(この記事は7分で読むことができます。)
今回は、エシカルデザインとは何か、エシカルデザインが製品や会社にもたらすメリット、そして、あなたの役割としてどのように貢献できるかを考えていきます。
目次
存在感を高めるダークパターン
ここ数年で、ダークパターンを使ってユーザーを操作することが、より一般的になってきました。
ダークパターンとは、ユーザーを騙してやりたくもないことをさせるためにデザインされたユーザーインターフェースのことで、その目的はビジネスに利益をもたらすことです。これは、Eコマースやソーシャルメディアでは一般的な手法であり、今やほとんどのユーザーが予期していることです。
この習慣がCookieの同意フォームのように単純で、一見無害に見えるものに使われると、ユーザーの信頼は損なわれ、結果として大きな脱落率と反発を引き起こします。
2018年にドイツのGDPR移行により、ウェブサイトはデータの利用についてユーザーに同意を求めることが義務付けられました。サイトが第三者からの収入を制限することは、非倫理的なデザイン行為につながるからです。新しいウェブサイトにアクセスしたとき、このようなメッセージが表示されたことはありませんか?
ダークパターンを使用したCookie同意書の例
ここでいうダークパターンとは、主要の(より目立つ)ボタンの破壊的な使い方のことです。残念ながらこれはまだ良い例です。一部のウェブサイトでは、ユーザーを別のページに誘導して、必要のないCookieを個別に選択解除できるようにすることで、すべてに同意することをより魅力的にしているのです。
製品開発者*として、企業目標へのプレッシャーに屈するのは簡単ですが、このような時代(COVID-19)だからこそ、私たちはお互いに気を配る必要があるのではないでしょうか。そのためには、自分自身や同僚にエシカルデザインについて、またそのメリットについて教育するというスタンスをとることから始めましょう。
*ここでいう製品開発者とは、UX/UIデザイナー、プロダクトオーナー、バックエンド/フロントエンド開発者など、デジタル製品を作るプロセスに携わるすべての人を指します。
・・・
では、エシカルデザインとは何でしょうか。
エシカルデザインとは、人権、人間の努力、人間の経験を尊重することに基づいたデザイン手法で、マズローの欲求段階説から派生した概念です。
人権について
エシカル(論理的)な製品設計の基本は、人権の尊重にあります。つまり、市民の自由を尊重・保護し、不平等を解消することを目的とした製品でなければなりません。
人間の努力
次の段階として、機能性、利便性、信頼性など、人間の努力を尊重した製品でなければなりません。
ヒューマンエクスペリエンス
ユーザーが直感的に操作でき、かつ楽しいと感じることができれば、製品はその階層の頂点に到達していると言えます。これらのポイントをすべて満たしている製品や技術は、倫理的、あるいは「良い」と判断されます。
人間中心設計(HCD)で開発された製品では、ピラミッドの3つのセクションが相互に関連していることがよくあります。それらは、使いやすさ、持続可能性、プライバシー、ユーザーの介入に反映されます。このフレームワークは、製品開発の各段階において、私たちの仕事の道徳性を評価するために使用することができます。
つまり、エシカルな製品とはユーザーに対して包括的で誠実な製品であると言えます。
・・・
エシカルデザインがもたらすビジネス上のメリット
エシカル製品がもたらす最も直接的な効果は、ユーザーの誠実性の向上です。
ユーザーは、自分たちが公平に扱われ、騙されていないと感じれば、すぐにその製品を安心して使うことができます。これは、優れたNPSの向上や長期的なビジネス全体の発展にもつながる傾向があります。
…「世界で最も倫理的な企業」に選ばれた企業は、大型株セクターを5年間で14.4%、3年間で10.5%アウトパフォームしています。
– Being Ethical Has Its Perks: World’s Most Ethical Companies, Industry Week
Gianmarco Baldini、Maarten Botterman、Ricardo Neisse、Mariachiara Tallacchiniによる研究論文「Ethical Design in Internet of Things」から言い換えると、エシカルデザインは、以下を含む多くの利点をもたらすということです。
- 法的な観点からのビジネスリスクの低減
- お客様との長期的な関係構築
- お客様から自由に信頼され、データへのアクセスを拒否されることのない社会の実現
非エシカル(非論理的)デザインによる影響も重要です。私たちを取り巻くデジタル環境はめまぐるしく変化しています。特に「キャンセル・カルチャー」においては、数え切れないほどの技術レポーターが待機し、マイクロブログやブログ、ニュース特集を書き、過失や損害を示す話に飛びつく可能性を高めています。
そして、それらを大袈裟に公に発表するのです。
すべてのケースで、対抗措置が必要なわけではありません。しかし、是正措置は、最初からエシカル製品を作るよりもコストや問題点を高め、時間がかかる傾向があります。
・・・
自分の役割として、何ができるのか?
