ダークパターン事例 ユーザーの選択を妨げる「しつこい要求」

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ダークパターン「しつこい要求(ナギング)」とは?

イギリスのUXの専門家ハリー・ブリヌル氏によって、2010年に「ダークパターン」という言葉は生まれました。

ダークパターンとは、ユーザーが思っているよりも多くの時間、お金を使わせたり、または注意を払うように設計されたデザインであり、ディセプティブ(欺瞞的)デザイン、またはディセプティブパターンとも呼ばれています。

ビジネスにとって都合が良いようにユーザーに繰り返し要求する

しつこい要求(Naggingとは、ユーザーにとって役に立たないであろう行動に促され、しつこく中断されるダークパターンの一例です。

何度も繰り返し不要な通知や位置追跡をオンにするなどの要求が提示され、結果としてユーザーはイライラしたり、不快に感じたりする可能性が高まります。

参考元:Dark commercial patterns

何度も現れる通知やポップアップ広告

具体的な例として、AppleはiOSのアップデート後、Apple Payへの加入を勧める通知を繰り返し行いました。この通知は、ユーザーがキャンセルを選択した後でも、一定の期間が経過すると再び表示されました。

(日本語訳)

Phoneのセットアップを完了する
Apple ID、Siri、Touch ID、Apple Pay などの機能を使って iPhone を最大限に活用しましょう。

→Apple Payを設定する

「いいえ」の選択肢が存在しない

アプリやウェブサイト、またはGoogleなどでも、ユーザーに「はい」を選択するよう促す通知が表示されることがありますが、中には「いいえ」の選択肢が存在しない場合があります。

ユーザーは通知を受け入れたくなくても、選択肢が制限されているため、結局は不要な通知を受け入れざるを得ません。自身の選択肢が制約されていることに不快感を抱き、通知を回避するためにアプリやウェブサイトの利用を避けるでしょう。

参考元:https://twitter.com/aiiuua/status/1267841073277054976

小さすぎて押せない閉じるボタン

幾度も現れる広告に対して、あまりにも小さな「閉じる✖ボタン」が配置されていることで、閉じることが難しい場合や、スキップする手段が制限されていることがあります。

ユーザーはストレスを感じるだけでなく、誤って興味のない広告をクリックしてしまうかもしれません。その結果、利用を避ける可能性が高まります。

参考元:https://twitter.com/maho_nszm/status/1049661878463488000

閉じるボタンについて他の事例については、ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。

一発で押せる?ユーザーに嫌われる広告の“閉じるボタン”

消し方は?ユーザーができる回避策

ユーザーはしつこい要求から逃れるために、以下の回避策をとることができます。

ブラウザ拡張機能の利用

広告ブロッカーやポップアップブロッカーなどのブラウザ拡張機能を使用して、不要なポップアップ広告をブロックできます。広告の非表示に加えて、ユーザーはプライバシーを保護するためにCookieによるトラッキングを防げます。この方法は、iPhoneやAndroidといったスマートフォンでも有効です。

カスタム設定の確認

アプリやウェブサイトを使用する際、設定メニューでカスタムオプションを確認し、不要な通知や自動再生の設定を無効にします。

フィードバックの提供

アプリやウェブサイトの開発者にフィードバックを提供して、改善を促しましょう。

しつこさはユーザー離れの原因に

一般社団法人日本インタラクティブ広告協会が実施した「2019年インターネット広告に関するユーザー意識調査」によると、インターネット広告に対して「しつこい」「うっとうしい」といったネガティブなイメージを持つユーザーは約30%に上り、さらに広告の表示方法に対して嫌悪感を抱いているユーザーが54%もいることが明らかになりました。

出典:2019年インターネット広告に関するユーザー意識調査

結論として、「しつこい要求(ナギング)」はユーザー離れの大きな原因となり、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼすダークパターンです。

デザイナーや開発者は利益を生み出すために、日々努力と試行錯誤を続けています。しかし、ストレスや不快感を与えるようなデザインは、いずれ大きな信頼を失いかねません。

経営者はこの重要な要素を把握し、ユーザビリティ向上に向けた取り組みをサポートすることが重要です。ダークパターンへの理解と対策は、経営者にとってビジネス戦略の重要なツールとなるでしょう。

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