知らないと危険！EC事業者のための特定商取引法違反 最新事例と対策

ECサイトの販売ページ、しっかりチェックしていますか？

「特定商取引法に違反しているつもりはなかったのに、突然行政指導を受けた…」そんな事態を避けるため、消費者庁の最新動向を押さえておくことが重要です。

EC業界では、意図せず法律違反となるケースが後を絶ちません。特に、誇大広告や解約手続きの不透明さ、最終確認画面の不備などは、多くの事業者が見落としがちです。「うちのサイトは大丈夫？」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、消費者庁が公表した最新の違反事例をもとに、どこに注意すべきかを詳しく解説します。この記事を読めば、特商法違反を避けるためのポイントが明確になり、適正な販売戦略を構築するヒントが得られます。

知らなかったでは済まされないのが法律。今すぐ確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

1. 特定商取引法違反の取り締まり強化とダークパターンの影響

消費者庁は、2025年1月、特定商取引法の通信販売分野における最新の執行状況を公表しました。

近年、問題視されているのが、ダークパターンです。ダークパターンとは、消費者を意図せず不利な選択へ誘導するデザインや手法のこと。こうした手法が特商法違反として相次いで指摘され、行政処分の件数も増加しています。

ダークパターンとは？

▶︎違反事例を今すぐチェック → 【最新の違反事例3選】

この取り締まりの強化は、消費者が安心して通信販売を利用できる環境を整えることが目的です。規制が厳しくなる中、EC事業者や通販ビジネスに求められる対応も変化しています。

本章では、 消費者庁が規制を強化する背景と、事業者が直面するリスクについて解説します。特商法違反がもたらす影響を理解し、適正な運営のためのポイントを押さえていきましょう。

参考：消費者庁公表「特定商取引法の通信販売分野における執行状況について」

規制強化の背景：EC市場の拡大とダークパターン

EC市場の拡大に伴い、消費者の苦情やトラブルが増加しています。特に、ダークパターンによる分かりにくい定期便契約や解約手続き、また誇大な宣伝が消費者の誤認を招き、大きな問題となっています。

その為、近年では、解約の難しさを意図的に設計する解約妨害や、実際の効果よりも誇張した表現で消費者を誘導する誇大広告による行政処分の件数が増加しており、監視が強まっています。

デジタル班の設置で何が変わる？

消費者庁は2023年9月にデジタル班を設置し、AI技術やデータ分析を活用した監視体制の強化を進めています。これにより、従来の調査方法では把握しづらかったオンライン上の誇大広告や不当な販売手法 をより精度高く検出し、違反事業者の特定が迅速化しました。

たとえば、最終確認画面での情報不開示や解約手続きの煩雑化といった違反は、AIによるパターン分析を用いた監視の対象となります。これにより、EC事業者へのチェックが厳しくなり、違反リスクが高まる可能性があります。

特商法違反がECサイトに与える影響

特定商取引法に違反すると、企業の信頼性が大きく損なわれ、ビジネスの継続に支障をきたす可能性があります。業務停止命令や罰則の強化により、ビジネス継続が困難になるほか、消費者の不信感増大により、ブランド価値が大きく低下します。また、ECプラットフォームや決済会社の利用条件が変更される可能性もあります。

これらのリスクを回避するためにも、EC事業者は単なる法令遵守ではなく、透明性のある運営を心がけることが不可欠です。EC市場の急拡大に伴い、特定商取引法の取り締まりが強化されています。特に、デジタル班の設置により、ECサイトの販売手法はこれまで以上に厳しくチェックされるようになりました。

違反を未然に防ぐためには、消費者との信頼を損なうダークパターンを排除し、透明性の高い運営を徹底することが求められます。

 

2. 消費者庁が指摘した通信販売の３つの違反事例

消費者庁が公表した最新の執行状況では、EC事業者の特定商取引法違反が相次いで指摘されました。特に、消費者を意図せず不利益な選択へ導くダークパターンの手法として 、不透明な解約手続きや事実と異なる契約条件が問題視されています。また、誇大広告も厳しく取り締まられています。

令和6年5月〜12月の8カ月間で、行政処分7件、行政指導3件が実施され、事業者は、業務停止命令・業務禁止命令を含む処分を受けました。具体的にどのような事例が問題となったのか、消費者庁の発表をもとに詳しく見ていきましょう。

