ダークパターン訴訟とそこから私たちが学ぶこと

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Suzanne Scacca

元プロジェクトマネージャーおよび Web デザイン代理店マネージャーである彼女は、現在デザイン、開発、ソフトウェアの変化する状況について執筆するライターとして活躍している。

この記事はDark Pattern Lawsuits and What We Can All Learn From Themの翻訳転載です。著者のSuzanneさんの許可を得て公開しています。

最近、Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)がウェブサイトにダークパターンを使用しているとして、訴えられたことをご存知でしょうか?
この記事では、こうした訴訟や、その他の訴訟で明らかになった重要なポイントをおさらいしていきます。

ダークパターンが間違っている理由だけでなく、ユーザーを欺くことなくコンバージョンの高いコンテンツをデザインする方法についてもお教えします。

 

ダークパターンをビジネスに使用するのは好ましくありません。
どれだけ長く不正を働かせても、最終的にはユーザーに気付かれてしまうからです。

少なくともユーザーからの苦情が殺到し、ネット上で否定的なレビューが書かれたり、返金処理に追われたりすることになるでしょう。
最悪の場合、悪評が報道され、高額な訴訟を起こされる危険さえあります。

世界のトップ企業にとって、最悪のシナリオがいかなるものであったかを一緒にみていきましょう。
そして、ダークパターンという欺瞞に満ちた、コストのかかる道を歩むことなく、コンバージョンを高く維持する方法についてもいくつか紹介します。

ダークパターンとは?

ダークパターンとは、ユーザーを騙して意図しないことをさせる、ユーザーインターフェースのことをさします。
ユーザーが望まない行為を取り消すことが困難、あるいは不可能に近いものにしているものも含まれます。

ダークパターンの目的は、ユーザーの知らないうちに、あるいは同意なしに、金銭やデータを提供させることです。


ウェブデザインにおけるダークパターンの例をいくつか紹介しましょう。

  • eコマースや購読フォームで、自動更新のようにユーザーをサインアップさせる自動チェックボックス
  • オーガニックコンテンツに見せかけた広告やスポンサー記事
  • 「承諾」ボタンがなく、単に情報を提供するだけのcookie(クッキー)の同意バナー
  • 「スキップ」や「該当なし」の選択肢が見つけにくくし、必須の質問であるかのように思わせる
  • 何度も “アカウントを削除したい “と伝えなければならない、複雑な解約手続き
  • 見つけにくいポリシーや利用規約
  • オプトインボタンを選択しないユーザーに、”No, I enjoy being stupid(いいえ、私はバカであることを楽しんでいます) “や “I hate saving money(私はお金を節約するのが嫌いです) “などと書かれたボタンを選択させ、ユーザーに恥をかかせる
  • 自動的に配信停止にならず、個々のメールリストから配信停止するか、別の配信頻度を選択するよう強制する配信停止ページ
  • 価格が表示されない価格比較表

これから紹介するダークパターン訴訟に目を通すと、回答を求められた企業の多くが同じことを言っていることに私は気づきました。

「私たちはユーザーから愛されています!」
「私たちはユーザー第一の体験を提供しています!」

実際には、もし企業がごまかしのUIデザイン手法を使わなければならないのであれば、これは意思決定プロセスにおいてユーザーが一番最後に考えることなのです。

ただし、ユーザーのお金またはデータについて話している場合はそうとは限りません。

最近の極めて高額なダークパターン訴訟の例

最初の手口は、これらの企業に追加収入と多くのユーザーをもたらしたかもしれません。

しかし、ユーザーは最終的にそれに気づき、彼らはその怪しげなデザイン戦術のために高い代償を払うことになりました。

 

Amazon(アマゾン)

ダークパターンの内容
米連邦取引委員会(FTC)は2023年、Amazon(アマゾン)を提訴しました。
訴状の主な論点は、Amazon(アマゾン)が決済手続き中に顧客の同意を得ることなく、アマゾンプライムに自動加入させたというものです。

さらに一歩踏み込んで、FTCはこのダークパターン訴訟に3人の経営者を追加しました。
なぜなら、Amazon(アマゾン)の従業員とのやりとりで、これらの幹部が欺瞞的行為を知っていたという証拠があったからです。

“一部の従業員は、電子メール、会議、その他の手段を通じて、現在修正文書に記載されている幹部たちに、いくつかのプロセスが不公平であり、それを変更するよう促している、と訴えました。”

