ダークパターン規制で罰金も!?国内外の事例と影響

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近年、欧米を中心にダークパターンに対する規制が強化され、実際に巨額な制裁金を支払うように命じられた例があります。日本においては、消費者庁がダークパターンに関する調査や監視を行い、消費者の権利や利益を守るため規制やガイドラインを策定しています。特定商取引法や景品表示法などの法律を通じて、虚偽の広告や不当な取引行為に対する規制にも適用されています。

欧米で実際に課せられた罰金や制裁金の事例

Amazonに対してポーランド政府が約12億円の罰金を課した

ポーランド政府は、ヨーロッパ本社であるAmazon EU Sarlに、3185万141ズウォティ(日本円にして約12億円)の罰金の支払いを科すことを発表しました。Amazonでは不正確な在庫表示やカウントダウンタイマーの使用、売買契約について小さな文字や見にくいフォントで表示するなど、不適切なダークパターンが使用されていました。

ポーランドの競争・消費者保護庁(UOKiK)へは、Amazonで注文した商品が届かなかったとの苦情が相次いで寄せられ、UOKiKは消費者の集団的利益を侵害していると認定し、罰金の支払いを命じましたが、AmazonはUOKiKの評価と罰則に対して、協力と自主的な修正を提案したものの、国の法的基準を順守しているとして控訴の意向を示しています。

また、Amazonは、2023年6月、アメリカ連邦取引委員会(FTC)から、ダークパターンを使用してユーザーをAmazonプライムに誘導したことを違法として提訴されています。

詳細は ポーランド政府、Amazonのヨーロッパ本社に約12億円の罰金を科すことを発表 をお読みください。

■あわせて読みたい→ 【Amazonを米FTCが提訴】Amazonプライムへの登録の強要とキャンセル妨害を非難

ダークパターンとプライバシー侵害で約710億円の制裁金

FTC(米連邦取引委員会)は、世界的人気オンラインゲーム「フォートナイト」を運営するEpic Games社に対して、プライバシーを侵害するデフォルト設定と、ダークパターンの使用を指摘し、5億2000万ドル(日本円にして約710億円)の制裁金を科した。

<違反内容>

  • 意図的にユーザーを課金に促すボタン構成や確認のない購入プロセスなどのダークパターンの使用
  • COPPA 規則(児童オンラインプライバシー保護法)に違反し、子どもや十代の若者たちから、両親への通知や同意を得ずに個人情報を収集

 

これらの問題に対して制裁金の支払いとともにユーザーに対して2億4500万ドルを返金することで合意し、今後はダークパターンを使用して購入に促すことや、不正請求に異議を唱えたユーザーのアカウントをブロックすることも禁止されました。

詳細は 【制裁金710億円】人気オンラインゲーム「フォートナイト」が使用したダークパターンとは? をお読みください。

■あわせて読みたい→ 【10月開始ステマ規制】ダークパターンとの共通点を解説

日本国内でのダークパターンをした企業への措置命令の事例

スシローのおとり広告

全国に展開する大手回転寿司の株式会社あきんどスシローは、実際には9割以上の店舗で販売されていない商品を購入できるかのように、期間限定でCMや広告を出したとして、2022年6月に消費者庁は景品表示法違反の措置命令を出しました。

また、翌月から開始予定だった「何杯飲んでも生ビールジョッキ半額」であるキャンペーンでは、開始時期が明記されていないポスターなどを一部店舗でキャンペーン開始前から掲示し、顧客との間でトラブルが生じたケースも。スシローは公式HP上で謝罪し、返金対応すると発表したが、SNS上では苦情や怒りの書き込みが相次ぎました。

イオン銀行の不適切なキャッシュバックキャンペーン広告

株式会社イオン銀行は、供給するクレジットカードまたはデビットカードに係るキャンペーンの広告表示について、2020年3月に消費者庁から景品表示法違反として措置命令を受けました。

一定期間中に新規にクレジットカードに入会し、キャンペーンへ応募してカードを利用すると、1人当たり10万円を上限に最大20%のキャッシュバックがあるかのような表示をしました。実際はキャッシュバックには例外条件があり、消費者庁は、広告へ例外条件があることは記載されていたが、それが小さく離れた場所に掲示されていたため、一般の消費者が気付くことは困難であり、実際の取引において不利益を被る可能性があると判断しました。

画像引用元:消費者庁「株式会社イオン銀行に対する景品表示法に基づく措置命令について」

法令違反を指摘された企業は

    • 消費者庁や都道府県のホームページで会社名と内容の公表
    • 新聞やテレビ、ネットニュースでの報道
    • 違反した広告表示などの変更費用の発生

ダークパターンを使用したことで、消費者庁から景品表示法に違反を認められると、上記の措置が取られる可能性があります。また、「消費者が実際よりも取引の相手方に明らかに不利な条件であると誤解しないよう、景品表示法に反する表示であることを消費者に広く周知する必要があること。 」を命じられます。

ダークパターンで罰金!?課徴金納付命令の対象にも

景品表示法の中でも、優良誤認表示、有利誤認表示に認定されると課徴金納付命令の対象になることもあります。

その目的は違反行為の是正や再発防止で、課徴金納付命令の対象になるかは法令違反の程度や影響、企業の対応など、さまざまな要因に基づいて判断され、適用される課徴金算定率は、違反行為に係る期間中の対象商品の売上額の3%です。(詳しい金額は、公正取引委員会のHPをご覧ください。)

画像引用元:公正取引委員会:課徴金制度

消費者庁から景品表示法違反の措置命令を受けたことをテレビや新聞、ネットニュースで大きく報じられることで、企業イメージの低下やSNSでの不買運動につながる可能性があります。また、広告の差替え費用や課徴金の支払いなど、本来は不要であった費用が発生する場合もあるかもしれません。

日本ではダークパターンを直接的に規制する法律はありませんが、特定商取引法や景品表示法などを規制する法律が近年改正されています。「ダークパターンに該当するとは気づかなかった。」とはならないように、よりクリーンなサイト運営を目指しましょう。

 

■あわせて読みたい→  規制が始まる前に!脱ダークパターンサイトを作る12のアドバイス

参考:東洋経済オンライン「スシローの悪質おとり広告に映る大企業病の端緒」

朝日新聞「キャッシュバック条件表記が不適切 イオン銀に措置命令」

企業法務の法律相談サービス「景品表示法違反の3つのペナルティとは?事例をもとに解説」

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