これまでユーザーとしてダークパターンを回避する方法や、企業がダークパターンを使用するデメリットなどをお伝えしてきました。 ダークパターンから脱却し、よりクリーンなサイトを運営しユーザーからの信頼を得るためには、ダークパターンを意識的に使用しないための対策が必要です。
目次
なぜ脱ダークパターンを目指すのか
ダークパターンは短期間での売上アップに繋がりやすく、企業としても取り入れたい手法の一つかもしれません。 しかし、ダークパターンは、ユーザーが不利な行動を誘導するように設計されたデザインのため、ダークパターンを使用することでユーザーは不満を高め、すぐに離れてしまう可能性があります。
ダークパターンを使用した場合のマイナスの影響
- 売れる商品にも関わらず、売れる(利益をもたらす)機会が失われる
- 騙されたユーザーは返品を求める可能性が高く、返品の配送料や払い戻しの費用がかかる
- ユーザーからカスタマーサポートへの電話が増えることで、多くのリソースをクレーム処理にさく必要が生まれる
人々の信頼を失わせるもの
- ユーザーがSNSで不満を言う可能性が生じ、数字では測れないほどブランドの評価が下がる
- だまされたユーザーは常連にならず、クチコミされることもないため、新規顧客の獲得に苦労する
ユーザーへもダークパターンの認識が広がっているため、誠実なサイト運営が求められています。
詳細は、「消費者を騙すダークパターンとは?」を丸ごと解説 をご覧ください。
脱ダークパターン解剖!12のチェックリスト
チェックボックスがデフォルトでオフになっている
ニュースレターへの登録や、個人情報の収集への同意などで使用しない。
画像引用元:特定電子メールの送信等に関するガイドライン-総務省
ダークパターン事例 言葉巧みに選択を操作する「ひっかけ質問 」
購入意思のあるもの(クリックしたもの)だけカートへ入っている
有料オプションをセットにしていたり、付属品のようにこっそり追加しない。
ダークパターン事例 買い物客の同意なく「こっそりカゴに入れる」
簡単に登録ができ、キャンセルや退会方法も明確に記載している
退会ページが長くないか。画面遷移数が多くないか。
ダークパターン事例 サービスの退会が難しい「ゴキブリホイホイ」
個人情報が守られたサイトになっている
無断でデータを収集しない。
ダークパターン事例 より多くの個人情報を公開させるプライバシー・ザッカーリング
商品を比較する際は「どちらがお得か」を明確にしている
ベースとなる単位が異なることで料金の比較を意図的に難しくしていていないか。
※この表示は悪い例 ダークパターン事例 賢い買い物を妨害する「価格比較の阻止」
相手に選ばせたい選択肢もニュートラルなデザインである
相手に選ばせたい選択肢を、目立つ色、大きなサイズのボタンで誘導していないか。
ダークパターン事例 誘導的なデザインで選択を操作する「視覚的干渉」
購入のプロセスで事前に、送料や手数料を明記している
決済画面で始めて送料や手数料を上乗せさせていないか。
ダークパターン事例 最後に予想外の料金が発生する「隠れたコスト」
意図した動作を誘うデザインになっている
上記の画像のように、Xボタンは「閉じる」を意味するのでなく、ユーザーの意図と逆の動きをするインターフェースにしていないか。
詳細は、ダークパターン事例 意図しない行為を実行させる「おとり商法」 をお読みください。
ユーザーへオファーをする際、毅然と断れるような選択肢を用意している
画像引用元:KDDI reswarch atelier「そのサービス、退会方法がよくわかりません!―ダーク・パターンとその対策―」上部の図がクリーンな選択肢。
ダークパターン事例 羞恥心を植え付ける「コンファームシェイミング」
一目見て広告だと分かるデザインを使用している
サイトのコンテンツに偽装してクリックを誘う広告を作成していないか。
ダークパターン事例 コンテンツにカモフラージュする「偽装広告」
「サービスの解約忘れ」の対策のため、積極的な通知を行っている
※この表示は悪い例 ダークパターン事例 静かに強行される「強制的な継続性」
アドレス帳のデーターや個人情報の採取は、ユーザーの同意を得る設定になっている
※この表示は悪い例 ダークパターン事例 すべての連絡先へスパムを送信する「友達スパム」
ダークパターンの規制、顧客からの信頼を第一に
日本国内において明確なダークパターン規制は存在しませんが、倫理的な問題として注目され警鐘が鳴らされています。
ユーザーが商品やサービスを利用する際の購入プロセスや品質、購入後の使いやすさ、カスタマーサポートなど、商品やサービスに対する満足度を重視し、より使いやすく魅力的にするための指針をもつことが大切です。
ユーザー目線での商品やサービスを提供することで、ユーザーの満足度が高まり、サービスへの定着率が上がる、すなわち長期的な利益につながります。そのためにも、脱ダークパターンを目指し、意図的にダークパターンを避ける対策をしましょう。
参考:日本アイ・ビー・エム株式会社「魅力的で使いやすい商品開発のためのユーザーセンタード・デザイン」