【改正薬機法2025】無人販売の市販薬に潜む「ダークパターン」のリスクと中小企業の備え

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2025年5月14日、国会において薬機法改正 2025が可決され、正式に成立しました。これにより、薬剤師や登録販売者が不在のコンビニでも、条件を満たせば市販薬を販売できる制度が導入される予定です。厚生労働省の発表によれば、ICT(情報通信技術)を活用した遠隔管理や販売記録の保存などが求められる見通しです。

今回の改正は、薬剤師が常駐しない店舗での医薬品販売を可能にする点で注目されており、政府による閣議決定を経て、国会での審議と可決を経た上で制度化が進められました。

こうした制度の導入は利便性向上に寄与する一方、設計次第ではユーザーに不利益をもたらすダークパターンにつながる懸念もあります。本記事では、法改正のポイントを整理するとともに、中小企業が取り組むべき具体策をわかりやすく解説します。

無人販売の解禁は新たな機会、だが設計リスクも

今回の薬機法改正ポイントの一つとして、薬剤師・登録販売者が常駐していない店舗でも、一定の条件を満たせば一般用医薬品(OTC医薬品)の販売が可能になるとされています。厚生労働省が示した主な条件は次のとおりです:

  • オンラインによる有資格者の情報提供および一部医薬品のオンライン販売(薬機法改正 オンライン服薬指導)
  • 同一都道府県内の薬局との連携体制
  • 購入記録や説明内容の保存
  • 20歳未満への販売制限(特に咳止め薬など、乱用リスクのある医薬品)

これらの詳細な運用ルールについては、今後、政省令などを通じて定められていく見通しです。

WEBサイトでの販売条件次第ではダークパターンの懸念も

副作用情報の表示が目立たない

副作用や使用上の注意事項が目立たない場所に表示されていたり、折りたたまれた形式で隠されていたりすると、ユーザーが重要な情報を見落とす可能性があります。こうした設計は、情報を意図的に隠す「ダークパターン」と見なされるおそれがあります。

年齢確認が形式的になるおそれ

制度上、20歳未満への販売が制限される医薬品がありますが、生年月日の入力のみで確認が完了するような設計では、確認の実効性が不十分になる可能性があります。販売店舗や登録販売者には、年齢確認が確実に行われる仕組みの導入が求められます。

過剰な購入を促す誘導UI

ワンクリック購入やまとめ買い割引などの仕組みは、利便性向上につながる一方で、本来必要のない量の医薬品を購入させてしまう危険性もあります。薬は日用品とは異なり、使用目的や量の管理が重要であるため、誘導が過剰と受け取られることがあります。

ユーザーの意思決定を不当に誘導する設計は、UX(ユーザー体験)の観点からもダークパターンと評価される可能性があり、中小企業としては、利便性と安全性のバランスに配慮したUI設計が必要です。

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オンライン服薬指導とダークパターンのリスク

要指導医薬品(副作用リスクが高いため特別な説明が必要とされる市販薬)の一部について、安全性などが確認されたものはオンラインでの服薬指導・販売が可能になるとされています(薬機法改正 要指導医薬品)

ただし、対象範囲は今後政省令で定められる予定であり、緊急避妊薬などは引き続き対面販売が必要となる見通しです。

服薬指導の手段が「チャットのみ」や「自動応答のみ」に限られると、特に高齢者やデジタルに不慣れな方にとって、必要な情報を十分に得られない可能性があります。このような設計も、選択肢を意図的に狭めるダークパターンと捉えられることがあります。

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中小企業が講じるべき対応策

1. わかりやすい情報提示の設計

副作用や使用上の注意などの情報は、文字サイズ・配色・レイアウトを工夫し、誰にでも理解しやすく提示することが重要です。詳しくは企業向けチェックリストを参照ください。

企業向けチェックリスト

2. 実効性ある年齢確認の導入

マイナンバー連携や本人確認書類のアップロードなど、確実に年齢を確認できる仕組みを取り入れることが望まれます。形式的な確認にとどまらない対策が必要です。

3. 自主的な選択を尊重するUX設計

UX設計においては、購入数の初期値設定や推奨商品の表示順などに配慮し、ユーザーが自分の判断で選べる構造とすることが求められます。

4. 多様な問い合わせ手段の確保

有人チャット、電話対応、店舗での案内など、年齢やスキルに応じて複数の相談手段を用意することが、ユーザー満足度の向上と誤解防止に寄与します。

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制度は「使い方次第」—信頼設計こそ差別化の鍵

今回の薬機法改正 2025 施行は、無人販売による市販薬の入手性を高める一方、UI・UX設計次第では企業の信頼性を損なうリスクもはらんでいます。

中小企業にとっては、単に制度に従うだけでなく、「ユーザーの安全と納得を最優先に考えた設計」を行う姿勢が、長期的な信頼構築に繋がります。

まずは、自社のサイトや購入フローにダークパターンが潜んでいないかを見直すことから始めましょう。

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#薬機法改正2025 #市販薬販売 #ダークパターン #中小企業対策 #オンライン服薬指導

参考:

厚生労働省:薬機法等制度改正に関するとりまとめ

厚生労働省:令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について

 

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