「同意する」だけのクッキーバナーを避けるにはどうすればいいですか?

Q
メディア系サイトのクッキーバナーを検討しています。
「同意する」ボタンを大きく見せ、拒否や詳細設定は控えめに表示する案があるのですが、選びやすさや納得感を大切にするには、どんな工夫が考えられるでしょうか?
A
「同意する」ボタンしかないクッキーバナーは、ユーザーに真の選択肢を与えない設計として、ダークパターンの代表例とされています。
こうした一方的な同意取得は、GDPR(EU一般データ保護規則)などのプライバシー法に抵触するリスクがあり、企業にとって法的・信頼的なリスクとなり得ます。

ユーザーの意思に基づいた適切な同意を取得するためには、視覚的にも内容的にも公平で透明なクッキーバナー設計が求められます。
必須でないクッキーについては、ユーザーが選択できる設計にし、情報の提示方法もわかりやすくすることが基本です。

選択肢を尊重するクッキーバナーを設計するためには、以下のような工夫が有効です。

1.複数の選択肢の提示:「すべてに同意する」だけでなく、「必須のみ許可」「カスタマイズする」といった選択肢を、ボタンとして同等に表示する

2.視覚的なバランス:すべての選択肢のボタンサイズや色、配置を統一し、拒否ボタンやカスタマイズオプションを目立たなくしない

3.カテゴリー別の設定:広告、分析、機能改善などクッキーの種類ごとに用途を明示し、個別に許可・拒否できるインターフェースを用意する

4.わかりやすい説明:専門用語を避けた平易な言葉で、各クッキーの目的や扱うデータの種類を簡潔に説明する

5.設定変更のしやすさ:一度同意した設定を、いつでもユーザー自身が見直せるリンクや設定画面を明確に設置する

6.表示の工夫:バナーが閲覧体験を妨げないよう配慮しつつ、必要な詳細情報にはすぐアクセスできる構造を持たせる

これらの配慮を行うことで、ユーザーは自らの意思で同意や拒否を判断できるようになり、透明性と自律性を尊重したUXが実現されます。
その結果、法令遵守だけでなく、長期的な信頼関係の構築にも寄与します。

解説

このダークパターンQ&Aを見ている人はこちらも見ています

wws_saiyo_book
Webサイトに関わる人なら知っておくべき
ダークパターン最新情報

実例を元にダークパターンを防ぐノウハウを学べる

  • ユーザーを騙すUIデザイン
  • サイト離脱を招く原因
  • 売り上げが減少するコピー
  • クレームを防ぐには?
前の投稿
ユーザーを騙さない同意取得のポイントはありますか?
次の投稿
ダークパターン規制の考え方に日本企業はどう備えるべきですか?
メニュー