空間清浄器「j.air」が景品表示法違反─171万円の課徴金命令、ダークパターンのリスクが顕在化

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「うちは実験データに基づいているから安心」─そんな思い込みが、実は消費者を誤解させているかもしれません。

2024年6月、消費者庁が空間清浄器「j.air」に対して出した景品表示法違反の課徴金命令は、表示がダークパターンと受け取られるリスクのある時代を象徴しています。

「j.air」販売に課徴金命令-実験表示の誇張が問題に

消費者庁は2024年6月13日、株式会社フォレストウェル(神奈川県横浜市鶴見区)が販売する空間清浄器「j.air」について、景品表示法違反(優良誤認)により課徴金171万3,000円の納付命令を出しました。

実際の商品画像(出典:J air公式サイト)

実際の商品画像(出典:J air公式サイト)

問題となったのは、2021年9月2日から2023年4月30日までに販売された商品に掲載されていた以下のような表示です:

  • タバコ粉塵:98.9%除去
  • 花粉:93%除去
  • 各種菌:99.9%除菌
  • 硫化水素:99.9%除去
  • アンモニア:82%除去

花粉対する除去性能(フォレストウェルの商品画像キャプチャ:消費者庁の報道資料から抜粋)

これらの効果は、試験条件下の結果(密閉空間での実験)に基づくもので、実際の使用環境での効果を示すものではないと消費者庁は指摘。

注釈として「実使用空間での実証効果ではない」と記載されていたものの、それだけでは合理的な根拠とは認められないと判断されました。

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実験データだけでOK?─表示と実環境のギャップがダークパターンに

密閉環境で得られた数値を、そのまま生活空間でも再現できるように見せる表現は、消費者の期待を誤らせます。

これは、ユーザーの意思決定に影響を与える誤認誘導型ダークパターン(Misleading Patterns)に該当する可能性が高く、法的リスクと同時に信頼失墜のリスクもはらみます。

誤認誘導型ダークパターン(Misleading Patterns)とは?

「実際には存在しない機能や効果を信じ込ませて、購入や使用を促す」パターンで、消費者を誤認させる設計、つまり典型的なダークパターンの一種です。

ユーザーにどう見える?──表示構成が誤った期待を与える設計に

ほんの小さな言い回しやレイアウトの工夫が、思わぬ「誤認表示」や「ダークパターン」と見なされることがあります。実際の処分事例を知る今が、見直しのチャンスです。

「j.air」の表示で問題視されたのは次のような点です:

  • 効果数値が大きく、目立つ形で掲載されていた
  • 実験条件に関する注釈は小さく目立たなかった
  • 結果的に、家庭やオフィスでも同等の効果が得られるという誤った印象を与えていた
菌Aに対する除去性能

菌Aに対する除去性能(フォレストウェルの商品画像キャプチャ:消費者庁の報道資料から抜粋)

このような構成は、ユーザーに誤った期待を与える設計となり、購入へ誘導する仕組み──つまり意図的な設計(ダークパターン)と見なされる恐れがあります。

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中小企業が今から実践できる3つの対策ポイント

1.「実使用環境での根拠」を用意する

限定的な試験結果だけでなく、生活環境を想定した検証データを用意・公開することで、表示の信頼性が増します。

2. 強調表現と注釈のバランスを見直す

数値の大きさや言葉の選び方に注意し、必要な注意書きは見やすく明確に記載しましょう。

改善の進め方:「事業者向けの取り組みガイド」

3. サイト全体の設計を点検する

UI/UX含めたデザインが、誤認や過度な期待を抱かせていないか確認が必要です。チェックリストの活用も有効です。

無料チェックリストで診断:「ダークパターンチェックリスト」

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消費者庁も警鐘、ダークパターンの広がりに注目

2025年の消費者庁調査では、102の国内サイト中、多くでユーザーの意図を誘導する設計が確認されました。中小企業でも1サイトに10種類以上のダークパターンが含まれていた事例もあり、早急な改善が求められています。

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まとめ

・実験室の結果を強調するだけの表示は、景表法違反やダークパターンとみなされる可能性がある

・消費者の誤認を招かないよう、注釈の見せ方やサイト設計の改善が不可欠

・自社の表示が法令・倫理の両面から見て適切か、今すぐ確認を。

 

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出典:フォレストウェルに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について(消費者庁)

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