事例1：「1回だけ」実は定期購入？不透明な最終画面

消費者庁の発表では、商品・サービス購入にあたっての最終確認画面で、定期購入の解除条件や詳細を表示していないことが問題になっています。

さらに、記載されていても、定期購入の詳細が小さな文字で記載されていたり、色を薄くして目立たなくすることで、消費者が重要な情報を見落としやすくなることもあります。これはダークパターンの「視覚的干渉」にあたります。

また、無料トライアル終了後に、実際には告知なく定期購入へ移行する手法もあり、これはダークパターンの典型例である「強制的な継続性」に該当します。消費者が気づかないうちに長期契約へと誘導されるのが特徴です。

別に騙されてないもん
通販で初回解約できないなんてさ
2回目購入後に解約とかさ
２千円で済むと思たのに次回受け取って1万円払うとか…
聞いてねーし｡･ﾟ･(இдஇ`｡)･ﾟ･｡

— 冷子🍓 (@spREIKO) April 27, 2023

注意⚠️注意⚠️

最近ニュースにもなっているけど、
ネット通販で初回のみお試しOK、
返金解約可能…っていうの
一度だけの注文入力の後に また画面が変わり、確認ボタン押すと
定期購入を申し込んだ事になるサイトが多々あるよ

私も先日 やってしまいました💦

みんな気をつけてね！

— ちな (@China295195661) November 15, 2023

画像引用元：消費者庁公表「通信販売業者【 株式会社ＶＥＲＩＦＹ 】に対する行政処分について」

契約内容の透明性を高め、消費者が意図しない契約を結ばないよう、企業側の適切な表示と説明が不可欠です。

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事例2：「解約できない！？」複雑すぎる手続き

消費者庁は、解約手続きを意図的に分かりにくくする手法を厳しく監視しています。最近のケースでは、ECサイト上で、簡単に解約できると表示しながら、実際には複数の手続きを経ないと解約できない設計になっていました。

この手法は、典型的なダークパターンの「ゴキブリホイホイ」に該当します。登録時は簡単でも、解約を困難にすることで、消費者を意図せず契約に縛りつける手法です。

このような設計は、消費者の不満を高め、ブランド価値の低下につながります。企業は、解約手続きをシンプルにし、ユーザーがストレスなく解約できる仕組みを整えることが求められます。

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ダークパターン事例 サービスの退会が難しい「ゴキブリホイホイ」

 

隣のマダムから「化粧品通販の定期購入したけど解約できない！」とヘルプ要請。電話は繋がらないし送られた書類見たけど解約方法がまともに書いてなくてネットで検索してようやく解約できた。
でもこの会社の詐欺まがいの投稿、出るわ出るわ…。

— 石塚ワカメ (@WakameEnk) February 7, 2023

事例3：「ぬるだけでシワが消える？」誇大広告の問題点

消費者庁は、科学的根拠のない誇大広告を厳しく取り締まっています。最近の事例では、美容クリームの広告で「塗るだけでシワが完全消滅！」といった表現が使用されました。しかし、こうした表現は、実際の効果を誤認させる可能性があり、特定商取引法の優良誤認表示に該当すると判断されました。

ブランドの信頼を損なうだけでなく、処分対象となるリスクがあるため、広告表現の適正化と科学的根拠の明示を徹底することが求められます。

画像引用元：消費者庁公表資料「通信販売業者【株式会社SUNSIRI】に対する行政処分について」

今回取り上げた事例は、消費者庁が実際に執行した行政処分に基づくものです。特に、申し込み時には定期契約であることが目立たず、後から解約しようとすると複雑な手続きが必要になる、といったケースが多く報告されています。

このような手法は、今後さらに厳しく取り締まられることが予想されます。重要なのは 「知らなかった」では済まされない ということ。違反と判断されれば、事業の継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。

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3. 違反しないために！EC事業者が今すぐ見直すべき3つのポイント

消費者庁の取り締まりが強化される中、EC事業者はどのように対応すればいいのでしょうか？

無意識のうちにダークパターンに陥り違反と判断されれば、 業務停止命令や行政指導を受け、事業継続が難しくなるリスク もあります。しかし、適切な対策を講じることで、こうしたリスクを回避することが可能です。

本章では、 特定商取引法違反を防ぐために、今すぐ見直すべき3つのポイント を解説します

ポイント1：最終確認画面の適正化

特定商取引法の改正 により、最終確認画面での表示義務が強化されました。これにより、価格・支払い条件・解約方法などを明確に示すことが必須となっています。

トラブルを防ぐために、次の点を明確にすることが不可欠です。

 

