多くのオンラインサービスが、無料トライアルを通じて有料サービスの魅力をアピールしています。この手法は新たな顧客を獲得し、商品やサービスの価値を理解してもらうために欠かせません。
しかし、なかには無料トライアルが機能していない。さらに、ユーザーが無料トライアルを解約することができないダークパターンを使用しているケースがあります。
目次
ダークパターンを指摘されたMuseScore(ミューズスコア)
楽譜作成ソフトウェア「MuseScore」は、無料で楽器や音符を選んで配置し、自分の楽譜を作成できる便利なツールとして、音楽愛好者やプロの作曲家、楽器演奏者など幅広く支持されています。
有料版のMuseScore PROへ加入することで、著作権で保護された楽曲もダウンロードが可能となるため、無料トライアルに登録するユーザーは少なくありません。
しかし、この過程で意図的に有料版へ誘導しているとの報告が挙がっています。
無料トライアルの解約忘れを狙ったダークパターン
MuseScoreでは、無料トライアルを開始した直後、アカウントの準備ができるまで1時間ほど待たなければなりません。
この間はキャンセルができないとMuseScoreサイトにも記載されていますが、実際には登録してからアカウントに関するすべての機能を、すぐに使い始めることが可能でした。
(訳)アカウント設定中は解約できませんのでご注意ください。
アカウントの準備が整うまで1時間ほどお待ちください。
参考画像:https://gigazine.net/news/20230815-musescore-dark-patterns/
トロント大学で社会言語学などを研究しているTim Gadanidisはこの件を
ユーザーがトライアルを開始し、1 つまたは 2 つのスコアをダウンロードし、トライアル期間の終了時に自動的に年間料金が請求されるまで忘れることを望んでいます。
と述べ、意図的な解約忘れを狙っていると指摘しています。
動画配信サービスWOWOWオンデマンドの無料トライアル
MuseScoreの解約忘れを狙ったダークパターンに限らず、無料トライアルの有用性を疑問視するユーザーの声もあがっています。
映画や見逃し配信を視聴できる動画配信サービス「wowow」は、大変お得な1カ月間の無料トライアルを提供していますが、SNS上では
「無料トライアル対象外の動画ばかりで意味がない」
との意見も見受けられました。
画像参考:wowowサイト
無料トライアル申込み時の注意点
1カ月の無料トライアルページの申し込みボタンの上部には
「無料トライアル対象外番組を視聴したい方もこちらからお申込みいただけます」
と記載されていますが、対象外の番組を視聴するために手続きを行うと、すぐに月額2,530円(税込)が発生する仕組みとなっており、ユーザーの解釈によっては注意が必要です。
参考画像:wowowヘルプセンター
無料トライアルの解約トラブルについては、下記サイトもあわせてご覧ください。
まとめ
無料トライアルが機能していない問題や解約に伴うダークパターンについて解説しました。
一部のストリーミングサービスでは、無料トライアルへの登録は簡単でも、解約はいくつもの手続きを踏まなければ解約できないように設計されているものも存在しています。
これによって意図的に解約を困難にし、ユーザーを疲弊させて有料サービスへ誘導しているのです。
無料トライアルは、ユーザーにとって非常に魅力的なサービスですが、申し込む前に解約時期やサービスの詳細について確認し、すぐに解約できない可能性も考慮に入れて検討することが必要です。
その対策が、ユーザーがダークパターンから身を守るための最初の手段となるでしょう。