Amazonが12億円の罰金に!消費者を欺くダークパターンの事例

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あなたは、Amazonなどのネットショップやアプリを利用しているときに、以下のように感じたことはありませんか?

「使いにくいな」
「解約方法が分かりにくい」

それは、消費者の購買意欲を高めたり、欺いたりするために巧妙に設計された「ダークパターン」と呼ばれるデザインの影響かもしれません。

実は、ポーランド政府がAmazonに対して、約12億円の罰金を科すことを発表しました。悪質なダークパターンを用いて消費者の信頼を裏切ったとのことです。

参考:Gigazine:ついにAmazonが悪質な「ダークパターン」で消費者をだましたとして12億円の罰金を科される

ダークパターンは、消費者の信頼を失い、企業イメージを損ねる可能性があります。長い目でみると、ブランド力が低下し、業績が悪化する恐れがあるでしょう。

本記事では、今回ニュースになったAmazonの悪質なダークパターンについて詳しく解説。さらに、Amazonが使用しているダークパターンの事例や口コミを解説します。

最後まで読むことで、なぜ、ダークパターンが問題視されているのか理解が深まるでしょう。ネットショップやアプリなどのサービスを使うユーザーだけでなく、企業側も自分事と捉えて確認してみてくださいね。

消費者を騙すAmazonの悪質なダークパターンとは?

冒頭でも少し触れましたが、2024年3月27日、ポーランド政府がAmazonに対し、日本円にして約12億円の罰金を科すことを発表しました。Amazonは、ダークパターンで消費者を欺く行為を行っています。

ポーランド政府によると、商品を送りもしないのに注文を受注し代金を支払わせるという、悪質なものでした。どのように消費者を騙したのか、分かりやすいように例を出すと、以下の通りです。

・ある商品を注文し代金を支払う
・注文確認のメールが届く
・注文が届かず、キャンセルされるが代金は引き落とされている

この問題は、商品の受領時ではなく、商品の発送通知時に売買契約を設定していることが原因です。この情報は、消費者に対して適切に伝えられておらず、購入手続きの最後のページに小さく灰色のフォントで書かれているだけでした。

これは、重要な情報は隠されていたり、ほとんど目立たないように表示されたりする「強制的な継続性」というダークパターンに該当します。詳細は、下記の記事をお読みください。

ダークパターン事例 静かに強行される「強制的な継続性」

その他にも、ダークパターンで消費者をAmazonプライムに誘導したことで、アメリカ連邦取引委員会から提訴されたこともあります。

今回のポーランド政府の罰金は、Amazonが消費者の信頼を損なう行為を続けていることへの警告となっているでしょう。

Amazonの悪質なダークパターンの4つの事例

Amazonは、上記の他にも、消費者を欺く悪質なダークパターンを使っています。ここでは、Amazonでよくあるダークパターンの事例を4つ解説します。

事例①目立たない場所に書かれた契約文

Amazonは、重要な情報を意図的に目立たない場所に配置することがあります。

具体的にいうと、Amazonプライムの無料体験の契約文が、登録ページではなく目立たない場所に記載されている事例です。こちらは、前章で紹介した例と同じく「強制的な継続性」というダークパターンに該当します。

こちらは、Amazonプライムの無料体験期間が終了すると自動的に有料版へ移行したと感じさせられます。下記のみん評の口コミをご覧ください。無料期間が終了し、意図せず有料版へ移行したという口コミが見受けられます。

この仕組みは、明記されていないわけではありません。下記の通り記載されています。

しかし、こちらの説明はAmazonのヘルプ&カスタマーサービスのページに記載されており、目立たない場所に書かれているのが問題です。ユーザー自ら契約文を見にいかないと、記載を見逃がしてしまいます。

みん評の口コミにも書かれているように、重要な情報を目立たない場所に記載したり、小さく分かりにくく記載したりすることは、消費者の信用を失ってしまうでしょう。

事例②Amazonプライムへの悪質な誘導

Amazonプライム会員への誘導も問題視されています。こちらは、自分で無料体験に申し込んだ覚えがないのに、Amazonプライム会員になり料金を引き落とされている事例です。みん評の口コミでは、以下のように述べられています。

「無料のお急ぎ便」や「お届け日時指定便」を選んで買い物を行うことで、気づかないうちにAmazonプライム会員の無料体験を受けてしまうことが原因です。これは、紛らわしい情報で消費者を誘導するダークパターンが使われています。

下記の画像のように、買い物をする際に「お急ぎ便、お届け日時指定便を無料体験」の記載を大きく記載し、Amazonプライム無料体験についてという文言は小さくあるものの、無料体験に入会する記載については書かれていません。

ここでチェックを入れて次に進むと、Amazonプライム会員の登録画面に進んでしまいます。悪質な誘導は、消費者が離れてしまう原因になってしまうでしょう。

Amazonの悪質な誘導について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

Amazonを米FTCが提訴】Amazonプライムへの登録の強要とキャンセル妨害を非難

事例③解約手続きが困難

解約しようとしたがなかなか解約ページにたどりつけず苦労した経験をした人も多いのではないでしょうか。Amazonは、解約手続きが難しいことも問題になっています。

SNSでも以下のような評判を集めています。

Amazonは、「解約する」というボタンがなく、解約できるページを探すのに苦労します。さらに、6回にわたり画面を遷移しなければなりません。

必要以上に手続きを複雑化し、混乱させるダークパターンを使用しています。これは「ゴキブリホイホイ」と呼ばれるダークパターンの手法です。詳しくは下記の記事をお読みください。

