The Privacy Whispererを購読すると、プライバシーとAI (人工知能) の最も重要なトピックの最新情報を入手することが可能です。
このニュースレターでは、プライバシーにおけるさまざまなダークパターンについて紹介してきました。
今日は、私が学術論文で発表し、ダークパターンに関する最近のEU (欧州連合)とOECD (経済協力開発機構) の報告書でも引用された、プライバシーにおけるダークパターンの分類法についてお伝えしたいと思います。
また、プライバシーにおけるダークパターンを実際の例をご紹介します。
“データ主体の意思決定プロセスを、個人情報の保護に不利益なサービス提供者に
有益な方法で操作するユーザーエクスペリエンス(UX)の実施”
私の論文にあるように、ダークパターンに個人データを含む場合、認知バイアスを利用し、データ対象者を操作して、より多くの、あるいはより繊細な個人データを共有させようとします。
プライバシーにおけるダークパターンは、企業がウェブサイトやアプリのユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェースを通じて、どのようにプライバシー保証を導入するか(あるいは導入しないか)という研究の一部です。
私が以前に述べたように、多くの企業がプライバシーにおけるUXを軽視し、プライバシーを保護するための対策とは関係のないものとして扱っています。
これは、ニュースレターで説明したように、不適切なアプローチであり、高額な罰金を科される可能性があります。
私の、プライバシーに関するダークパターンの分類法の例をいくつかご紹介します。
目次
A.圧力
これはユーザーに製品やサービスの利用を継続させるため、より多くの(またはより詳細な)個人データを共有するよう促すことです。
以下はよくあるケースです。
- 許可への圧力
- 売り込みの圧力
- 共有することへの圧力
- 確認することの圧力
これは、あるECサイトの例です。
最後の文章で、ユーザーを「お金を節約するのが嫌いな人」というゆがんだ視点からとらえることで、ユーザーにメールアドレスを共有するように求めています。
売り込みメールの圧力の例
B.妨害
ユーザーがプライバシーを保護する行動をとるのを遅らせたり、非表示にしたり、困難にしたりすることです。
以下がよくあるケースです。
- 困難な拒否
- 困難な設定
- 困難な削除
- プライバシー侵害のデフォルト
以下はドイツの大手ニュースメディア、Der Spiegel誌の例です。
このサイトでは、広告付きのウェブサイトを読み続けることができ、いつでもその同意を取り消しができることが保証されてます。
妨害の例(その1)
ただし、同意を取り消すには、ページを下までスクロールし、小さな「Datenschutz(₌データ保護)」リンクを見つけ、同意を解除する必要があります。
妨害の例(その2)
そして、ここからが本題です。
右にあるオレンジ色のボタンで同意を解除すると、新聞にアクセスできなくなり、再び最初のバナーに飛ばされます。
つまり、最初のバナーでは明確になっていませんが、ユーザーは彼らをフォローしないと、新聞に無料でアクセスすることは不可能なのです。
妨害の例(その3)
C.惑わす
これは、プライバシーに関する行動を取る際に、ユーザーを誤解させるような言葉、形式およびインターフェース要素を使用することです。以下がよくあるケースです。
- 曖昧にする
- 二重否定
- ひねりを効かせる
- 難読化
- 不明瞭
- フレーム化する
これはTikTokアプリの例ですが、質問は2つで、ボタンは1つだけです。
18歳以上で、広告表示を許可しない場合はどうすればよいですか?
こちらには選択の余地はありません。
ユーザーを惑わせる例
D.虚偽表示
これは、事実を偽り、ユーザーが意図した以上の、(あるいはより繊細な)個人データを共有するように誘導することです。
以下がよくあるケースです。
- 虚偽の必要性
- 誤った実績改善
- 虚偽の正当な利益
- 必要不可欠なクッキーの虚偽表示
以下はCool Blueの例です。
ユーザーがクッキーを拒否した場合、”機能的かつ分析的なクッキーとそれに類似した技術のみを使用する “と書かれています。
ただし、機能的および分析的なクッキーは、必ずしも必要なクッキーではないため、ユーザーが拒否した場合は使用するべきではありません。
クッキーの虚偽表示の例
このプライバシー分類法のダークパターンについての詳細や、私がどのようにこの分類法を開発したかについて興味のある方は、私の学術論文をご覧ください。
Privacy Whispererをお読みの方ならご存じだと思いますが、私は、ダークパターンにアプローチする既存の法律は不十分であり、抽象的すぎると考えています。
興味深いことに、規制当局やデータ保護当局は、不十分で抽象的な法律にもかかわらず、特にデザインにおけるプライバシー、デザインおよび規定事項によるデータ保護(GDPR第25条 – CNIL対Discordのケース参照)、プライバシーに関する約束(FTC (連邦取引委員会) 対BetterHelpのケース参照)という考え方を通じて、プライバシーにおけるダークパターンを見つけ、罰金を科そうと躍起になっています。
プライバシーにおけるダークパターンは、依然として存在するもので、罰金はこれからも出てくるでしょうし、このニュースレターでも、それについて議論することが多くなることでしょう。