加入プロセスに欠陥があることを知っていたにもかかわらず、問題を解決するために彼らは何もしませんでした。

Amazon(アマゾン)が問題にしているのはそれだけではありません。
訴状には、他にも下記のような欺瞞的なデザイン手法が含まれています。

  • ユーザーが購入を完了する前にプライム会員への登録を強制
  • プライム会員特有の利用規約は、チェックアウトの際に一度だけ表示され、見逃しやすいフォントのデザイン
  • 色やその他の繰り返し表現は、ユーザーの注意を「送料無料」の表示に積極的に引きつけ、プライムの料金に目を向けさせないようにした
  • ユーザーが見つけるのに苦労する入会辞退の手続き
  • ユーザーが解約以外の選択肢に集中するよう、アニメーションのような注意散漫な表現が使われた解約画面
  • 解約の選択肢の周りの恐怖を煽るような注意書きやアイコンの配置
  • ユーザーに購読させ、それを継続させるためのコンファームシェイミングの表現
  • ユーザーに、電話で解約するか、あるいはIliad Flow(イリアスフロー:オンライン上での迷路のような解約手続き)を利用するよう強制。この手続きは、4つのページ、6回のクリック、15の選択肢をユーザーに強いるものであった。

つまり、Amazon(アマゾン)はより多くのユーザーを獲得するために、UIとUXをデザインしたのです。

対策
もしAmazon(アマゾン)が本当に自社の定期購読サービスの価値に自信を持っていれば、大規模な欺瞞や詐欺に手を染める必要はなかったでしょう。

たとえ優れたデジタル製品や体験をデザインしたとしても、ユーザーがそれに良い反応を示してくれることを願うしかありません。
ごまかしを使えば、短期的な利益は得られますが、長続きはしないのです。

製品をデザインするときは、ユーザーに正直で透明性を示す必要があります。

また、利用規約を目立たないようにフッターに記載したり、読みにくいフォントで隠したりしないことや、ユーザーがやろうとしたことをさせないミスディレクションを使わないことも重要です。

たとえ、高額な会員費とその関連する料金を強調したとしても、インターフェースの中で最も重要な情報をユーザーに提示するために段階構造を利用しましょう。

また、短時間で簡単に処理できる決済や解約手続きを作りましょう。

Age of Learning/ABCmouse(ABCマウス)

ダークパターンの内容
Age of Learning/ABCmouse(ABCマウス)は、違法なマーケティングと請求方法で有罪となり、2020年に1000万ドルの罰金を科せられました。
罰金に加え、その破綻した欺瞞的なマーケティング戦略と見込み客とのコミュニケーションを修復する必要がありました。

この教材には、Amazon(アマゾン)が現在告発されているのと同じような行為も含まれています。
例えば、購読が自動更新されることも、無料トライアルも同様であることも、ユーザーには知らされていなかったのです。

解約手続きも、加入当初は簡単だと説明していたにもかかわらず、実際には難しいものでした。
その手続きは多くの時間を要し、混乱を招いたため、多くのユーザーが解約を完了することができませんでした。

解約を何とか済ませた一部のユーザーは、その後も定期的な料金が請求されました。
同社の記録によれば、解約を申し出た数十万人のユーザーは契約の継続を余儀なくされたのです。


対策

難しい解約手続きを修正することに加え、ウェブサイトの内容も更新する必要があります。

ユーザーは何かに登録しておきながら、支払いが口座から引き落とされた後で、実際に何を契約したのかに気づくようなことがあってはなりません。

ウェブサイトに適切な利用規約のページを設けることは非常に重要です。
また、購読条件や解約条件を明確に説明するページも必要でしょう。

これらのページは、フッターに埋もれたままにするのではなく、決済手続きの過程で関連するポイントに表示されるべきです。
「利用規約のページに目を通した」という同意をユーザーに求めてもいいかもしれません。

この告知は見つけやすいようにしましょう。
次のステップに進むボタンのすぐ前に配置するのです。

さらに、チェックボックスがあっても、自動的にチェックされるべきではありません。

また、ユーザーが告知を確認せず、同意もせずに次のページに進もうとすると、エラーが表示されるようにします。
通知のフォントは太字にし、各条項へのリンクは誰もがはっきりと読める色にしましょう。

Publishers Clearing House(パブリッシャーズ・クリアリング・ハウス)

ダークパターンの内容
FTCは2023年、Publishers Clearing House(パブリッシャーズ・クリアリング・ハウス:PCH)に対する訴訟を1850万ドルで和解しました。
訴状はPCHを不当表示と欺瞞的行為で訴えたのです。

