ヨドバシカメラが運営するECサイト「ヨドバシ・ドット・コム(以下、ヨドバシ)」は、顧客満足度の面でAmazonや楽天などの他の大手ECサイトを凌駕しています。サービス産業全体を対象とした「JCSI(日本版顧客満足度指数)」調査では、通信販売部門で10年連続で満足度No.1を獲得(※)。売上こそ楽天やAmazonに遠く及ばないものの、顧客満足度の高さは圧倒的です。
なぜヨドバシはここまで顧客から支持されているのでしょうか?
SNSでヨドバシのファンの口コミを見てみると、その理由の一つとして「ダークパターンを排除した顧客志向のサイト運営」が見えてきました。
(※)参考:サービス産業生産性協議会 2024年度第2回 JCSI調査結果
楽天・Amazonよりヨドバシ?ダークパターンにウンザリする消費者の声
ダークパターンとは
「ダークパターン」とは、ユーザーを意図的に誘導し、不利益を与えるようなWebデザインのことです。短期的な利益を得ることを目的としてダークパターンを使用する企業は後を絶ちません。
売上高で上位を誇る楽天やAmazonなどの大手ECサイトでも、消費者を欺くような悪質なダークパターンが見られます。以下は、その典型的なダークパターンの事例です。利用したことがある方なら、こうした手法に不快感を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
■意図的な誘導でAmazonプライム会員に
意図しない箇所に注意を向けさせるようなデザインにより、いつの間にかAmazonプライム会員になり料金を引き落とされている(ダークパターンの種類:「視覚的干渉(ミスディレクション)」
■自動チェックされたメルマガ登録
商品購入の際、メールマガジン登録のチェックボックスに初めからチェックが入るように設定されている(ダークパターンの種類:「ひっかけ質問」)
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ダークパターンを排除するヨドバシの誠実さがファンを獲得
一方でヨドバシ・ドット・コムのサイトからは、短期的な利益を目的とした悪質な手法は感じられません。口コミを見ても、その誠実な運営方針がユーザーから高く評価されていることがわかります。実際、楽天やAmazonのダークパターンに嫌気がさし、「信頼のヨドバシ」へ乗り換えるユーザーも少なくないようです。
楽天のメルマガチェック外すの忘れてしまい大量のメルマガが届く。やっぱりヨドバシしか勝たん。
— おばJ🇫🇷 (@maipenrai54) October 21, 2023
何の気なしにアマゾンで注文進めてたらいつの間にかAmazonプライムに申し込むというリテラシーの低いことをしてしまっていた。即解約したら返金されるらしい。それでも不服なのでヨドバシで買った。
— Shijin Fukugami (@fno_kaz2_chui) February 15, 2019
ダークパターンが積み重なることで、ユーザーはストレスを感じ、最終的にはサイト離れを引き起こします。一方で、ダークパターンを排除し、顧客に正直なデザインを徹底することは、長期的な信頼の獲得につながります。ヨドバシ・ドット・コムは、まさにその成功例と言えるのではないでしょうか。
ダークパターン最新情報
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古臭いけど安心できるUI。ヨドバシ・ドット・コムのファンの声
ヨドバシ・ドット・コムのUI(ユーザーインターフェイス)は決して洗練されたものとは言えず、「古臭い」「見にくい」というユーザーの声も目立ちます。しかし、それ以上に「買いたい物をすぐに安心して買える」というある意味当然とも言えそうなことが、ファンの信頼を獲得している要因になっているようです。
不要なものを提案しない
買う物が決まってれば「○○あるかな〜?」と商品名で検索して取扱さえあれば一発で欲しいモノが出てくるのがヨドバシは本当に楽、あと殆どに割引ポイント付いてるのも良い。アマゾンは検索時に「コレがおすすめ!コレも買いませんか?」と聞いてきて肝心の欲しいモノが探し難いのが本当に嫌なので
— オクキラ (@okukira) January 20, 2025
ECサイトにおけるおすすめの提案は回遊率を高めて購買の機会を増やすことにつながりますが、ニーズに合致しない提案はユーザーのストレスにつながります。
「サイトを回遊させて購買の機会を増やす」というAmazonの戦略と、「低単価商品も送料無料ですぐに届けて回転率を上げる」というヨドバシの戦略がそもそも異なる部分もありますが、商品検索をした際に、シンプルに検索ワードに関連性の高い商品だけを表示するヨドバシのサイトには好意的な声が多く見られます。
誤操作を防ぐ親切な設計
密林でカートに入ってるのに間違えてまたカートに追加ボタン押しちゃって要らないのに2個来ちゃったことあって、それ会社の人に言ったら「ヨドバシでは勝手に個数追加されないようになってる」って言ってたしいまだにそうなってる
— 沖波さざ (@okinami_saza) January 20, 2025
ヨドバシ・ドット・コムでは、誤って複数回クリックしても商品個数が追加されない設計になっています。気に留めるユーザーは多くはないかもしれませんが、こうしたポイントにもヨドバシのサイトの誠実さを感じます。サイト全体のUIに対しては「改善の余地あり」という声も目立ちますが、決して顧客を騙そうとしない顧客志向のサイト運営に信頼を寄せるユーザーは多いのではないでしょうか。
まとめ
もちろん、ヨドバシの高い満足度の要因はWebデザインの問題だけではありません。商品の信頼性、高還元率のポイント制度、送料無料・即日配送、実店舗との連携など、さまざまな要因が絡み合って、トータルで高い満足度を維持しています。しかし、口コミを見ると、「Amazonや楽天よりヨドバシ」という声が増えている理由の一つに、ダークパターンを使わない顧客に誠実なサイト設計があることは事実です。
サイトの信頼性はリピーターを生み出します。リピーターが増えれば売上の向上はもちろん、口コミによるブランディング効果も期待できます。長期的な視点で売上向上を目指すECサイト運営者にとって、ヨドバシの事例は重要なヒントとなるのではないでしょうか。
あなたのECサイトは、顧客にとって「信頼できる」サイトですか?ぜひ、ヨドバシ・ドット・コムの事例から見直せるポイントを見つけてみてください。
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