情報設計

利用規約リンクを目立たない位置に置くのは問題でしょうか?

Q
ファッション系ECサイトの会員登録画面を設計しています。
登録ボタン下に「利用規約に同意します」と表示していますが、文字が小さくコントラストも弱くなっています。
規約への同意が前提となる中で、こうした設計は問題にならないでしょうか?
A
利用規約リンクを目立たない位置に配置することは大きな問題です。
このような手法は「情報の隠蔽」や「視認性の低下」といったダークパターンに該当し、ユーザーが十分な情報を得ることなく同意を求められる状態を意図的に作り出しています。

たとえば、ページ最下部の小さな文字で利用規約リンクを配置したり、背景とのコントラストが低く読みづらくしたりすることで、ユーザーはその存在に気づかないまま「同意します」ボタンをクリックしてしまうことがあります。
これは、「インフォームドコンセント(十分な情報に基づいた同意)」の原則に反し、EUのGDPRや日本の個人情報保護法など、多くの法制度に抵触する可能性があります。

また、利用規約の存在が事実上見えにくくなっていることで、ユーザーが後から「そんな内容とは知らなかった」と感じると、不信感やトラブルに発展するリスクも高まります。

ユーザーにとって透明性のあるインターフェースを実現するためには、以下のような改善策が重要です。

1. 利用規約リンクは、読みやすいフォントサイズと明確なコントラストで表示し、視認性を確保する

2. 「同意します」などのボタンのすぐ近くに規約へのリンクを配置し、自然な導線を作る

3. 長文の規約全文だけでなく、要点を簡潔にまとめたサマリー版も用意しておく

4. 料金、解約、データ共有など特に重要な内容は、強調表示や補足文で別途提示する

5. 「ご利用規約をご確認のうえ同意してください」など、能動的なアクションを促す文言を用いる

このように、ユーザーが自ら情報にアクセスしやすい環境を提供することで、企業とユーザーの間に健全な信頼関係が築かれます。
透明性は、法令遵守だけでなく、ブランド価値を高めるための鍵でもあります。

解説

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