特定のボタンだけ目立たせるUIはユーザーの判断を歪めてしまいますか？

特定のボタンだけを意図的に目立たせるデザインは、「視覚的階層操作」や「視覚的誘導」と呼ばれるダークパターンに該当する場合があり、ユーザーの判断を無意識のうちに歪める恐れがあります。
たとえば、解約ページで「続ける」ボタンだけが目立ち、「解約する」ボタンが薄い文字で目立たない場所に配置されている場合、ユーザーは意図しない選択をしてしまう可能性があります。

こうした視覚的なバイアスは、短期的には解約防止やコンバージョン向上といった効果があるかもしれませんが、長期的には「騙された」「不誠実なサービスだ」という印象を与え、信頼を損ねる結果につながります。
特に近年は、消費者庁などがこうしたUXデザインに対しても注視しており、透明性と選択の公平性が求められています。

ユーザーの自律性を尊重し、公平な選択環境を整えるためには、以下のような配慮が必要です。

1. すべての選択肢に視認性のバランスを持たせ、操作ボタンの色や大きさを意図的に偏らせない

2. 行動の結果が直感的にわかるように、「登録」「解約」など具体的なラベルを使用する

3. 異なる機能のボタンに色分けを行う場合も、視認性が均等になるよう工夫する

4. ユーザーテストを行い、実際にユーザーが意図通りの選択をできているかを検証する

5. 「自分がユーザーだったら公平に選べるか？」という視点を持ってデザインを見直す

このような配慮を取り入れることで、ユーザーにとって信頼できるインターフェースを提供でき、ブランド価値の向上にもつながります。
公平な選択肢こそが、長期的な顧客関係を築く第一歩です。