【東京都が初の措置命令】SNS広告で「誰でも痩せる」 ステルスマーケティングが景品表示法違反に

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2025年3月28日、東京都はダイエット関連商品の広告表示において、景品表示法違反があったとして 「株式会社ダイエットプレミアム」に措置命令を行いました。

この命令は、2023年10月に施行された「ステルスマーケティングに関する告示」に基づくもので、地方自治体としては初の行政処分となります。

対象となった広告は、SNSバナーやアフィリエイト広告、インフルエンサー投稿など、インターネット上で広く見られるものでした。事業者の広告管理において見逃されがちなポイントが、今回の事案で明らかになっています。

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問題になった広告表現

(1)優良誤認表示:「簡単に痩せる」と誇張した効果表示

「運動や食事制限なしで誰でも短期間で痩せられる」といった表現が、複数のアフィリエイトサイトで使用されていました。

しかし、こうした効果について東京都が合理的な根拠資料の提出を求めたところ、「存在しない」との回答がありました。このため、景品表示法第5条第1号(優良誤認表示)に該当すると判断されました。

(2)虚偽の実績:「米国でNo.1」「セレブに人気」は事実無根

広告では「米国ダイエット部門で人気No.1」「有名人が支持」などといった表現も見られましたが、これらはいずれも事実に基づいていないものでした。

信頼性の高そうなイメージを使った誇張表現も、根拠がなければ景品表示法違反となります。

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(3)ステルスマーケティング:広告であることを隠していた

同社は、インフルエンサーに報酬を提供し、自社商品の紹介投稿をInstagram上で行わせていましたが、「広告であることを明示しないまま」投稿させていたことが問題視されました。

さらに、その投稿内容を自社販売サイトでも抜粋して表示していましたが、そこでも広告であることを表示していなかったため、景品表示法第5条第3号の「ステルスマーケティング告示」に違反したと判断されました。

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東京都の措置命令の内容

東京都は、以下の内容を含む措置命令を発出しました。

  1. 違反となる表示を行ったことを消費者に対して周知すること
  2. 今後、同様の表示を行わないこと
  3. 再発防止策を講じ、社内で周知徹底すること

また、都は消費者に対しても「短期間で簡単に痩せられる」などの表現には注意するよう呼びかけており、無理のない健康的な痩身目安は半年で4~5kg程度としています。

Web広告で注意すべき3つのポイント

今回の事案は、通販業者や健康食品関連の事業者だけでなく、すべての中小企業にとって重要な注意喚起となります。以下のような点に特に注意が必要です。

1.アフィリエイト広告も「自社の広告」として責任を持つ

外部パートナーが運用するアフィリエイト広告であっても、その内容に不当表示が含まれていれば、自社が責任を問われます

2.「No.1」「○%が支持」などの実績表現には裏付けを

数字やランキングに関する表現は、具体的な調査結果や統計データに基づくものでなければならないとされています。

3.ステルスマーケティングは明確に「広告」と表示する

報酬を提供してインフルエンサーに投稿してもらう場合や、自社のウェブサイトでその内容を使用する場合には、「広告」「PR」「タイアップ」などの表示を行うことが義務づけられています

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東京都の取り組み「東京デジタルCATS」とは?

今回の調査・措置命令の背景には、東京都が2023年7月から開始した「東京デジタルCATS」という新体制があります。

この取り組みでは、SNSやアフィリエイトなどのインターネット広告を専門的に監視・調査する体制を構築し、不当表示を早期に発見・指導・処分できる体制を整えています。

本件はその第一号として、地方自治体初のステマ告示適用となった処分例です。

広告担当者がチェックすべき3点

  1. すべての広告(自社サイト・アフィリエイト・SNSなど)を再点検しましょう。
  2. 「No.1」や「高評価率」などの表示には根拠資料を持ちましょう。
  3. インフルエンサーや外注ライターを使う場合は、契約書に「広告表示義務」を明記しましょう。

まとめ

今回の命令は、個別企業にとどまらず、全国の中小企業にも「広告表示を適正に管理するように」という強いメッセージを発するものでした。

短期的な広告効果を狙った誇張表現や、不明瞭なインフルエンサー活用は、信頼性の損失や法令違反のリスクを生む可能性があります。

広告表示を「顧客との信頼関係づくりの入り口」と捉え、透明性と誠実さを大切にした広告運用を行うことが、長期的な企業成長につながります。

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参考:

都庁総合ホームページ-景品表示法に基づく措置命令

生活文化スポーツ局:景品表示法に基づく措置命令-ステルスマーケティング告示に該当する広告に対する措置命令は地方自治体で初(pdf)

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