を多く公開していました。

創作目的でも「誤解を招く」と判断

チャンネル運営者は、「創造的な可能性を探求している」と弁明していますが、YouTube側は、ユーザーを意図的に誤認させるコンテンツは規約違反であると判断し、収益化を停止しました。

なお、動画自体は削除されておらず、今も視聴可能な状態ですが、広告収入を得る手段は封じられています。異議申し立ても可能とはいえ、その結果がどうなるかは不透明です。

釣りタイトル(クリックベイト)とは?

今回の問題に関連してよく使われる言葉が、「釣りタイトル(クリックベイト)」です。これは、実際の内容以上に大げさなタイトルや画像で、視聴者の興味を引きクリックさせる手法を指します。

■あわせて読みたい⇒クリックベイトの技術:クリックベイトの7つの良い使い方ー必読!

今回収益化を停止された「Screen Culture」や「KH Studio Trailers」などのチャンネルでは、AIを活用して、実在しない映画の予告編をあたかも本物のように編集し、「マーベルの新作が出る」「ハリー・ポッター続編が公開される」といった誤認を誘う動画を投稿していました。

たとえば、「ダニエル・ラドクリフが出演するハリー・ポッターと呪いの子の予告」や「ヘンリー・カヴィルがジェームズ・ボンドを演じる予告」など、実際には存在しない作品をあたかも本物のように仕立てた内容が多く、これがYouTubeの「誤解を招くコンテンツの収益化禁止」ポリシーに違反していると判断されました。

このようなやり方は、再生数や広告収入を稼ぐ手段として使われがちですが、ユーザーの信頼を損なう危険性が高く、結果として収益化停止という厳しい措置に至ったのです。

ダークパターンとの関係とは?

このような「誤認を前提とした誘導」は、日本では「釣りタイトル」、欧米では「クリックベイト」と呼ばれ、ダークパターンの一種と見ることができます。

ダークパターンとは、もともとユーザーを不利な行動に誘導するような設計手法のことで、近年はWEBサイトだけでなく、SNS投稿や動画コンテンツにも適用されるようになっています。

今回のYouTubeの措置は、まさに映像分野でのダークパターン的手法に対する規制の強化といえます。

クリックベイトとは?その意味と危険性を解説。

しかし実はそんなYoutubeもダークパターンを使っているという指摘をUXライターのAllen氏は指摘しています。Youtube広告とダークパターンに関する記事はこちらをお読みください。

YouTubeが 「広告をスキップ」させないように行っていることとは?

中小企業にとっての影響と注意点

一見するとYouTube上のクリエイターの話に思えるかもしれませんが、中小企業のWEBサイトや広告運用にも無関係ではありません

  • 「割引は本日限り」と見せかけて実は常時開催
  • 購入ボタンのすぐ近くに目立たないキャンセル不可のチェック項目
  • 釣り気味の広告文やサムネイルを使ったSNS投稿

これらはすべて、誤認を前提とした「釣り」や「誘導」に該当する可能性があり、今後は広告審査や検索エンジンの評価にも影響する恐れがあります

特にGoogleやYouTubeなどのプラットフォームは、AI検出技術を用いてダークパターン的なコンテンツやUIを自動検出・制限し始めています。

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企業がとるべき対応

中小企業にとって、今後は次のような対応が重要になります。

  • コンテンツや広告の文言が誤解を与えていないかを再確認する
  • AIや自動生成ツールで作成した素材は、内容の正確性と透明性をチェックする
  • YouTubeやGoogle広告のポリシー改定に常に目を向け、早期対応を心がける

このような小さな対応の積み重ねが、長期的な信頼構築とトラブル回避につながります。「自社は関係ない」と思わず、一度コンテンツ全体を見直すタイミングかもしれません。

参考:GADGETS NOW:YouTube to channels that run fake trailers: No revenue

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