製品開発チームやクライアントのほぼすべての役割において、あなたは製品の倫理に影響を与える立場にあります。そこで、いくつかの役割を取り上げ、それぞれの立場でエシカルデザインをサポートするために、具体的に何ができるかを説明します。
UX/UI Designers
UX/UIデザイナーは、製品の見た目や使い勝手に責任を持つ仕事です。ほとんどのデザイナーが日常的に行っていることとして、ユーザーの思考パターンを「ハック」しています。正しく行われれば、それはおそらく製品の成功につながるでしょう。
もし「ハッキング」が、ユーザーを製品に夢中にさせたり、ユーザーの個人情報を「偶然」教えてしまうようなことに使われたら、それは倫理的な一線を越えてしまうことになります。
UX/UIデザイナーは、ダークパターンに精通することで、既存の製品でそれを特定したり、将来の製品でそれを回避でき、エシカルデザインのサポートが可能になります。もし、既存の製品でダークパターンを発見した場合、プロダクトオーナーやプロダクトマネージャーに注意喚起する必要があります。なぜそのようなパターンがユーザーにとってだけでなく、ビジネスにとっても有害なのかを説明することで、その重要性を理解し、問題を軽減する方法を提案することができます。
開発者
開発者は、どのデータがどのように保存されるかについて責任を負います。また、製品に使用されている技術も管理することができます。したがって、開発者はさまざまな方法で製品の倫理性を確保する力を持っています。例えば、ユーザーのデータを最も安全な方法で保存する、データマイニングを許可しない、特定のオープンソースの倫理的技術を選択する、などです。
長年にわたり、「コンピューティングプロフェッショナルの誓い」のような誓約や行動規範を通じてコーディング倫理を約束するバージョンがいくつか存在しています。このような誓いを立てることは、スクラムチームにとって、トピックに対する意識を研ぎ澄ますだけでなく、楽しい絆を深める活動にもなるかもしれません。
プロダクトオーナー
ロードマップを作成する上で、チーム内で最も責任と決定権を持つのはプロダクトオーナーです。たとえチームの仕事がトレードオフ(ビジネス対ユーザー)を意識させることであったとしても、プロダクトオーナーがエシカルデザインを理解することは非常に重要なことです。
彼らがその役割としてできることは、利害関係者と期待管理を通じて、ビジネスニーズが製品の倫理より優先されないようにすることです。新しい製品や機能について話し合うときに、倫理的なニーズのヒエラルキーを頭の片隅に置いておくだけで、世界が大きく変わる可能性があります。
・・・
結論
この記事は、製品開発に携わるすべての人に、考える材料を提供することを目的としています。どのような立場であっても、自分自身と周囲の人々にエシカルデザインの重要性を再認識してもらうことが重要です。しかし、みんながやっているからと言って、自分もやらなければならないわけではありません。
あなたは何か新しいアイデアをお持ちですか?あなたの考えや、会社でどのようにエシカルデザインを取り入れているかなど、ぜひLinkedInやコメント欄でお聞かせください。(^^)
・・・
参考文献
このトピックに興味を持たれた方は、エシカルデザインに関する私の意見を形成するのに役立った記事、ビデオ、書籍へのリンクをいくつかご覧ください。
- White Hat UX — Book
- What Is Ethical Design? Here’s How To Become A More Considerate Designer — Article
- Developer Ethics: Is There a Code of Ethics for Programmers? And if So, What Is It? — Article
- What is Ethical Design? — Video
- The principles of ethical design (and how to use them) — Article
- Digital Design Ethics — Pledge for Designers
- The Role of Design Ethics in UX — Video
【引用文献】
Harry Brignull“Deceptive Design”