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消費者庁が不当表示を指摘し、行政処分を実施
2024年4月19日、電子たばこなどを販売する株式会社HALは、消費者庁から特定商取引法に基づいて3カ月間の業務停止命令を受けました。
この命令の理由は、株式会社HALが誇大広告を使用したことと、定期購入に関する情報を正しく提示しなかったことの2点です。
同社は実際の価格より高い「メーカー希望小売価格」を設定し、大幅に値下げしたように誤認させる表示をしました。また、契約の最終確認画面で、申し込みの撤回や契約解除に関する情報を十分に提供していなかったことも指摘されています。
この違反により、2024年4月19日~7月18日の間、広告や販売に関連する業務が停止されました。さらに、消費者庁は株式会社HALに対して、法令順守のための再発防止策の実施を求めています。
参考:消費者庁「通信販売業者【株式会社HAL】に対する行政処分について」
誇大広告はダークパターン
株式会社HALの事例のように「虚偽の高値に対して割引した値段を表示する」誇大広告について、国民生活センターではインターフェース干渉(視覚的干渉)というダークパターンだとして注意を呼び掛けています。
インターフェース干渉のダークパターンは、最近登場したものではありません。代表的なダークパターンの1つとして、以前から問題視されてきました。しかしながら、このダークパターンはいまだに多くのサイトで使われている状況です。
実際に、Amazon・agodaなどのサイトの価格表示を不審に思う消費者の声が、相次いで投稿されています。
Amazonで掃除機探してたんだけど、88%オフの商品見つけて、逆になんでそんな割引率!?と思ったら多分元値がおかしいのね。新品で88%オフの値段と同じ金額のもの、他の会社が出してるもの。
— chemi (@cheminine) April 9, 2024
こういうのはAmazon的には違反にはならんのかしら…情弱狙いって…コト…? pic.twitter.com/YAeKerxU61
Agodaでホテルを探しているのですが、この金額はどう考えてもあり得ない
— Gori Chan (@gorilla88888) June 15, 2024
これが正規価格ならAgoda終わってるなぁ。 pic.twitter.com/PNoyLgq7dq
ロムアンドのチーク気になってたけど、普段から大体1300円で売ってるのに一旦2000円に釣り上げて35%OFF表記でお値段据え置き1290円にするっていうコスい真似してて萎えたからやめよ
— くま😬🤳 (@hayaku_kaere) September 7, 2024
韓国では許されるのかもだけど日本では景表法違反ですよ〜 pic.twitter.com/d58rhhF33X
誇大広告のパターンは複数あり
ネット通販の購入画面では、価格表示以外にも、消費者に購入を強引に決断させる誇大広告やダークパターンが複数報告されています。その一例をご紹介します。
セール終了までをカウントダウン
ウチの親父が引っかかりそうになったおそらく詐欺通販サイト
— Ke:ゼロから始める異世界生活(ケモロリゴブリン) (@youjo_ninja) July 18, 2023
会社名記載なし
商品のレビューは4.95〜4.3
Amazonで同一商品あったので値段比較下がAmazonの方が安い(
注文からお届け先入力情報に飛ぶとセール終了時間が6分からカウントダウン(何度繰り返しても6分からカウントダウン) pic.twitter.com/aVHCuG6ie0
久しぶりにやってしまった
— はなぐま🇨🇦 (@hanaguma_kun) March 30, 2024
agodaでホテルを探していたんだけど「この料金で予約できるのはあと一人」を見てあわてて予約。予約完了メールを見たら『58日前からはキャンセル料が発生する』という要注意案件だった
予約時点でキャンセル料発生
あと一人、この価格…に誘導された私が悪い
予約時の教訓↓
在庫表示の数字がおかしい
amazonで在庫残り1個!
— でんぼう (@denbou_infinity) August 10, 2024
ってなっててoh!ギリギリセーフとなり購入手続きしたら 「在庫あり」にステータスが変わった。
なかなかうまい商売してんのな・・・。
通販サイトで「残り在庫1個」
— そうめん@風薫るジグアンバサダー (@soumen_fishing) May 26, 2023
→今買わなきゃ!
→購入ポチー
→商品ページ見たら残り1個のまま
イライラするやつ
これがAmazonの手法!そのダークパターン事例と対策方法をチェック
ダークパターンの規制に向けた消費者庁の動き
消費者庁が対策を強化しているものの、ダークパターンに特化した法律は日本にはまだありません。特定商取引法、景品表示法、消費者契約法などの法律に基づいて、行政処分が行われているのが現状です。
しかしこの先、日本国内でも、ダークパターンの規制について新たな動きが出てくるかもしれません。
2024年8月、「ダークパターン」と呼ばれる広告手法について、消費者庁が初めて実態調査に乗り出したと報道がありました。国内通販サイトの手口や被害状況についての調査結果を本年度中にまとめて、今後の対策に反映させる予定とのことです。
「在庫は残りわずか」などと通販サイトで嘘の表示をして消費者を焦らせたり、惑わせたりする広告手法「ダークパターン」について、消費者庁が初めて手口や被害状況の実態調査に乗り出した
— 共同通信ジェンダー問題取材班 (@kyodogender) August 2, 2024
消費者庁、ダークパターン初調査 通販サイトで虚偽表示 #47NEWS https://t.co/qEHuR0EEv0 @47news_official
企業がダークパターンを使うリスク
今回、行政処分を受けた株式会社HALが、業務停止によって経営に大きな影響を受けたことは想像に難くありません。
しかしながら、たとえ行政処分に至らなくても、ダークパターンを使用することは大きなリスクが伴います。危惧される事態を具体的に挙げてみましょう。
- 注文キャンセル数の増加
- 購入者やサイトユーザーからのクレーム増加
- キャンセル・クレーム対応のためのコスト増加
- SNSや口コミによる悪い評判の拡散
- 競合サービスへの乗り換え
- 従業員のストレス増加、離職
悪い評判が広がった場合、その火消しには数千万円以上かかるとも言われています。ダークパターンを使うことにより、もしかしたら一時的に業績が改善するかもしれません。しかし、それ以上の代償を払うことになってしまいます。
また、ダークパターンによって従業員の離職が発生した場合、単純にマンパワーが不足するだけではありません。ノウハウやスキルの損失となり、サービスの質の低下、顧客離れなど長期にわたり影響が広がっていくことが考えられます。
ビジネスの真の発展・成長を願うのなら、企業が透明性のあるウェブデザインや表現を採用し、消費者に対して誠実な取引をすることが大切です。
■ダークパターンを回避して、消費者からの不信感を回避しましょう。
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#ダークパターン #消費者庁 #誇大広告