UXデザイナーが「正しさ」を意識してデザインするにはどうすればいいですか？

UX/CXデザイナーが「これは正しいことかどうか」を意識してデザインするためには、ユーザー視点を中心に据えた倫理的判断力と、それを支える仕組みが不可欠です。
特に、短期的な成果やビジネスゴールに偏りがちな判断を、ユーザーにとって誠実な方向に戻すための仕組みづくりが求められます。

まず役立つ視点として、「ユーザーアドボカシー（擁護）」の考え方があります。
「この設計に自分の家族が触れたらどう感じるか」と想像することで、匿名のユーザーではなく具体的な人間としての共感が生まれます。
また、「透明性テスト」も有効です。
「この設計をユーザーに説明して恥ずかしくないか」と問い直すことで、ダークパターン的な要素が紛れていないかを確認できます。

近年ではAIを活用したユーザーテストや感情分析を取り入れた評価も行われており、設計の影響を客観的に検証する動きが進んでいます。

組織的な仕組みとして有効なものには、たとえば次のようなものがあります。

1.倫理的レビュープロセス：デザイン決定の前に「倫理的に問題がないか」を評価する工程を組み込む

2.多様な視点の確保：異なる立場や専門性を持つメンバーを含めたレビューで偏りを抑える

3.倫理的ガイドラインの策定：組織として「避けるべき設計」や「許容できる表現」を定め、判断の基準を共有する

4.ユーザーテスト時の倫理：「騙されたと感じる要素はあるか」といった設問を加え、設計への違和感を探る

5.長期的影響の評価：短期KPIだけでなく、ユーザーの信頼度や推奨意向など長期指標も併せて評価する

こうした視点と仕組みによって、デザイナーは「できること」と「すべきこと」を見極め、倫理とビジネスの両立を図るデザインが可能になります。
倫理的な判断は制約ではなく、持続的な信頼と成果を生むための強力な武器となるのです。