ダークパターン事例 サービスの退会が難しい「ゴキブリホイホイ」

実際に、2021年1月にノルウェーの政府系消費者機関が、Amazonプライム会員の解約手続きが不当に阻止しており法律に接触しているとし、起訴を起こしました。

消費者の信頼を裏切るだけでなく、企業としての信頼を失うことになりかねないでしょう。

参考:Gigazine:「Amazonプライムは解約しづらすぎる」と消費者団体がAmazonを起訴

事例④焦燥感を利用した「残り〇点」表示

ECサイトなどで「残り〇点」の表示を見て焦って購入したという経験はないでしょうか?Amazonでは、「在庫残り1点」という表示で焦らせて購入を促すダークパターンが使われています。これは、「希少性(スケアシティ)」と呼ばれる手法です。

日常に潜むダークパターン「希少性(スケアシティ)」とは?

NHKクローズアップ現代が取り上げた実験データによると、30人中17人が「在庫残り1点」と表示されたパソコンを選択しています。

この中には、もっと安い同じ型のパソコンもあったのにも関わらず、半数以上の人が「在庫残り1点」の商品を選んだそうです。消費者は知らず知らずのうちに損をしている恐れがあるでしょう。

企業側として、希少性の原理を用いたマーケティングを活用することで、売上アップにつながります。しかし在庫が残り少ないなど噓の表示であったり、長すぎるセール期間を設けたりすることは、不信感を抱かせてしまいます。

消費者の信頼を失わないように冷静な判断を行いましょう。

参考:NHKクローズアップ現代:知らないうちに損してる!?ネットショッピングの“落とし穴”

 

消費者の信頼を裏切らないための3つの方法

ダークパターンは、消費者の期待や信頼を裏切り、企業イメージの悪化を招いてしまいます。

株式会社クロス・マーケティングが実施した調査によると、ダークパターンのWebサイトに接触した時に「時間の無駄」や「腹が立つ・いらいらする」と感じる人が4割。約3人に1人は「もうその会社のサービスは使いたくないと思う」と回答しています。

この結果から、企業側は長期的に見て、消費者の信頼を低下させることはもちろん、業績を悪化させるリスクになることも考えられるでしょう。

消費者からの信頼を裏切らないためにも、以下の3つを確認してみてください。

消費者が誤解しない表現を心がける

消費者に分かりにくい表現はさけ、重要な情報ほど目につきやすい場所に記載するようにしてください。特に、送料やサブスクリプション・会員登録などの契約事項などの情報は明瞭でなくてはなりません。

なぜなら、前章の事例でもあったように、無理やり登録させられたと勘違いさせ、企業に対して不信感を抱かせてしまうからです。

不信感を募らせた消費者は、今後、利用しなくなる可能性も考えられます。下記の項目を確認してください。

・送料を分かりやすく表示されているか
・標品の比較はどちらがお得か一目見て判断できるか
・割引と同様にサブスクリプションや会員登録へ誘導する表現になっていないか
・重要な契約事項は、売買契約前に必ず確認できるようになっているか

「事例②Amazonプライムへの悪質な誘導」で挙げた事例のように、あいまいな表現を避けて、誰が見ても分かりやすいサイト作りを心掛けましょう。

不要なサービスや商品を押し付けない

消費者にとってそれは本当に必要なサービス・商品なのかチェックするようにしましょう。

それは、必ずしも消費者にとって必要なサービス・商品とは限らないからです。

分かりやすい例を引用すると、月額プランが必要ないにもかかわらず、最初から月額プランにチェックが入っているデザインです。

目先の利益に捕らわれる気持ちがなくても、「このサービス合った方が便利だよね」という親切心から不要なサービスにチェックが入っている場合もあります。消費者が不要な選択を見落としてしまうと、「申し込みの覚えがない」とクレームにつながることも考えられます。必ず、下記の項目を確認しましょう。

・サービス・商品購入時に自動的に選択されないか
・月額プランの料金など明瞭に記入し、消費者が選択できるか

 

参考:NHKクローズアップ現代:知らないうちに損してる!?ネットショッピングの“落とし穴”

すぐに解約できるようにする

過度な引き留めを行わず、すぐに解約できるような設計にしておきましょう。

継続を望んでいない消費者に引き留めを行っても、クレームにつながるだけでなく今後の企業のイメージが低下してしまいます。

近年、誰でもSNSなどで悪い口コミを気軽に発信できるようになりました。カスタマーサポート対応のコストだけでなく、悪評や風評被害の火消しにも時間とコストが取られてしまうのです。

解約するために、何ページにもわたり遷移させることはやめましょう。消費者の信頼を裏切らないためには、解約手続きに必要な情報入力だけができるようなサイトを作ることが重要です。

まとめ

Amazonのような大手ネットショップであっても、ダークパターンを利用し消費者を欺くことがあります。

日本では、ダークパターンに関する法的な規制は整ってはいません。しかし、ダークパターンを用いることは、消費者の期待や信頼を裏切り、そのサービスから離れてしまう原因になり得ます。

大切なのは倫理的なスタンスに基づいた、消費者の視点を考えたデザインです。安全で快適なサービスを提供することが、企業の長期的な利益を追求することにつながるでしょう。

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