具体的には、同社はさまざまなダークパターンを使い、懸賞の申し込みを増やすだけでなく、商品の購入も増やしました。

彼らは、ユーザーが懸賞に申し込む前にまず購入する必要があると思い込ませるため、視覚的な妨害と操作的な表現を用いてこれを実施しました(実際には購入する必要は必要ありませんでした)。

このリストにある他のダークパターンの悪用者と同様、彼らはひとつの悪習にとどまらず、次のようなこともしていました。

  • 情報開示の告知やリンクに、極端に小さく薄すぎるフォントを使用。加えて、誰も見ないような場所に配置。
  • 購入は必須ではなかったが、懸賞の登録プロセスは、注文なしで完了するのが難しいように意図的にデザインされていた。
  • 支払い手続きの後半で、突然送料と手数料を追加。
  • すべての返品に送料がかかるにもかかわらず、同社は返品処理を ” risk-free(リスクがない) ” と呼んでいた。
  • ユーザーデータを他者と共有する際のポリシーについて誠実ではなかった。

これに加えて彼らは、Eメールのマーケティング手法でも問題を抱えていました。

まず、より多くのユーザーにメールを開いてもらうために、誤解を招くような件名を使っていました。

また、メールの購読者に対して、すぐに行動を起こさないと応募のチャンスを失うことをほのめかすようなメールも送っていました。

対策
もしあなたの有料サービスや製品が本当に良いものであれば、ユーザーは最終的にそのサービスを利用するようになるでしょう。

定期購読や懸賞を提供する意味は、ユーザーを騙して必ずしも望んでいないものにお金を払わせることではありません。
これはユーザーに付加価値を提供し、見込み客に興味を持ってもらうためです。

したがって、まず第一に、コピーライターが公募内容やその他の無料のオファーの宣伝コピーを書くときには、それが正直なものであることを確認してください。 

もし購入が必要でなければ、そのことを示唆すべきではないでしょう。

デザインに関しては、Amazon(アマゾン)やAge of Learning/ABCmouse(ABCマウス)と同じ提案が当てはまります。

フォントは適切なサイズと色を使い、重要な情報や開示事項を隠さないようにします。

アップセルやクロスセルの商品を追加するために、会員登録や決済の手順を利用するのこともやめましょう。

カートの中で関連商品や セール情報を宣伝するのは構いませんが、顧客がクレジットカードを取り出し、購入した商品の代金を支払おうとするその瞬間にそれをしてはいけません。

最後にもうひとつ、カート内または事前に費用の内訳を明確に提示すること。
これにより、決済時の離脱率を低く抑えることができます。

Google(グーグル)

ダークパターンの内容
コロンビア特別区検事総長室(OAG)は2022年、Google(グーグル)を提訴し、同社は950万ドルで和解することで合意しました。
今回のケースは、位置情報の追跡と関係しているため、少し異なります。

Google(グーグル)の様々なアプリは、ユーザーがアプリに許可を与えていない場合でも、ユーザーの動きを追跡し、記録し続けていました。
さらに、これらのアプリの中には、位置情報記録を有効にするよう求める通知を定期的に表示するものも存在していたのです。

場合によっては、アプリ自体の目的や機能とは無関係であっても、位置情報の追跡がなければ正しく機能しないと主張するアプリもありました。

言い換えれば、Google(グーグル)はユーザーのプライバシーをどのように保護するかに関して、ユーザーを欺いていたのです。
選択肢が与えられたとき、ユーザーがどのように追跡されることを望むかは聞いていないにも関わらず、同社は彼らの動きを記録し続けました。

対策
このダークパターン訴訟は、モバイルアプリやあるいはユーザーに位置追跡の有効化を求めるウェブサイトをデザインする場合、注意を払うことが重要です。
これには、許可を求めるウェブサイトやアプリも含まれます。

  • cookie(クッキー)の使用
  • マイクへのアクセス
  • カメラへのアクセス
  • 写真アルバムへのアクセス
  • プッシュ通知の送信
  • デバイス上の他のアプリにアクセスする

プライバシーポリシーのページには、何のためにこのアクセス権が必要なのか、データをどうするのかを明確に記載する必要があります。
また、文脈上関連性のあるときだけ許可を求め、それを一度だけ行うようにプログラムされるべきでしょう。