不透明な契約条件は、消費者の信頼を損ね、結果的に企業のブランド価値を低下させるリスクがあります。

ポイント2：解約手続きを明確にする

定期購入の解約が複雑すぎると、消費者の不満が高まり、行政指導や業務停止命令の対象となる可能性があります。最近の違反事例では、「解約ボタンが見つからない」「複数回の確認が必要」など、解約手続きを意図的に難しくする手法が問題視されました。

消費者がスムーズに解約できる環境を整えるために、下記の対策を講じましょう。

 

消費者庁のガイドラインでは、解約が申し込みより難しいのは不適切とされています。

ユーザーが迷わず手続きできるよう、分かりやすい解約導線を設けることは、ダークパターンを排除する重要なポイントです。

ポイント3：誇大広告の禁止

広告においては、消費者に誤解を与える表現を避け、科学的根拠を明示することが求められます。特に、「塗るだけでシワが消える」「たった1週間で10kg減」といった過剰な効果をうたう表現は、厳しく規制されます。ブランドの信頼性を守り、法令違反を防ぐためには、適切な広告表現を意識することが重要です。

具体的な対策は下記のとおりです。

 

近年、体験談を誤認させる広告も問題視され、消費者庁の規制が強まっています。

これらの対策を講じることで、消費者の信頼を得るだけでなく、 行政処分のリスクを回避し、長期的な事業運営が可能になります。

4. 信頼されるビジネスを目指して

EC市場が拡大する一方で、消費者の目も厳しくなっています。特に、ダークパターンが問題視され、規制の強化が進んでいます。特定商取引法違反が明るみに出ると、企業の信用は一瞬で失われ、事業継続が難しくなることもあります。

そのため、単に法律を守るだけでなく、信頼されるサイト作りを意識することが不可欠です。

透明性のある情報提供

消費者が安心して購入できる環境を整えるためには、情報の透明性が欠かせません。ダークパターンの手法としても問題視される、誤解を招く広告表現や、意図的にわかりにくい契約条件は、特商法違反につながるリスクがあるだけでなく、企業のブランド価値を損なう要因となります。

商品やサービスの情報は正確かつ明確に伝え、価格や契約内容、解約条件は一目で分かる場所に表示することが大切です。消費者が納得して購入できる仕組みを整えることで、信頼関係が築かれ、結果として事業の安定にもつながります。

ユーザー目線のサイト設計

ECサイトの使いやすさは、顧客満足度やリピーター獲得に直結します。消費者が不信感を抱くような不透明な販売手法は、ブランドの価値を損ない、結果として事業の成長を妨げる要因になります。こうした手法を避け、消費者がストレスなく購入・解約できるサイト設計を心がけることが重要です。

解約手続きをシンプルにし、ワンクリックでアクセスできるようにすることで、消費者の不安を解消できます。また、定期購入の条件や支払い方法は、最終確認画面で明確に示し、誤解の余地をなくすことも求められます。契約内容をわかりやすく伝えることで、消費者の期待と実際のサービスの実態のズレを防ぎ、信頼を獲得できます。

法律対応だけでなく、長期的なブランド戦略を

特定商取引法の遵守は、企業の最低限の義務ですが、それ以上に消費者からの信頼を得ることが、長期的なブランド価値につながります。一時的な売上向上ではなく、継続的に選ばれるECサイトを目指すことが、今後の成功のカギとなります。

特定商取引法の違反事例からも分かるように、ECサイト運営において、透明性と誠実な対応は、消費者の信頼を得るために欠かせません。誇大広告や不明瞭な契約条件、分かりにくい解約手続きなど、いずれもユーザーの不信感を招く要因となり、結果としてブランド価値の低下につながるリスクがあります。ダークパターンに頼らず、透明性と誠実さを重視した運営を行うことが重要です。

つまり、ただ規制に対応するだけでなく、適切な対策を講じることで、ユーザーが安心して利用できるサイトを構築できます。そしてそうすることで、結果として、長期的に選ばれるサイトへと成長させることが可能です。

ダークパターンを回避し、ユーザーにとってストレスのない購買体験を提供することが、結果として売上やブランド価値の向上につながります。今こそ、自社のECサイトを見直し、長期的に信頼される運営を目指しましょう。

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参考：薬事法広告研究所「消費者庁が特定商取引法の通信販売分野における執行状況を公表【2025年1月21日】」

#特商法違反　#通信販売　#消費者庁　#ダークパターン