Cookieバナーはユーザーの同意が必要?企業が避けるべきリスクと規制

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Webサイトでは、「Cookie(クッキー)の使用に同意しますか?」といったメッセージを表示される場面が多いのではないでしょうか。Cookieの使用にあたって、日本国内ではデータ収集や第三者提供の際に利用者の同意が推奨されており、特に外部サーバーへデータを送信する場合には情報提供も必要とされています。また、欧米ではCookie利用にはユーザーの明確な同意が必須であり、違反には高額な罰金が科されるため、日本企業も慎重な対応が求められます。

画像引用元:Infinity-Agent Lab「Cookieポリシーとは?個人情報保護の観点から欠かせない仕組みや背景、設定方法などについて解説!」

Cookie(クッキー)とは?

Cookieとは、Webサイトがユーザーの端末に一時的に保存するデータファイルで、ユーザーが再訪した際に過去の設定や行動履歴を参照するために利用されます。たとえば、ログイン状態の保持、ショッピングカートの内容保存、過去の閲覧履歴に基づいたおすすめ表示などがその例です。これによりユーザーにとって便利さが向上する一方、同意なしに利用された場合はプライバシーの侵害につながる可能性もあります。

画像引用元:Infinity-Agent Lab「Cookieポリシーとは?個人情報保護の観点から欠かせない仕組みや背景、設定方法などについて解説!」

Cookieポリシーの必要性

Cookieポリシーとは、Cookieの利用目的や使用方法についてユーザーに説明するためのページです。日本国内では、2022年4月の改正個人情報保護法第31条により、Cookieや閲覧データを扱う場合に情報提供や同意が推奨されています。同意取得が必須とまでは定められていませんが、Cookieを利用する多くの企業がユーザーへの説明と同意取得を通して透明性を確保するため、Cookieポリシーを設置しています。

画像引用元:VALTECWEB「改正電気通信事業法やGDPRにより Cookie規制が強化されます」

Cookieポリシーに含むべき内容

  • Cookieの種類と目的:利用しているCookieの種類とその役割
  • 収集内容と使用用途:収集されるデータの種類とその用途
  • 第三者提供の有無:Cookie情報が第三者に共有されるかどうか
  • Cookieの保存期間や管理方法:Cookieの有効期限や削除方法
  • ユーザーの選択肢:Cookieの同意や拒否、個別設定の方法

同意が不要なCookieもあり、Webサイトの基本機能を支えるために使用され、「必須Cookie」や「必要不可欠Cookie」と呼ばれます。

同意が不要なCookieの例

  • セッションCookie:ログイン中のセッションを維持したり、ショッピングカートの内容を保存。
  • 認証Cookie:ログイン状態を保持。
  • セキュリティCookie:不正アクセス防止やセキュリティ強化。
  • ユーザー入力Cookie:フォーム入力内容の一時保存。

これらのCookieはユーザー追跡を目的とせず、サイトの利用に不可欠であるため同意が不要です。ただし、Cookieポリシーに明記することが望まれます。

ダークパターンとしてのCookieバナー

Cookieバナーは、デザインや情報の伝え方によっては、ダークパターンのように、ユーザーが無意識に不利な行動を取るように設計された、悪意のあるデザインになり得ます。これらはユーザーに意図せず同意を促す形となり、信頼を損ねる可能性があります。

<ダークパターンに該当する例>

  • ミスディレクション(誘導):「同意する」ボタンを目立たせて他の選択肢を見えにくくしている。
  • フォースドアクション(強制):「同意する」しか選べない設計している。

画像引用元:ねとらぼ「最近よく見る「Cookie使用同意バナー」、実は無意味? 専門家が指摘するちぐはぐ対応」

日本ではダークパターンを直接的に規制する法律はありませんが、関連する法律や包括的な対策を強化する動きがあり、今後はダークパターンを用いたCookieバナーを使用するには注意が必要です。