例えば、スナップチャットのようなアプリを作ったとしましょう。
導入時に、携帯電話の機能へのアクセス要求でユーザーを混乱させる必要はありません。

その代わり、ユーザーが関連する機能にアクセスしようとするまで待ち、アプリがユーザーの設定を保存するようにして、再度質問を繰り返さないようにするのです。

Epic Games(エピックゲームズ)/Fortnite(フォートナイト)

ダークパターンの内容
2022年、Epic Games(エピックゲームズ)とFortnite(フォートナイト)はFTCと5億2000万ドルの和解に合意しました。

そのうち2億7500万ドルは、児童オンラインプライバシー保護規則(COPPA)違反に対する罰金、残りの2億4500万ドルは、同社がダークパターンに関与していたため、ユーザーへの返金に充てられました。

これについて少しずつ紐解いていきましょう。

COPPAに関して、フォートナイトは数多くの誤りを犯しました。
まず、13歳未満の子供から個人情報を収集し、保護者の同意を得ませんでした。

また、すべてのユーザーに対して音声チャットとテキストチャット機能を自動的に有効にしたのです。

しかも、利用者(つまり両親)のクレジットカードを保管していました。

そのため、子供たちがゲーム内でVポイントを購入する際、カード裏面のセキュリティコードや郵便番号を尋ねるような確認ステップは求められませんでした。

実際のダークパターンに関しては、ユーザーが誤って仮想商品を購入することにつながったのです。

あるケースでは、2つのボタンがUIの中で近すぎる位置に配置されていたため、このようなことが起こりました。
テレビやパソコンでは、これはそれほど大きな問題ではありませんでしたが、指で画面をタップするユーザーにとっては違ったのです。

また、ボタンが意表をついたデザインになっている場合もありました。
例えば、プレイステーションのユーザーは、画面上のボタン記号とコントローラーのボタン記号が必ずしも一致していないことに気づきました。

そのため、商品を確認するために四角いボタンをクリックし、意図せず商品を購入してしまう可能性があったのです。

結局、不正請求に関する苦情は100万件を超えました。

そのようなユーザーにとって残念なことに、フォートナイトは「払い戻し不可」のポリシーを持っていました。
しかし、アプリ内に返金申請画面はあったものの、それを見つけるのはほとんど不可能でした。

さらに悪いことに、不満を抱いたユーザーがクレジットカード会社に異議を申し立てたところ、ビデオゲームの所有者がユーザーのアカウントをロックしてしたのです。

対策
COPPA違反は、それ自体がダークパターンではありませんが、子供が接するかもしれないデジタル製品をデザインする際には、考えなければなりません。
これは、フォートナイトのようにゲーム内のアップグレードがあるアプリやウェブサイトだけでなく、通常の商品を販売するアプリやウェブサイトも同様と言えるでしょう。

子供たちがデジタル製品を利用していることが分かっているのであれば、まず第一に、子供たちの追跡データについて保護者の同意を得るシステムを用意すべきです。

また、ユーザーが購入する際には、必ず本人確認を行うよう求めなければなりません。

大人のユーザーにとってはこれが面倒かもしれないので、保護者による管理や、制限をアプリに設定するのがいいでしょう。

ダークパターンについては、どのようなUIをデザインするにしても、ユーザーにすっきりした印象を与える必要があります。
これは特にモバイルデバイスにおいて適切であり、ボタンや 操作が互いに接近しすぎて競合するという問題が発生しないように設計しましょう。

また、ボタンのラベルの付け方も明確であるべきです。
もし、ユーザーがどのような操作をしようとしているのかが明示されていなければ、作り直すことが必要かもしれません。

そのため、アイコンは省略し、簡潔で説明的な表現を使うのが最適です。

まとめ

ごまかしはビジネスにとって決して良いことではありません。
収益、購読数、データといった短期的な利益は、ユーザーが気づけば長続きすることはないからです。

さらに、騙しが十分に広まり、顧客からの苦情が殺到すれば、FTCはあなたを追及するでしょう。
それは、「フォートナイト」が支払わなければならなかった5億ドル以上の金額ではないかもしれませんが、あなたや雇用主が手放しで喜べる金額ではないことは間違いありません。

騙しや操作に頼らなくても、あなたが作るデジタル商品でコンバージョンを高く保つ方法は山ほどあります。
良質なデザイン、誠実で透明性のあるポリシーを保ち、サインアップとチェックアウトの手続きを簡素化しましょう。

このような優れたデザインを実践することで、ユーザーにとって満足のいく体験を提供することができ、コンバージョンや継続の理由を彼らに提供することができるのです。

 

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