あなたはメールを送るとき、GmailやYahoo!メールを使っていますか?また、スマホで撮った写真をiCloudに保存していますか?これらのようにインターネットを経由してアクセスすることで利用できるサービスをSaaS(サース)といいます。SaaSは個人や企業を問わず多くの人たちが利用し、私たちの生活には欠かせないものとなりました。
しかし、SaaSにはユーザーが無意識に不利な行動を取るように設計された悪意のあるデザイン「ダークパターン」が使用されていることがあり注意が必要です。
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SaaS業界が使用するダークパターンの例
解約忘れを狙った有料版への移行
無料トライアルを提供しているSaaSは多くありますが、クレジットカード情報を登録しなければサービス自体を利用できない場合があります。
「無料トライアル期間中に、請求が発生することはありません。」と添えられていて安心して登録したところ、「すぐに解約するつもりが手続きを忘れて料金を払ってしまった。」といったユーザーが後を絶ちません。
実際には無料トライアルの利用にクレジットカード情報が必要なことはなく、無料トライアル期間中に解約を忘れたユーザーを有料版に移行させることが目的です。また、解約を忘れたことに気づいたユーザーがSaaS側に返金を求めても、「利用規約に同意した」ことを理由に、ほとんどのケースで返金には応じられません。
このAmazonがやってる騙して押させる悪質なダークパターンはECサイトとしては詐欺に等しい行為なのでカリフォルニア同様日本も法律で禁止すべきです。年寄りが騙されてクリックして気づかないうちプライム会費をとられててる事例が身近でも多々あるので(ウチの親のことだけど) pic.twitter.com/2iVKrsK05I
— Tas.K (@TasKtan) March 30, 2022
解約忘れについては、無料トライアルの落とし穴?有料サービスへ誘導するダークパターン でも紹介しています。
一回限りの支払いと見せかけた月々払い
SaaSは「一括払い」や「一年ごとの購入」、「月ごとの購入」などといった多様な支払いプランが用意されています。「月ごと」と聞いて、「1回限り=継続する場合は翌月に購入手続きをするもの」と思い利用したところ、実際のところは翌月以降は自動更新で利用開始時にそれについて詳しい説明がなかった、あるいは分かりにくい場所に記載していたケースがあります。
ユーザーも自動更新に気が付かず、数カ月経過後に利用明細を見て初めて毎月請求されていたことに気づくそうです。
画像引用元:インド中央消費者保護局が規制する13種類のダークパターン
ダークパターン事例 静かに強行される「強制的な継続性」 でも紹介しています。
登録作業中に発生する支払い
SaaSの中には利用登録後、すぐには使用を開始することができないものもあります。それはSaaSを利用するために必要な登録作業が行われ、長い場合では数カ月間にも及びます。
その間、サービスを利用できないにも関わらず、料金が発し続けることもあります。 このようなケースもダークパターンにあたるといえます。
クレジットカードの不正利用
解約忘れや自動更新からの利用料の請求も悪質なダークパターンといえますが、回避することもできるともいえます。しかし、国外のSaaSの中には違法な方法でお金をユーザーからだまし取るケースがあると指摘されています。
それは以下の手口で行われているようです。
- 無料トライアルを利用する際にクレジットカード情報の登録を求める
- 少額の決済を行い登録済のカードが取引可能なものかを検証
- 後から勝手に高額な有料版の利用料を決済する(ユーザーが気づかないうちに請求)
気付かないうちに第三者への情報提供の許諾
SaaSの利用規約の中に見落としやすい小さな文字で、ユーザーがサービスを利用したことで収集したデータを、第三者へ提供することを認めるといった内容が記載されている場合があります。
これも利用規約に使用されたダークパターンといえます。
SaaS 利用規約ダークパターンってやつあるよね(何。https://t.co/4YVJAh9nGE
— mmasuda @mmasuda@fedibird.com (@mmasuda) December 5, 2023
個人情報については、 ダークパターン事例 より多くの個人情報を公開させるプライバシー・ザッカーリング を合わせてお読みください。
SaaSのダークパターンを回避するには
SaaSがサービスを拡大していくには、サービスの利用率より、収益維持が欠かせません。高い収益を維持するためには、意図的にダークパターンを使用して収益を上げようとする悪質な企業も存在します。
<ユーザーとして:SaaSのダークパターンの回避方法>
- 登録時に通知メールを設定すること
- 信頼できる決済サービスを利用すること
- キャンセルポリシーをしっかり確認すること(内容が明確でない場合は利用しない)
- 登録解除、アカウント削除の手順を確認しておくこと
インド中央消費者保護局が規制する13種類のダークパターン も合わせてお読みください。
SaaSのダークパターンを使うデメリット
ユーザーへもSaaSのダークパターンの認識が広がってきており、サービス利用時に騙されないためにも、ダークパターンが使用されていないかチェックの目が厳しくなっています。ユーザーはサービスやウェブサイトを不快に感じると利用を辞めてしまうこともあります。みなさんが知っているあの大手企業も訴訟問題へ発展しました。
こちらも 米FTC、Amazonを提訴「ユーザーの同意を得ずにAmazon Primeに登録」 ご参考ください。
下記の画像は、
右は、クリックで月額プランを解約できるクリーンなサイトの例です。
左は、月額プランの解約方法の表示は小さく「この電話番号に電話するように」と記載しているダークパターンのサイトの例です。
画像引用元:インド中央消費者保護局が規制する13種類のダークパターン
上記の画像のように、サービス提供者として信頼されるSaaSのデザインを意識する必要があります。
<サービス提供者として:SaaSのダークパターンの回避方法>
- 直感的なデザイン(解約ボタンと認識しやすくする など)
- 購入や解約までのプロセスが少ない構成
- 同一の意味を持つ言葉は、同じ表記で記載
- 利用規約を明確にする
ユーザーからの信頼を失わず、より継続してサービスを利用してもらうには、クリーンなサービス提供が欠かせません。
関連記事:消費者をだます解約トラブル3選と対策法 もお読みください。
※参考:GIGAZINE.BIZ「ウェブサービスの請求でユーザーを意図的にだます「ダークパターン」とその回避方法」
ANAGRAMS「ユーザーの信用を失うデザイン「ダークパターン」の具体例と新たに生み出さないためにできること」