ダークパターンとは、 ユーザーインターフェースの中にある、ユーザーを欺くデザイン要素のことです。
それにより、ユーザーが別の方法では行わないようなアクションを実行するように、操作します。
これらはユーザー中心のデザインの原則に反し、企業の利益のためにユーザーを搾取する手法といえます。
隠れたコストや オプトアウトのトリックから、誤解を招くようなボタンやラベル、強制的なアクションに至るまで、ダークパターンはウェブ、モバイル、企業のアプリ全体に蔓延しているのです。
ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインにおいて、これらはますます差し迫った問題になってきました。
本日は、ダークパターンのいくつかの種類と、それがユーザーにもたらす弊害、そしてそれを防ぐために何ができるかを見てみましょう。
1: 強制的な継続性 – いつでもキャンセル可能
サービスを無料で試用できる期間が終わると、何の前触れもなく、クレジットカードへの請求が始まります。
場合によっては、退会しやすくすることによって、さらに事態を悪化させることもあるのです。
例:Audible(オーディブル)
Audible.comは、無料トライアルに登録するようユーザーを誘い、無料トライアルが終了すると、警告なく自動的にユーザーに課金をします。
また、このサイトは、ユーザーに購読のキャンセルを簡単にはさせません。
代替策: Adobe(アドビ)
一方Adobeは、はっきりと(それほど明確ではありませんが)それを呼びかけ、今後の請求についてユーザーに思い出させる電子メールを送信します。
2: ゴキブリホイホイ
このデザインは、ある特定の状況に陥るのを非常に容易にしますが、そこから抜け出すのを難しくします。
例: Amazon
Amazonは、一度加入したプライム会員を解約するのを非常に難しくしています。
ユーザーは、画面上で複数の横方向と縦方向の移動を繰り返し、解約するためのボタンを探さなければなりません。
中には疲れてイライラし、キャンセル作業を途中で放棄してしまう人もいるでしょう。
代替策: YouTube
クラウドの世界では、サービスの契約とキャンセルは非常にありふれた操作です。
ほとんどの定期購読ベースのアプリでは、アカウントメニューにすべてのアカウント関連情報を配置することが一般的な対処法です。
ユーザーがお金を払うことを考えると、解約をいつでも柔軟に行えることは、非常に重要です。
YouTubeのプレミアム会員は、解約への道筋がわかりやすくかつ直接的な方法で用意されています。
3: 隠されたコスト
あなたは、最終ステップまで進んだところで、配送料や消費税など、予期せぬ請求が表示されたことに気づきます。
例: Instacart
Instacartは会計の際、非常に目立つように合計金額を表示しますが、最後のステップで、隠れたコスト(手数料、税金)が加算されるようになっています。
さらに、この追加費用はスクロール可能な画面の下に巧妙に隠されており、”Place order(注文する) “という目立ったボタンが設置されているのです。
代替策: Costco
一方で、Costcoのオンライン配送アプリでは、最終段階で税金が加算されることを利用者に伝えています。
税金以外の隠れた手数料はありません。
また、アプリでは初期設定で送料を無料に設定していますが、ユーザーは追加料金を支払うことで発送を早めることが可能です。
4: 視覚的干渉
このデザインは、注意を別のものからそらすために、意図的に意識をあるものに集中させます。
例: StreetEasy
StreetEasyでは、ユーザーが検索した物件を “My Activity ” ページに 保存できます。
このアイデアは、ユーザーが検索した物件を後で探し、見ることができるというものです。
保存 をクリックすると、”Save this search(この検索を保存する)” というタイトルの非常に魅力的なCTAボタンが付いた画面がポップアップで表示されます。
しかし保存をクリックすると、ユーザーはそのままこっそりと、毎日更新されるEメールを購読することになるのです。
代替策: Redfin
Redfin (www.redfin.com) にも似た機能があり、同じように対話ができます。
しかし、Redfinは、ユーザーに行動を呼びかけ、ユーザーが購読を選択できるようにしています。
どの選択肢も等しく評価され、ユーザーが誘導されることはありません。
ユーザーは、何が起きているのか、どのような行動が必要なのか、その結果はどうなるのかを簡単に理解できます。
5: コンファームシェイミイング(羞恥心の植え付け)
ユーザーの気持ちをなだめて、何かに同意させることを指します。
辞退の選択肢は、ユーザーに恥をかかせるような形で表現されます。
例: Loft
Loftは、ユーザーがスペシャルオファーを断ろうとすると、「NO THANKS, I PREFER TO PAY FULL PRICE(結構です。私は全額の支払いを好みます。」というメッセージを表示します。
ここで使われている否定的な表現は、ユーザーにこのオファーを断ることに罪悪感を抱かせ、代わりに承諾するよう促すことを目的としているのです。
代替策: AYR
AYRは、表示されたオファーを閉じるか、”No Thank You (いいえ、結構です)”をクリックするだけのオプションを提供することで、シンプルさを保っています。
15%のオファーを拒否することに、恥や罪悪感を抱かせるメッセージはここにはありません。
結論
ユーザーのためのデザイン、公正さ、倫理を欺いたり、卑屈になるのではなく、説得し、透明性を保つことを覚えておきましょう。
ダークパターン(欺瞞的デザイン)は、ここで取り上げた以外にもあります。
もっと詳しく知りたい方は、https://www.deceptive.design/ をご覧ください。
参考
1: www.darkpatterns.org
2: Gray, C.M., Kou, Y., Battles, B., Hoggatt, J., & Toombs, A. (2018). The Dark (Patterns) Side of UX Design. Proceedings of the 2018 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems.