ダークパターン:見分け方と防止策

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写真左からDanie Strachan、Lauren McClanahan、Monique Chvatal

Danie Strachanは、VeraSafeのプライバシー専門家です。データやプライバシーに関する法律をわかりやすく説明し、企業がルールを守りながら安全にデータを管理できるような手助けを行っています。

Lauren McClanahanは、コミュニティディレクターとして、世界中のプライバシー法や動向を常に把握し、プライバシーとデータ保護に関するクイズウェビナーなどを開発、主催しています。

Monique Chavatalは、VeraSafeの商業部門の責任者として、営業とマーケティングの両チームを率いています。人間味あふれる世界最高のデータ保護アドバイスを提供するという使命に沿った取り組みを推進しています。

3名はVeraSafeに所属しています。VeraSafeは、米国、EU、南アフリカなど、世界中で活動しており、弁護士、個人情報保護の専門家、ITセキュリティの専門家からなるコンプライアンス専門企業です。2010年創立より、プライバシーおよびデータ保護コンプライアンスサービスを提供しています。

この記事はDark Patterns: How To Detect and Avoid Themの翻訳転載です。VeraSafeの許可を得て公開しています。

ダークパターンとは何か?

ダークパターンとは、ユーザーを騙したり、惑わしたりすることで、購入、ニュースレターへの登録、個人情報の共有など、意図しない意思決定をさせることを目的としたデジタルデザインの手法です。

優れたユーザーインターフェース(UI)デザインとは異なり、これらの欺瞞的な手法は、ユーザーの選択を犠牲にしてビジネスに利益をもたらすものであり、誤解を招くコピー、隠れたコスト、混乱を招くレイアウトなど、さまざまな形を取られます。

最もよく使われるダークパターンに隠された意図

  • 解約しようとしたり、ポップアップウィンドウを閉じたり、サービスから退会しようとしたりする際に、ユーザーを苛立たせる
  • できるだけ早く、製品やサービスを購入するよう促す
  • 航空券を購入する際に同時に保険に加入させるなど、ユーザーの意図していないことをさせる
  • 位置情報を追跡する機能を、「使うかどうか」を選ばせるのではなく、「使いたくない」と言わないと自動的に使われるようにしたり、「クッキーを受け入れる」ボタンを「拒否する」ボタンよりクリックしやすくしたりして、ユーザーが意図した以上の情報を共有することに同意させる

なぜアプリやウェブサイトからダークパターンを排除すべきなのか?

2010年にハリー・ブリヌル(Harry Brignull)によって初めてこの言葉が作られて以来、ダークパターンの使用は大幅に増加しています。特に、ビジネス目標を達成しなければならないというプレッシャーが高まっている場合、こうした手法を利用して購入やユーザーの獲得、定期購入を増やしたくなるからです。しかし、監視当局はダークパターンの利用を厳しく取り締まり、一部の国ではダークパターンの利用を規制する法律が施行され始めています

さらに、このような疑念を抱かせる行為は、企業の長期的な成長を妨げることがあります。結局のところ、もしあなたのUIが、ユーザーにとって騙された、あるいは見下されたと感じさせるような、あやしさを感じさせるものであれば、遅かれ早かれその顧客を失うことになるでしょう。消費者や規制当局はこうした操作手法をいち早く察知し、競合他社は透明性が高く、誠実で、ユーザーフレンドリーな体験を提供することで、やがて優位に立つようになります。

ダークパターンを避けるべき3つの理由

1.顧客の信頼を損なうダークパターン

ウェブサイトやアプリケーションにダークパターンが存在すると、組織の信頼性や消費者の信用を損ない、最終的にはそれを利用する企業の評判を落とすことがあります。2021年に英国で行われた調査によると、調査対象となった消費者のほぼ4分の1が、ダークパターンを使用している組織を否定的に考えた経験があり、16%がダークパターンが原因でウェブサイトやアプリの使用を(一時的または永続的に)止めたことがあると回答しています。

またこの調査では、消費者の15%がダークパターンの使用によって組織に対する信頼が損なわれたと答えています。消費者は騙されることを好みません。彼らはSNSで#darkpatternを使ってダークパターンの使用を非難し、ひどい事例を訴えるための「不名誉殿堂(Hall of shame)」まで作っているのです。

2.ダークパターンにかくれた個人情報保護法に違反する可能性

ダークパターンの使用は非倫理的であるだけでなく、法域によっては違法です。UIとUXにおけるダークパターンの存在は、米国と欧州連合(EU)の両方の法制局が最近対策を講じるほど広まっているのです。

例えば、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)は、ダークパターンを使ってユーザーを操作し、個人情報の販売や共有に同意させる企業を対象としています。この法律では、ダークパターンを使って得た同意は、CCPAの下では有効な「同意」ではないと明言しています。

欧州のデータ保護当局もダークパターンの使用を抑制しており、2021年3月、EUとEEAのデータ保護当局連合は、ダークパターンに関するガイドラインを発表しました。このガイドラインでは、このような欺瞞的な手法を使用することがGDPRの基本原則の侵害にあたることを詳しく説明しています。間もなく、EUのデジタルサービス法もオンラインのプラットフォーム事業者がダークパターンを使用することを禁止します。

米国のコロラド州、コネチカット州、バージニア州の新しいプライバシー法もダークパターンをターゲットにしています。これらの法律は決して無意味なわけではありません。例えば、GDPRとCCPAの両方には、コンプライアンス違反に対する罰則規定があり、GDPRでは、特定の状況において、個人が組織に対して補償を要求する権利まで与えられているのです。

