ダークパターン提唱者ハリー・ブリヌル(Harry Brignul)とはいかなる人物か?

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「ダークパターン」の言葉の生みの親として知られるハリー・ブリヌル氏とは、どんな人物なのか。ダークパターンの名前の由来とは。過去のインタビューなどを参考にしながら紹介していきます。
 

ユーザーエクスペリエンス(UX)の専門家であるハリー・ブリヌル(Harry Brignul)は、2010年に「ダークパターン」という言葉を生み出しました。ダークパターンとは、意図せずしてユーザーに有害な決定を強要したり、欺いたりすることで、オンラインサービスに利益をもたらすユーザーインターフェースやデザインのことを指します。日本ではあまり馴染みのないダークパターンですが、サブスクリプションや定期購入を中心に、多くのダークパターンが確認されています。

ハリー・ブリヌル(Harry Brignul)とは

イギリス・ロンドン在住。心理学を学び認知科学の博士号を取得後、サセックス大学やノッティンガム大学で学術研究者として勤務。その後はユーザーエクスペリエンスの専門家としてSpotifyやHMRC、Smartなど、数多くの一流クライアントにコンサルティングサービスを提供。2010年に“ユーザーの意思決定や行動選択を意図的に操る、ソフトウェアの操作的または欺瞞的なトリック”に着目し、そのトリックを「ダークパターン」と名付けた。ダークパターンに対する認識を広め、阻止することを目的としたサイト「deceptive.design」を運営している。Twitterではほのぼのとした日常のつぶやきも。ハリー氏の温かい人柄とユニークさがうかがえる。

参考元:https://90percentofeverything.com/about/

ダークパターンが生まれるまで

Hannah Sellamによるハリー氏へのインタビュー(DARK PATTERNS – Interview of Harry Brignull, the inventor of this concept)で彼はダークパターンを思いついたきっかけを、以下のように話しています。

(日本語訳)ダーク・パターン “という言葉を思いついたのは数年前、最初は大したことではなかったと思うんです。あるカンファレンスのために講演を書いたら、キャッチーな名前が必要だったんです。当時は、デザイナーがパターン・ライブラリについて書くことが流行り始めていた時期でした。Theresa NeilやBill Scottの作品を読んで、自分も同じようなことをしたい、自分の知識をシェアして業界に貢献したいと思い、そこからダークパターンというアイデアが生まれました。そして、調べれば調べるほど、たくさんの発見がありました。

また、Bringing Dark Patterns to Light―2021年4月29日に開催された連邦取引委員会のダークパターンズワークショップで行った講演の記録―のでは、由来に関して以下のように話しています。

(日本語訳)ダークパターンの言葉の由来は、ある問題に対する共通で使い回しが可能な解決策のことを指す「デザインパターン」が元となっています。また、「アンチパターン」と呼ばれるものもあります。2010年、私はこのパターンには、意図的な欺瞞と操作に根ざした、いくつかの種類に分けられることに気づき、このパターンを「ダークパターン」と名付けました。この言葉には、悪質で明るみに出ず、特定しにくいという意味が込められています。

「自分も同じようなことをしたい」

「自分の知識をシェアして業界に貢献したい」

という彼の向上心や追求心は、ついに世界の国々を動かしました。一例として、令和4年4月23日欧州連合(EU)が消費者保護を目的とした巨大なIT規制法案に合意し、ダークパターンの禁止など違法コンテンツへの対策が強化されることになったこともあげられます。(参考:yahooニュースそして日本でも令和4年6月1日より、詐欺的な定期購入商法について消費者庁)厳罰化されるようになりました。詳しくはこちらにも掲載してます。

「もう後戻りはできない。」と語る

ハリー氏は、初めてダークパターンを認識した際「ダークパターンを使っている企業の面目をつぶし、デザイナーに倫理規範を守るよう促すことで根絶できるだろう。」と考えていました。しかし、世界一のECサイトAmazonや、検索エンジンサイトGoogleさえもダークパターンを取り入れる現状から、彼の考え方は誤っていたことを指します。その理由として以下のように述べています。

(日本語訳)ダークパターンは労力を要さずとも利益を得ることができるからです。その上インパクトも大きく、作るのも簡単です。

引用元:Bringing Dark Patterns to Light

※引用元の翻訳記事に関してはこちらをご参照ください。

大きな収益に繋がるダークパターンを、多くの企業が取り入れ通常化してしまいました。背景には、ICTの急激な成長に伴い、ひと昔前には一部の人間しか理解なかったことが、誰しもが吸収できる世の中になったことも一因であると推測します。

ハリー氏は、ダークパターンが浸透した現代に対し「もう後戻りはできない。」と忠告します。

最後に

日本国内のダークパターンの認知度を高め、企業による悪用を防ぐことを目的にスタートしたダークパターン.jp。

ダークパターンの言葉の生みの親であるハリー氏に、心強い応援メッセージを頂けたこと。そして、この記事を公開することを快く承諾してくださったことに心より感謝申し上げます。

今後とも、ハリー氏の更なるご活躍を応援しています。

Twitterでダークパターンリーク(#ダークパターンリーク)や企業のサイト改善PRも受け付けています。異論・反論もお待ちしています。

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