情報設計

サイト内の商品を「残りわずか」と偽るUIは問題ですか?

Q
アパレル系ECサイトの商品一覧ページを設計しています。
一部の商品に「残りわずか」と表示する案がありますが、実際の在庫とは連動していません。
このUIが誤認を招き、信頼性や法的な面で問題になることはないでしょうか?
A
「残りわずか」という表示は、適切に管理されていない場合、ユーザーに誤解を与えるリスクがあり、信頼性の面で大きな問題につながることがあります。
このような表現は「偽装された希少性」や「人工的緊急性」と呼ばれるダークパターンに該当し、ユーザーの購買判断を意図的に焦らせることで不本意な購入を誘導する可能性があります。

特に問題なのは、実際の在庫状況とは無関係に常に「残りわずか」と表示されていたり、「わずか」の定義が曖昧だったりするケースです。
ユーザーが「いつ見ても残りわずか」「何回見ても売り切れない」と感じた瞬間、その情報の信頼性は一気に損なわれます。
そしてその不信感は、他の表示やブランド全体に波及する可能性があります。

さらに、多くの国では誤認を招く価格表示や在庫表示が消費者保護法や景品表示法の規制対象となっており、実態と異なる「残りわずか」表示は法的リスクも抱えることになります。

信頼性と透明性のある表示にするためには、以下のような改善策が有効です。

1. 「残りわずか」ではなく、「残り5点」「在庫あと3個」など、具体的かつ検証可能な数値を表示する

2. 表示される在庫情報は実際の在庫システムと連動させ、リアルタイムで更新されるようにする

3. 「残りわずか」と表示する基準(例:在庫10%以下)を社内で明確に定義し、表現の一貫性を保つ

4. 「人気商品のため在庫に限りがあります」など、事実に基づいた補足情報を加えることで納得感を高める

5. 赤字・点滅・カウントダウンなど過剰な演出は避け、冷静な判断ができる表示スタイルにする

このように、誠実な在庫表示は一時的な売上よりも、ユーザーの信頼を得て長期的な関係性を築くために不可欠です。
ユーザーにとって「正しい情報を基に判断できる」ことこそが、持続可能なECやサービス運営の基本です。

解説

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