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ダークパターン「偽装広告」とは?
ユーザーエクスペリエンスの専門家であるハリー・ブリヌルは、2010年に「ダークパターン」という言葉を作りました。
ダークパターンとは、ユーザーに意図しない、あるいは潜在的に有害な決定をさせることを強要したり、誘導したり、欺いたりすることで、オンラインサービスに利益をもたらすユーザーインターフェース(UI)やデザインのことです。
ハリー・ブリヌルは、ダークパターンの認知度を高めるために、ダークパターンを12種類に分類したサイト「darkpatterns.org」を運営しています。
この記事では、その中の1つである偽装広告について説明します。
ブリヌル氏は、偽装広告を下記のように定義しております。
Adverts that are disguised as other kinds of content or navigation, in order to get you to click on them.
クリックさせるために、サイト内のコンテンツやナビゲーション(ボタンなど)に偽装した広告。
引用元:darkpattern.org
ユーザーを惑わせて広告をクリックさせる手法
では、「偽装広告」とは具体的にどういった手口なのでしょうか?
ソフトウェアのダウンロードサイトとして人気があるSoftpediaの偽装広告の事例でご紹介します。
Softpediaの収入源のひとつはディスプレイ広告です。そのためサイト運営企業は、ダウンロードボタンのように見える広告を掲載し、ユーザーを騙して、欲しいものを手に入れる代わりに広告をクリックさせます。
下の画像では、実際のダウンロードリンクは、ページの左上隅にあります。偽装された広告は、赤で強調表示されています。
引用画像元:https://www.darkpatterns.org/types-of-dark-pattern/disguised-ads
偽装広告の中にはマルウェアをインストールさせたり、フィッシングサイトに誘導するものもある。
引用元:https://www.darkpatterns.org/types-of-dark-pattern/disguised-ads
広告収入が主な収益源となるWebサイトによく見られる
なぜサイト運営者はそのような手口をとるのでしょうか?
サイト運営者は、より多くの収益が欲しい=クリック数を得たいので、偽装広告に手を出すのです。例えば、無料素材のダウンロードサイト、フリーウェア提供サイトなど、広告収入が主な収益源となっているWebサイトでよく見られます。
ダウンロードボタンを装ったバナー広告
無料ソフトウェアのダウンロードページ(本物のボタンはひとつだけ)
広告はインターネットに必要なものですが、中には悪質な広告も存在します。偽装広告の最も一般的な種類の1つは、ユーザーが探しているソフトウェアにつながるものではない偽物の「ダウンロード」ボタンです。
画像引用元:https://www.makeuseof.com/tag/spot-avoid-ads-disguised-download-buttons/
ダウンロードボタンに見せかけた広告は、ユーザーにとって不快感を与えます。実際これらの広告が有益なものにつながることはほとんどなく、マルウェアやジャンクソフト、フィッシングサイトに誘導されます。
大多数は広告かそうでないか見分けれるので、ほとんどの場合、ユーザーに広告をクリックさせるのは困難です。しかし、ユーザーがダウンロードのリンクやボタンを探している場合は、簡単に偽物に引っかかってしまいます。
引用元:https://www.makeuseof.com/tag/spot-avoid-ads-disguised-download-buttons/
Windowsのシステム警告を装うポップアップ画面
よく目にするポップアップ画面でも「偽装広告」の手法を取り入れているケースがあります。
Webサイトを閲覧していると、クリックもしないのに突然ページの読み込みが始まり、下のようなWindowsのシステム警告を装ったポップアップ画面が表示されることがあります。
こちらは紛れもなく詐欺広告です。
引用画像:https://akari-log.com/trap/
引用元:https://akari-log.com/trap/
カルーセルを装ったMicrosoft Cloudのバナー広告
Forbesのウェブサイトに掲載されたMicrosoft Cloudの「偽装広告」の事例をご紹介します。
この広告には、画像カルーセルによく見られるナビゲーション矢印が含まれています。この広告が何を表現しようとしているのかについては、矢印は全く意味がありません。しかし、興味本位でこれらの矢印の1つをクリックすると、すぐにMicrosoft Cloudのページに移動します。
引用画像:https://isadoradigitalagency.com/insights/dark-patterns-user-experience
引用元:https://isadoradigitalagency.com/insights/dark-patterns-user-experience
広告であることをわかりやすく提示する
ネイティブ広告としての適切な表記を用いること
インターネット広告の健全な発展と 社会的信頼の向上に取り組む日本インタラクティブ広告協会(JIAA)では 「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」のなかで、以下を推奨しています。
広告枠内に [広告]、[PR]、[AD] 等の表記を⾏う。
⽂字の⼤きさ、⽂字や背景の⾊、表⽰する位置など、わかりやすい表⽰となるよう留意する。
これらが遵守されないと、ネット広告の信頼性が低下し、さらに広告ブロック(アドブロック)ソフトの利用者が増加し、ますます負のスパイラルに陥ります。
インターネットとユーザーとの信頼関係を築くには、広告に適切な表記をすることが重要といえるでしょう。
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