ライティング

「キャンセル」ボタンの意味が不明確だと誤操作を招きますか?

Q
オンラインイベント予約サイトを設計しています。
予約キャンセル時のダイアログで「OK」と「キャンセル」のボタンを並べる案がありますが、「キャンセル」が二重の意味にとれて混乱を招かないか心配です。
こうした場面では、どのようにボタン表記や文言を工夫すべきでしょうか?
A
「キャンセル」操作を確認するダイアログで「OK」と「キャンセル」というボタンを用いると、ユーザーにとって非常に紛らわしくなります。
これは「意図的な混乱」や「曖昧な選択肢」といったダークパターンの一種であり、ユーザーの意思決定を妨げる原因となります。

たとえば、「本当に予約をキャンセルしますか?」というに対して、「OK」を押せばキャンセルを実行し、「キャンセル」を押せばキャンセル操作を中止する──という構造は、論理的には正しくても直感的には分かりにくく、特に焦っている状況やモバイル操作時にはミスを誘発しやすい構造です。

この混乱の大きな要因は、「キャンセル」という言葉が「処理のキャンセル」と「キャンセル操作自体の取り消し」という二重の意味を持つためです。
ユーザーは操作意図とラベルの意味を瞬時に一致させる必要があり、それが認知的な負荷を生み出します。

この問題を避けるためには、以下のような改善策が有効です。

1. 「OK/キャンセル」ではなく、「キャンセルする」「戻る」など、具体的で文脈に即した動詞を用いる

2. 「はい、キャンセルします」「いいえ、このままにします」など、完全な文で選択肢を提示する

3. ボタンに視覚的な補助(例:×や✔︎のアイコン)を加え、選択内容を視覚的に補強する

4. システム全体で「キャンセル」の使い方に一貫性を持たせ、誤解を生まないようにする

5. ユーザーにとって最も安全な選択(操作の中止など)をデフォルトに設定する

このようなデザイン上の工夫により、ユーザーはより明確かつ安心して操作できるようになり、意図しないミスやストレスを大幅に減らすことができます。

解説

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