情報設計

フォーム送信後に意図しない契約が発生するのは問題でしょうか?

Q
健康食品のサンプル申込みフォームを設計しています。
フォーム送信と同時に申込みが成立する流れにしていますが、実はその時点で定期購入が始まっている仕様です。
「無料サンプルのつもりだったのに契約になっていた」と感じさせてしまうでしょうか?
A
フォーム送信後に意図せず契約が成立してしまうケースは、明らかにユーザーの信頼を損なう深刻な問題です。
これは「隠れ契約」や「誤認誘導」といったダークパターンの一種であり、利用者の自覚がないまま定期購入や有料サービスへの申し込みが完了するよう誘導する設計は、非常に不適切です。

本来、契約は当事者同士の合意によって成立するものですが、問い合わせフォームや資料請求フォームを送っただけで、契約が自動的に始まるような設計は、その基本原則を大きく逸脱しています。
このようなケースは、ユーザーとの信頼関係を著しく損ねるだけでなく、日本の消費者契約法や特定商取引法に抵触する可能性も高く、法的トラブルの原因となります。

実際、消費者庁にもこうした契約トラブルの相談が多数寄せられており、注意喚起が行われています。

ユーザーに安心して利用してもらうためには、次のようなデザイン改善が求められます。

1. フォームの目的が問い合わせなのか契約申込みなのかを、ページ冒頭で明確に記載する

2. 契約に関わる事項(料金、期間、解約条件など)を事前に強調し、目立つ形で表示する

3. 契約が発生する場合は、送信前にチェックボックスや確認画面で「この内容に同意します」と明示的な操作を促す

4. 送信完了画面でも、契約の有無とその内容を再表示し、ユーザーが最終確認できるようにする

5. クーリングオフ制度やキャンセル方法など、消費者の保護手段についても分かりやすく説明する

このように、透明性と誠実さを備えた設計こそが、不要な誤解や苦情を防ぎ、結果として持続可能な顧客関係の構築に繋がります。
意図しない契約が発生しない仕組みは、企業とユーザーの双方にとって大きなメリットとなります。

解説

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