■合わせて読みたい

日本におけるダークパターン規制の現状と企業が取るべき対策とは

「消費者を騙すダークパターンとは?」を丸ごと解説

日本におけるCookieバナーとデータ収集に関する問題事例

日本でも、同意取得に関する問題事例が発生しています。

リクナビ:内定辞退予測問題

2019年、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、ユーザーの同意を得ないまま、サイト内で収集したデータを基に「内定辞退の予測確率」を算出し、企業に販売していたことが明らかになりました。ユーザーの同意がないままデータが第三者に提供されていたことから、プライバシー保護の観点で問題視され、個人情報保護委員会はリクルートキャリアに対して行政指導を行いました。

LINE:ユーザー情報の海外委託問題

2021年、メッセージアプリのLINEが、ユーザーの個人情報を中国の委託先で処理していたことが発覚しました。ユーザーへの十分な説明や同意を得ないままに、ユーザー情報が海外に委託されていたため、プライバシー保護に対する懸念が浮上し、大きな批判を受けました。

これらの事例は、Cookieの同意取得がまだ十分に浸透していなかった2010年代後半から2020年代初頭に起きたものですが、共通して言えるのは、どちらもユーザーの同意や認識がないまま、データを不透明に収集し第三者へ提供され、適切な管理が欠如していることで、違和感を覚える個人情報の扱いがなされていた点です。

ユーザーの信頼を損なわないためには、個人情報保護対策は欠かせません。特にCookieを含むデータ収集の透明性や、ユーザーの同意を得るプロセスの整備は、企業が安全なインターネット環境を提供するためにも極めて重要です。

欧米でのCookie規制

欧米ではCookieバナーの利用に制限する規制が進み、日々プライバシー保護は強化されています。なかには、Cookieバナーで拒否オプションが不明確だったとして、高額な罰金を科された例もあります。

EU:GDPRとePrivacy指令

GDPRでは、Cookieを通じた個人情報の収集にユーザーの明確な同意が求められ、詳細説明と拒否の選択肢提供が必須です。ePrivacy指令でもCookieによる追跡には同意が義務付けられており、さらなる規制強化が進行中です。

アメリカ:CCPAとCPRA

カリフォルニア州のCCPAは、Cookieを含む個人データ収集にユーザーの選択権を保証し、2023年のCPRA施行によりデータ保護が一層厳格化されました。

Cookie使用のリスクと企業が気をつけるべきポイント

Cookieはユーザーの利便性向上に貢献する一方で、適切に管理しないとリスクが伴います。

  • 法的リスク:GDPRや日本の個人情報保護法に基づき、Cookie使用にはユーザー同意が義務化されており、違反には罰金や業務停止のリスクがあります。
  • ユーザーの信頼損失:過剰な追跡やダークパターンのCookieバナーは、ユーザーの信頼を損なう原因となるため注意が必要です。
  • サイバーセキュリティリスク:Cookieに保存されたデータが不正アクセスされると、個人情報の漏えいや企業の信用低下につながります。

最後に

適切なCookie管理は、企業の信頼性とユーザーの安心感を支える重要なポイントです。Cookie使用に伴うリスクを理解し、法令を遵守した透明な対応を行うことで、ユーザーの信頼を築き、より良いサービスの提供が可能になります。企業にとって、安心して利用できる環境を提供することが、今後の持続的な成長に欠かせない取り組みとなるでしょう。

▶cookieバナーを設置・運用する際に意識したいダークパターンについて知りたい方はこちら

 

参考:Knowledge Center「Cookieポリシーは必要?作成が必要なケースや作成時のポイントを解説」

TOPPAN BIZ「Cookie規制とは?デジタルマーケティングへの影響と今後の対策を考える」

NHK「Cookieバナー多すぎ? ダークパターンに注意」

Business & Law「Cookieの利用に関する日欧の法規制の概要とその対応策-改正電気通信事業法及び総務省令案を踏まえて-」

CNET Japan「LINE、中国の委託先が個人情報を閲覧できる状態に–詳しい経緯と対策を説明」

 

#ダークパターン#Cookie

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