ライティング

ユーザーに気づかせずに情報を取得するUIは問題でしょうか?

Q
ライフスタイル系アプリのチュートリアル画面を設計しています。
「好みのスタイルを選ぶ」といった軽い操作を通じて、実質的にマーケティング用の情報を取得する仕組みになっていますが、このような設計は問題視される可能性があるでしょうか?
A
ユーザーに情報を入力していることを気づかせずに取得するUIは、重大な問題をはらんでいます。
このような手法は「隠れたデータ収集」や「ステルス情報取得」と呼ばれるダークパターンの一種であり、ユーザーの情報的自己決定権を侵害します。

たとえば、エンタメ要素のある診断コンテンツやクイズを装いながら個人情報や興味関心データを収集したり、登録フォームの一部に見せかけてユーザーから無意識のうちにプロファイル情報を得るといった設計は、明示的な同意を得ないまま情報を取得している状態です。
こうした手法は、ユーザーに「騙された」という印象を与えやすく、信頼を大きく損ないます。

また、EUのGDPRやカリフォルニア州のCCPA、日本の個人情報保護法など、多くの法制度においては、個人情報の収集には明確な同意が必要とされています。
気づかせずに情報を取得することは、これらの法律に違反する可能性が高く、企業にとっても法的・ reputational リスクが伴います。

誠実で透明性のあるUIを設計するためには、以下のポイントが重要です。

1. 情報をどのような目的で取得するのかを、事前にわかりやすく説明する

2. ユーザーの明示的な同意を得てから情報を収集するようにし、チェックボックスなどで明確な操作を促す

3. 収集項目は必要最低限にとどめ、段階的に必要な場面でのみ追加情報を求める

4. 情報を提供することのメリット(例:より精度の高いレコメンドなど)をユーザーに提示する

5. 提供した情報の確認・修正・削除ができるコントロール機能をユーザーに提供する

このように、ユーザーの認知と同意を前提とした設計は、短期的なデータ取得効率よりも、長期的な信頼関係の構築に大きく寄与します。
ユーザーが安心して使えるUIこそが、持続可能なサービス運営の基盤となります。

解説

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