2025年2月21日、トルコの商務省に属する広告委員会(Reklam Kurulu)は、2月14日に開催した第354回会合において、消費者を誤導する広告や商業行為に対する厳しい措置を決定しました。
特に、虚偽の消費者レビュー、ダークパターンを用いたウェブデザイン、金融サービスの誤解を招く広告が取り締まりの対象となり、合計30.2百万トルコリラ(約1.4億円)の罰金とアクセス制限措置が科されました。
わかりやすく5つのポイントを解説
1.未確認のレビュー投稿を制限
消費者が購入・利用したことを証明できないレビューの掲載を禁止。企業は、口コミや評価が実際の購入者・利用者によるものであることを確認する義務を負う。
2.Googleレビューや他の口コミサイトが対象
Googleレビューを含む、ブログや口コミサイトなどの「確認不能なレビュー」にも規制を適用。企業のウェブサイト上で未確認レビューを掲載することも禁止。
3.違反に対する罰則を強化
広告委員会が205件の審査を行い、183件を違反と認定。違反企業には総額30.2百万トルコリラ(約83万ドル)の罰金を科した。
4.アクセス制限の適用
消費者保護のため、違反が認められた37件について、アクセス制限(ブロック)措置を実施。
5.ダークパターンや金融広告も対象
ユーザーを意図的に誤誘導する「ダークパターン」デザインを用いた企業に対しても罰則を適用。金融広告における「特別オファー」と称した誤解を招くキャンペーンも取り締まりの対象に。
虚偽の消費者レビューへの規制強化
オンラインショッピングにおいて、消費者レビューや評価は購入決定に大きな影響を与えます。しかし、一部の企業が虚偽または確認不能なレビューを掲載し、消費者を誤導していることが問題視されていました。今回の規制では、
- 商品やサービスを実際に購入した消費者のみがレビューを投稿できるようにすること
- 第三者プラットフォーム(Googleレビューやブログなど)から
- レビューを無検証で掲載することを禁止すること
が義務付けられました。これに違反した企業には、掲載停止命令と罰金が科されました。
ダークパターンを用いたデザインの取り締まり
ダークパターンとは、ウェブサイトやアプリのインターフェースを意図的に操作し、消費者が合理的な判断をするのを妨げるデザイン手法です。今回の会合では、特に以下の点が問題視されました。
- サブスクリプション(定期購入)の解約を意図的に難しくするデザイン
- ユーザーの意図しないクリックを誘導する配置
- 不要なオプションをデフォルトで選択状態にする仕組み
これらの手法を用いた企業に対して、広告委員会はサービスの一時停止と罰金措置を科しました。
金融広告の誤解を招く表現に罰則
さらに、金融サービスの広告において、
- 「特別なオファー」として宣伝されていたものが、実際にはすべての消費者に適用されるものであったこと
- キャンペーンの適用条件や制約事項が明確に説明されていなかったこと
が問題視されました。これらの誤解を招く広告に対して、掲載停止命令と罰金が科されました。
ダークパターン最新情報
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企業に求められる対応
今回の広告委員会の決定は、トルコ国内の企業だけでなく、トルコ市場で事業を展開するすべての企業に影響を与える可能性があります。特に、
- 消費者レビューの透明性を確保する
- ウェブサイトやアプリのデザインを見直し、ダークパターンを排除する
- 広告表現を明確にし、消費者が誤解しないようにする
といった対応が求められます。
日本でも、消費者庁がステルスマーケティングやダークパターンに対する規制を強化する動きがあります。グローバル市場における規制強化の流れを受け、今後、企業の透明性確保と誠実な商業行為がますます重要となるでしょう。
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