インド中央消費者保護局が規制する13種類のダークパターン

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Deepshika Sakthivel

Deepshika SakthivelNew Guidelines On Sneaky Experiences On Digital Experiences, Launched By The Central Consumer Protection Authority.の著者であり、インド・チェンマイ在住のUXの専門家。プロダクトデザイナー、メンター、ストーリーテラー。

この記事はNew Guidelines On Sneaky Experiences On Digital Experiences, Launched By The Central Consumer Protection Authority.の翻訳転載です。著者のDeepshikaさんの許可を得て公開しています。ダークパターンの種類についてはこちら

 

中央消費者保護局が発表した、ネット上の卑劣な行為に関する新しいガイドライン

インド中央消費者保護当局は2023年11月30日、ダークパターンに関する予防と規制のガイドラインを発表しました。

中央消費者保護局によると、ダークパターンは、ユーザーを誤解させたり騙して、本来意図していないことや、やりたくないことをさせるように設計されたプラットフォーム上のユーザーインターフェイス、UXを使用した欺瞞的なデザインパターンを意味します。これは消費者の自主性や意思決定、選択を覆したり侵害するもので、誤解を招く広告や不公正な取引、または消費者の権利の侵害に相当します。

簡単な例を使って説明しましょう。チケット販売プラットフォームであるBookMyShowには、支払い額に慈善寄付が含まれており、チケット予約ごとに2インドルピーが請求されます。これはオプションですが、デフォルトで合計金額に追加されるようになっています。これがダークパターンです。

 

ガイドライン上の特定ダークパターンは13種類あります。この記事を読むことで、理解を深めましょう。

誤った緊急性

緊急性や希少性の感覚を誤って作り出し、即時購入や行動を促すことでユーザーを誤解させます。これには、製品の誤った人気を誇張する、数量限定を誇張する、時間制限を使用するなどの手法が含まれる場合があります。

ホテルの予約サイトに「残り5部屋です」と書かれている


例:

  1. 「残り2部屋のみ!他の 30 人が今これを見ています」というメッセージが表示され、適切な説明文なしで、需要の高い嘘のデータが表示される
  2. 銀行がカードを、選ばれたユーザーグループにのみ期間限定の「特別な」オファーであると説明するなど、購入に対する期限付きのプレッシャーを誤って作り出す


こっそりカゴにいれる

ユーザーの明示的な同意なしに、製品、サービス、慈善寄付などの追加のアイテムや料金をユーザーの決済画面に追加する行為を指します。その結果、ユーザーは最初に選択した製品またはサービスよりも多くの料金を支払うことになります。配送料や政府が定める税金など、開示されている必要な料金を含めることは、バスケットスニーキングにならないよう注意することが重要です。

カート画面に「慈善募金」が勝手に加算されている



例:

  1. ユーザーがサロンサービスを購入すると、決済時にサービスへのサブスクリプションが自動的に追加される
  2. Cleartripでは、ユーザーが航空券を購入する際に旅行保険を追加している

羞恥心の植え付け

これには、使われている文言、動画、音声、またはその他の方法を使用して、ユーザーの心に恐怖、恥、嘲笑、または罪悪感を植え付けることが含まれます。ユーザーに製品の購入やプラットフォームでのサブスクリプションの継続などの特定のアクションを強制するためです。羞恥心の植え付け「コンファーム・シェイミング」の背後には、利益のために消費者の選択を悪用する狙いがあります。

メールマガジン購読をやめる画面に「購読をやめると損をする」と思わせる文言が書かれている


例:航空券予約サイトで、ユーザーがカートに保険を入れていない場合に、「私は無保障のままです」というフレーズを使用する

強制的行為

ユーザーに対して、追加の商品の購入、関連のないサービスへの加入、または個人情報の共有を必要とする行為を強制することを指します。この強制は、ユーザーが本来意図した製品、またはサービスを購入、購読するための前提条件になっています。

会員登録ボタンの下に小さく「登録すると、プロモーションメールマガジンが送られることに同意する」と書かれており、同意しなければ登録ができない


例:

  1. 製品を購入するためにユーザーにニュースレターの購読を強制する
  2. ユーザーが購入した、または購入を予定している製品やサービスにアクセスするために、ユーザーに連絡先やSNSの詳細を共有するよう強制する

サブスクリプションの罠

有料サブスクリプションのキャンセルを分かりにくくすること、退会オプションを非表示にすること、無料サブスクリプションにもかかわらずユーザーに支払い方法の入力を要求すること、およびキャンセルのための不明瞭または混乱を招く指示を作成することなどが含まれます。

