「亡くなって何年も経つ母宛にNHKから未払いだと多額の督促状が届いた」
以前、Twitterのある投稿に多くの反響がよせられました。
亡くなって何年も経つ母宛にNHKから未払いだと多額の督促状が届いた。
— はつか (@HK_hakka) June 20, 2018
家にはもう誰も住んでいないし、屋根には地デジ化前のVHFアンテナしかない。
何故今更こんなものが届くのかと電話をすると死後の分まで払えの一点張り。
おまけに家族の転居先の情報を全部渡さないと解約手続きが出来ないそう。
死後も引き落としが続き、解約手続きも複雑。そんなダークパターンが社会問題として注目を集めています。
目次
放送法第64条で定められている
通常、支払いをしなければ視聴が出来ないサブスクリプションサービスとは異なり、NHKは支払いをせずとも一方的に配信されます。そして、受信料の支払いは義務として定められています。
これは放送法第64条に規定されており、冒頭の投稿者のように契約者が亡くなった場合でもNHKを受信できる環境がある限り、受信料は支払わなければなりません。
参考元:NHK「受信料の支払いは義務なのか」
支払わないとどうなる?
NHKから書類や訪問員が自宅に来て、支払いをするよう説得されます。それでも支払わない場合は、民事上の手続きで支払督促が行われ、最終的には給与や財産が差し押さえられることもあります。
支払っている割合は87.1%
中には「見ないから自分は払わない」という方もいると推測します。では、実際に支払っている人はどれくらいいるのでしょうか。
「あなたの世帯は、NHKに受信料を支払っていますか?」とアンケートを取ったところ、支払っている87.1%、支払っていない12.9%という回答結果となりました。意外にも大半が受信料を支払っているようです。
参考元:日本トレンドリサーチ
解約できる?解約条件と解約方法
解約できる条件
解約できる条件は以下の通りです。
(1)受信機を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合
・2つの世帯が1つになる場合※
・世帯消滅
・海外転居 など
※ひとり暮らしの解消、単身赴任の解消など、2つの世帯が1つになる場合は、いずれか一方の受信契約が解約の対象となります。
(2)廃棄、故障などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合
・受信機の撤去
・受信機の故障
・受信機の譲渡 など
解約方法は?かかる期間はどのくらい?
解約するには、まず電話窓口で「放送受信契約解除書」を送付してもらう手続きが必須となり、電話窓口では以下のような事項の確認があります。
- 契約解除の理由
- お客様番号
- 電話をかけているのは契約者本人か
- 現在、受信機やテレビが撤去されてあるか。
- 携帯・スマホのワンセグ・カーナビなどの受信が可能な機器を保持・または保持する予定があるか
- 譲渡する場合は譲渡先の氏名・住所
譲渡した証拠として「譲渡証明書」が必要になる場合もあります。そして、電話をかけてから解約するまでおよそ2週間から3週間かかるというのも重要なポイントです。
NHKが使用するダークパターンの種類
次に、NHKが使用しているダークパターンの種類を紹介します。ダークパターンの種類についてはこちらも併せてご覧ください。
ゴキブリホイホイ
ゴキブリホイホイは、“ユーザーがあるサービスに入るのは非常に簡単だが、抜け出すのは難しい”というダークパターンです。
詳しくはダークパターン事例 サービスの退会が難しい「ゴキブリホイホイ」をご参考にしてください。
【NHK事例】
- 手続きをせずとも一方的に配信され、契約を結ぶ
- 解約手続きの入り口は電話のみ。インターネットでの手続きは不可
- 解約に至るまで2週間から3週間ほど期間が必要
- 解約手続きの書類は、数週間経過すると解約届が無効になる恐れがある
- 契約者本人以外が解約手続きをする場合、多くの書類や交渉が必要になる
強制的な継続性
強制的な継続性は、サービスの無料トライアルが終了すると同時に、何の告知もなくクレジットカードへ料金を請求するダークパターンです。
詳しくはダークパターン事例静かに強行される「強制的な継続性」をご参考にしてください。
- 亡くなった後も引き落としが行われる
- 手続きをしない限り、引き落としのお知らせ等の通知は来ない
- 引き落とし通知手続き後、お知らせは1年に1度のみ
詐欺グラフ
報道番組などでよく見かけるダークパターン「詐欺グラフ」。NHKの番組でも以下のように使われています。スポンサーへの配慮か、もしくは視聴者の印象を操作している可能性もあります。
NHKかんさい熱視線「関西にカジノ!?~IRの光と影~」でNHKが大阪の世論調査をしたと示したグラフ。「反対」「どちらともいえない」の面積は逆じゃない?このトリックに気づかない方
— 上原けんさく (@jcpkenchanu) July 21, 2018
チコちゃんに叱られるよ(笑) pic.twitter.com/zoWtKhWmjV
NHKホームページ内に解約手続きを追加
これらのダークパターンを取り入れたことにより、NHKは全国から多くの苦情を受け、令和元年行政苦情救済推進会議で以下のように改善されました。
- NHK ホームページ内の「受信料の窓口」ページを利用しやすくなるよう改善
- 「受信料の窓口」ページに設けられている「よくある質問集」に解約手続等を追加
NHKが展開する優良サービスの紹介
ここまでダークパターンの紹介ばかりしてきましたが、NHKは学校放送番組やホームページ、イベントなど学校に役立つ情報を検索できる「NHK for School」という優れたサービスを無料で提供し、学校教育のニーズに応えています。
これは、教育テレビを放送するNHKならではのサービスといえるでしょう。
参考元:NHK for School
まとめ
恐らくサービスを提供する側からすると、遺族側から連絡や手続きがない限り、自動的な引き落としは避けられないのも事実です。
しかし、煩わしい解約プロセスや、支払いに対して不安をユーザーに抱かせてしまうといったことを続けていては、いつまでもサービス改善はできません。
まずは「ユーザーはなぜ不満をいだいているのか?」を知ることからはじめましょう。そこに改善のヒントが隠れているはずです。
ダークパターンを使用しないサイトつくりを学び、あなたのサイトの信頼性を高めましょう。
・当サイトは特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動は一切行っておりません。