一般的な傾向としては、企業は積極的にビジネス勧誘を行おうとしている司法管轄区域の法規制に従います。EEA内の個人を監視したり、製品やサービスを提供したりする米国の組織は、その業務の特定の側面に関してGDPRを守らなければなりません。カリフォルニア州、コロラド州、コネティカット州、バージニア州、その他個人情報保護法のある米国各州で事業を行っている特定の事業体は、これらの法律も遵守する必要があります。

3.ユーザーエクスペリエンス(UX)はビジネス成功の鍵

UXはユーザーの定着率とコンバージョン率に直接影響を与えます。
しかし、優れたUXとダークパターンはどちらもユーザーが望む行動を実行する可能性を高めるものですが、大きな違いがあります。良いUXはユーザーの要望と体験を優先する一方で、ダークパターンはユーザーを犠牲にしてビジネス目標を最優先にするのです。

優れたUXは、ユーザーの満足度と関心度を高める、ユーザーフレンドリーで直感的なインターフェースを作ることを目的としています。対照的に、ダークパターンは本質的に操作的であり、ユーザーを惑わし、意図しない行動を取らせることを目的としています。

常にダークパターンで溢れかえっているネットの世界では、使いやすく透明で正直なインターフェースが新鮮な風を吹き込むことができます。

ダークパターンを使用した企業に対する強制措置

規制があれば、取り締まりが行われることもあります。アプリやプラットフォームでのダークパターン使用を警戒していない企業は、規制ルールの不利な側に立たされ、高額な罰金、消費者訴訟、強制的な事業停止、業務変更に直面する可能性があるでしょう。

消費者からの苦情が増加しているため、米連邦取引委員会(FTC)は取締りを強化すると宣言し、すでにダークパターンの撲滅に取り組んでいます。FTCは、ダークパターンを調査するためのバーチャルワークショップを開催し、その後、消費者を騙して定期購読サービスを受けさせるようなダークパターンの使用を企業に警告する報告書と取り締まりの方針を定めた声明を発表しました。

クッキーを拒否するよりも受け入れる方がはるかに簡単に設定されているダークパターンが、フランスの法律に違反したとして、データ保護当局がGoogle(グーグル)とFacebook(フェイスブック)に合計2億3800万ドルの罰金を科しました。

さらに、Network Advertising Initiative(ネットワーク アドバタイジング イニシアティブ)のような業界固有の自主規制団体も、ダークパターンに注目する必要性を指摘し、会員企業がダークパターンの慣行をよりよく理解し、その使用を避けるための最善の方法を実施するのを支援するガイダンスを発表しています。

ダークパターンを避けるための最善の方法とヒント

  • 透明性を優先し、各ユーザーが行う操作の内容と意味を明確に伝える。一度きりの操作や、データや金銭を失う可能性がある操作では、常にユーザーの確認を求める。
  • すべての文章、プロンプト、行動喚起には、わかりやすく明確な言葉を使う
  • 重要な情報を隠したり、提供を遅らせたりしないこと。例えば、ユーザーが購入する前に、追加料金や隠れた料金を含むすべての費用を明確に表示する。
  • 小さなフォント、コントラストの少ない色の使用、あるいは情報の配置を戦略的に工夫することにより、ユーザーにとって情報が目立たなくなったり、アクセスしにくくなったりするような、欺瞞的なデザインは避けること。
  • データがどのように使用され、保存されるかをユーザーに伝え、必要な場合には明らかな同意を得ること。
  • ユーザーが個人情報の収集や利用を明確に拒め、プライバシー設定を簡単に見つけて変更できるようにする。
  • オプトアウトの方法を使うのではなく、ユーザーが機能やサービスへの参加を積極的に選択できるようにする。それが不可能な場合は、どの項目がデフォルトで選択されているかを明示し、簡単に変更できるようにする。

ウェブサイトやアプリからダークパターンを取り除く方法

  1. 監査の実施や、ウェブサイトやアプリを見直し、欺瞞的または誤解を招くと考えられる要素やプロセスを特定する。
  2. ユーザビリティテストを実施し、わかりにくいまたは誤解を招くインターフェースに関するフィードバックを集める。
  3. 倫理的デザインのガイドラインを参照し、業界の成功事例に従って、一般的にダークパターンとされるものを理解する。
  4. 特定されたダークパターンを取り除き、わかりやすく使いやすい別のものに置き換える。
  5. 倫理的なデザインの重要性についてチームを教育し、将来的にダークパターンが含まれることを防ぎ、これらが最終的にビジネスの成功を妨げる理由について、全体的な組織を教育する。
  6. 利用規約とプライバシーポリシーが、貴社のビジネスのやり方を正確に反映していることを確認する。
  7. ユーザーのレビュー、SNSのコメント、一般的なフィードバックに目を配り、ダークパターンや欺瞞的な行為に関する言及がないか確認する。
  8. ウェブサイトやアプリを定期的に更新・見直し、新機能やアップデートがダークパターンを引き起こさないようにする。

ダークパターンの特定には、ウェブサイトやアプリのデザインを慎重に評価する必要があります。あなたのウェブサイトやアプリにダークパターンがないことを確認する最善の方法は、プライバシーとUXの専門家に相談することです。ダークパターンの特定と修正プログラムを開始するには、プライバシーに関するカスタマイズされたアドバイスをお求めの上、VeraSafeに相談しましょう。

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