左:ダークパターン。月額プランの解約方法の表示は小さく「この電話番号に電話するように」と書かれている
右:倫理的なサイト。クリックで月額プランを解約できる

インターフェイス干渉

意図的に一部の情報に注意を引きながら、他の重要な詳細を隠してユーザーを意図したアクションから遠ざけるデザインのことです。

例:ポップアップ画面の右上隅にある「✕」アイコンは、広告を閉じるのではなく、別の広告を開くように誘導する

おとり商法(Bait & Switch)

ユーザーのアクションに基づいて特定の結果を宣伝しながら、別の結果を提供するという欺瞞的な行為です。

パソコン設定のアップデートを勧め、「アップデートしない」という選択肢はなく「分かりました」を選んでもアップデートが開始される


例:高品質の製品を安い価格で提供しているが、消費者が支払いまたは購入しようとしているときに、「その製品はもう入手できない」と述べ、代わりに見た目は似ているが、より高価な製品を提供する。

ドリッププライシング

価格の特定の部分が事前に表示されなかったり、ユーザーにこっそり明らかにされたりする、注意が必要な手法です。また、ユーザーが購入を確認した後でのみ、全額を開示することも含まれ、チェックアウト時に最初に表示された金額よりも高くなる可能性があります。場合によっては、製品やサービスを使い続けるために、アプリ内で購入する必要があることを明確にせずに、無料であると宣伝されることもあります。もう 1 つの卑劣な手段として、サービスの料金を支払ったものの、追加購入しない限りそのサービスを完全に使用できない場合もあります。

ただし、マーケットプレイス事業運営元は、販売者または制御不能な要因によって引き起こされる価格変更については責任を負わないことに注意しましょう。

1.買い物初期に示されている値段
2.チェックアウト前にユーザーは名前や電話番号、メールアドレスを入力しなければならず、それをしなければ最終金額が分からない。この場合は最初より29%も高額になっている。(Deceptive.Designより引用)

例:消費者が航空券を予約する際、チェックアウトページで価格をXとして表示し、支払いが行われると、価格Y(Xよりも高い) がプラットフォームによって請求される。

偽装広告

広告を、ユーザー作成コンテンツ、ニュース記事、偽広告など、さまざまなタイプのコンテンツとしてカモフラージュする方法です。その目的は、これらの広告をサイト全体と違和感なく融合させ、顧客を騙してクリックさせることです。

アンケート結果を表示させているように見せて、実際は広告へ誘導させている

しつこい要求

リクエスト、情報プロンプト、ポップアップなど、繰り返されるしつこい干渉によって、ユーザーが常に混乱や苛立ちを経験するダークパターンを指します。

アプリストアで評価をするようにと、何度もしつこくポップアップで要求する


例:Web サイト側がユーザーにニュースレターの購読や通知オンを求めるポップアップを繰り返し表示する。また、「いいえ」という選択肢もなく、通知やCookieオンを受け入れるかという要求が絶え間なく行われる。

ひっかけ質問

二重否定などの紛らわしい言葉を使用して、ユーザーが希望する選択から運営会社に利益をもたらすものに誤って誘導することを指します。

メールアドレスを登録させるフォームにもかかわらず「富を築きましょう」という分かりにくい文言を使っている。

SAAS課金

インターネット経由で利用できるクラウド上にあるソフトウェアやサービス形態 (Software-as-a-Service) ビジネスモデルで定期的に支払いを徴収する方法です。これには、サブスクリプションが繰り返し、継続的であるという性質を巧みに使用して、できるだけ目立たないようにユーザーからお金を集めることが含まれます。

ウェビナー機能の支払画面に「自動更新しない」というチェックボックスがある。これにチェックしなかった場合は、支払いは自動更新となる。


例:通知されずにユーザーのアカウントから料金が引き落とされる、またはユーザーに通知せずに自動更新される月額サブスクリプションを表示する、ユーザーには知らされないまま支払いが繰り返されていく

不正なマルウェア

ランサムウェアまたはスケアウェアを使用してユーザーを誤解させたり、コンピュータにウイルスがいると信じ込ませたりする手法です。マルウェアの駆除ツールの代金を支払わせると見せかけて、コンピュータにマルウェアをインストールさせる目的です。

例:海賊版Web サイト/アプリが消費者に無料のコンテンツ (オーディオ、オーディオビジュアルなど) を提供することを約束しているにもかかわらず、リンクにアクセスするとマルウェアが埋め込まれている

 

これらが、インド中央消費者保護局によって現在特定され禁止されているダークパターンです。

 

インドではダークパターン規制が強化されています。詳しくは以下のニュース記事をお読みください。

インドで電子商取引企業による「ダークパターン」の使用を禁止

インドのCCPA、購入者を惑わす「ダークパターン」に対するガイドラインを通知

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