意図的に迷わせる画面設計、法の規制対象に
2025年、カリフォルニア州プライバシー保護機関(CPPA)は、自動車メーカー「HONDA(ホンダ)」とファッションブランド「Todd Snyder」に対し、消費者のプライバシー保護を定めた法律(CCPA)に反していたとして、正式な処分を下しました。
注目すべきは、両社のウェブサイトやアプリに見られた「ダークパターン」的なUI設計が、法的に問題視されたことです。
これは、「ユーザーに不利な選択をさせるよう誘導する設計」が、ついに処罰対象になったことを意味します。今後、中小企業にも無関係ではない流れが加速しそうです。
CPPAが指摘した「ダークパターン」事例
1. HONDA(ホンダ):「許可は1クリック、拒否は3ステップ」
- クッキーバナーで「Confirm My Choices(すべて許可)」はワンクリックで完了。
- しかし、拒否するには3つのカテゴリを手動でオフにする必要があり、「許可だけが簡単に選べる、不公平な設計」とされました。
2. Todd Snyder:身分証の画像を要求
- オプトアウト(情報提供停止)の申請時に、顔写真付きの身分証の画像提出を求める仕様。
- CPPAはこれを「過剰な情報入力を求める設計」と認定。
3. オプトアウトが機能不全
- Todd Snyderのサイトでは、一時期40日間もオプトアウトが機能していなかった。
- UI上は手続きできるように見えて、実際にはできない状態であり、「ユーザーの選択を妨げる設計」と判断されました。
なぜ今、「ダークパターン」が問題視されているのか?
CPPAは2024年に発表したガイドライン「Avoiding Dark Patterns」で、次のようなUIを違法の可能性がある設計と明記しています:
- オプトイン(許可)は簡単、オプトアウト(拒否)は複雑
- 不必要にクリック数や手間を増やす
- 拒否ボタンを見えにくくする、曖昧に表現する
いずれも、「ユーザーが自らの意思で選べないようにするUI」=ダークパターンとして、摘発の対象になり得ます。
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中小企業が直ちに確認すべきポイント
GPC(Global Privacy Control)に対応しているか?
- GPCは、ユーザーが「自分の情報を売らないで」とブラウザから通知する仕組み。
- 企業はこれを尊重し、データの販売や共有を停止する義務があります。
クッキーの「拒否」ボタンはあるか?
- 「Accept All(すべて許可)」しかない設計は不公平な選択肢として問題になり得ます。
本人確認で過剰な情報を求めていないか?
- メールだけで手続き可能な場面で、住所や免許証画像まで要求していないかを再チェック。
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Webサイトに関わる人なら知っておくべき
ダークパターン最新情報
ユーザーからのクレームや法令違反を招くダークパターンを回避しよう
まとめ:UIは「見た目」ではなく「法令遵守」の問題へ
これまで「使いやすさ」「マーケティング効果」として見過ごされていたUI設計が、今や法令違反のリスクを伴う重要領域になっています。
HONDA(ホンダ)やTodd Snyderの事例は、大企業だけの問題ではありません。中小企業こそ、ユーザー目線と法令順守を両立させた設計が信頼構築のカギになります。
出典:
カリフォルニア州プライバシー保護機関が取り締まりを強化:最近の執行事例とその傾向
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