おそらく誰もが「良いデザインとは何かを知っている。」と思っているでしょう。
(実際、デザインとユーザーエクスペリエンスは、デザイナーである私たちは毎日のように使っている言葉です)
しかし、ドンノーマンはこう言っています。
「実は、良いデザインは、悪いデザインよりも気づきにくいのです。
その理由は、良いデザインは私たちのニーズに非常によく適合し、そのデザインが目に見えないからです。」
-ドン・ノーマン、『The Design of Everyday Things』著者
つまり私たちは使いにくいものに遭遇すると、そこにお粗末なデザインがあるのに気がつくのですが、いったい何がデザインを単なる悪から邪悪にしてしまうのでしょうか?
ここでは2人の UX 専門家、エリー・クリスル氏とダニエル・エック氏による講演からの重要なポイントを紹介します。
目次
良いデザインとは?
UX Collectiveによると、このように書かれています。
「優れたデザインとは、ビジネス目標とユーザーのニーズのギャップを埋めるものです。
このギャップを埋めるには、最適なユーザーエクスペリエンス (UX) のとユーザビリティガイドラインを考慮して、ベストな結果を出すプロセスが必要です。
優れたデザインとは、使う人間に合わせてカスタマイズされたものであり、単に機能的、または使いやすいものではありません。
優れたデザイナーは、ユーザーの考え方を理解し、そのニーズを使いやすい製品やサービスに変える方法を知っています。」
「ユーザー エクスペリエンス」という用語は 1990 年代に作られましたが、概念としてのUXは人類の初期の発明からありました。これは、日常にあふれている、良いデザインに見られます。
ドンが言ったように、私たちのほとんどは、額縁の裏側にあるフックについてあまり考えたことがありませんよね。
なぜなら、それが私たちのニーズに合っているからです。フックがあるおかげで、縦にも横に吊るすことができますよね。
LIMINAで私たちが取り組んでいる問題はかなり複雑です。私たちは、Web、モバイル、コンピューターの複雑な媒体を簡素化し、使いやすいアプリケーションやシステムを作成することに注力していますが、写真の額縁と同じ原理が当てはまります。
優れたデザインがあれば、期待通りの結果が出ます。
Nielsen Norman Groupの創設者の 1 人である Jakob Nielsen は、インタラクションデザインの 10原則を提唱しています。
これは、デザイナーが自作のデザインの使いやすさと一貫性を保つためのガイドラインです。
- システムステータスが一目で分かる
- システムとリアルが一致している
- ユーザーの制御と柔軟性が両立している
- 一貫性があり標準が明確
- エラーが起こらない
- ユーザーに考えさせるのではなく認識させている
- 柔軟性と使用効率が良い
- 美しくミニマルなデザイン
- エラー回復ができる
- ヘルプとドキュメントがある
悪いデザインの原因は?
悪いデザインは通常、知識がないこと、または注意不足から生まれます。
いわゆる「ノーマンドア」のように、押すべきか引くべきか混乱したり、判断に失敗したりするなど、意図せずして悪いものになります。
この用語は、上で引用したドン・ノーマンにちなんで命名されました。
(ドン・ノーマンへのインタビューを含むノーマン・ドアに関する面白い動画はこちらです)
悪いデザインは、次のような特徴を持っています。
- 機能しない
- 逆効果
- 単純にデザインが悪い
- やりにくい
- 分かりやすい測定基準
- 決してわざとではない
あなたの Web サイトにこれらのアンチパターンがあると思われる場合、それを確認したければWebメトリクスを見てみましょう。
ユーザーがページを離脱したり、あっちこっちクリックしたり、頻繁にスクロールしたりしていないかを分析してください。
不適切な Web サイトやアプリのデザインには、
・メニュー項目をクリックする前に閉じてしまうホバーオーバーメニュー
・クリックできるのに分かりにくいリンク
・エラーが発生したときに入力していたものが消えてしまった
などがあります。
邪悪なデザインとは?
一方、邪悪なデザインは、意図的に悪質で不誠実なデザインです。
ユーザーではなく、運営会社が望むようにユーザーを誘導するために作られています。
このような邪悪なデザインの手法は、ダークパターンとして知られています。
ダークパターンでは、ユーザーが意図しないことに同意、共有、購入、または契約するように意図的に設計されたインターフェイスやインタラクションが使用されます。
ダークパターンの一般的な特徴は次のとおりです。
- 作動はする(サイト側の一方的なやり方ですが)
- 一方にとってのみ生産的
- 人間の弱みにつけ込んでいる
- 巧妙に作られている
- 正しく識別しにくい
ダークパターンには、おとり商法、コンファームシェイミング、ミスディレクションなど、いくつかの異なるタイプがあります。
Windows は、おとりスイッチで話題になりました。
この例では、「今すぐアップグレード」「OK」および「✕」ボタンはすべて自動的にアップデートを開始します。
そこから抜け出すことはできませんでした。
コンファームシェイミングは、攻撃的な文言をつかい、ユーザーに罪悪感を持たせ、個人情報を集めます。
この例では、「拒否する」という選択肢には、「メールは要りません。猫が何を食べるか興味ありません。」と書かれており、猫好きな人に対してわざと「知らないことが恥だ」と思わせる言葉を使っています。
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ミスディレクションは、注意をそらすために、意図的に1つのことに注目させるデザインです。
この航空会社のWebサイトでは、追加料金がかかるプレミアムシートが自動的に選択されています。
ユーザーは「スキップ」を選択して自由席を選ぶことで追加料金の支払いをしなくていいのですが、ほとんどのユーザーは事前に選択された座席しかないと考えるでしょう。
一度このようなダークパターンに気づき始めると、ネットショッピングでカート画面になってから商品保証などを追加したり、Facebookなどのサイトで個人情報を共有させたりするなど、邪悪なデザインが蔓延していることに気づきます。
もっと詳しく知りたい方は、Design for Good or Evil presentationをご覧ください。(外部サイトへ移動します)