デザインの欺瞞~インドの旅行テック、電子商取引のダークパターンに対する取り締まり~

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Ernesto Cohnen

ixigoの製品育成を担当するシニアヴァイスプレジデントである彼は、IT、プロダクトマネジメント、システム設計、ビジネスモデルなどあらゆる専門分野で活躍。現在は事業のためインドに在住している。

この記事はDeceptive By Design: India’s Crackdown on Dark Patterns in Travel Tech (and all e-commerces)の翻訳転載です。著者のErnestoさんの許可を得て公開しています。ダークパターンの種類についてはこちら

 

「お急ぎください!この価格で残りは2席のみ!」

オンラインで航空券を予約したことがある人なら、このようなメッセージを目にしたことがあるでしょう。

こうした宣伝は、コンバージョンを高めるために危機感をあおりますが、こうした売り込みが常に正しいとは限りません。

ダークパターンの世界へようこそ。

ダークパターンとは、UI/UXの仕掛けで、ユーザーを操作し、騙して意図しないことをさせるために使われる手法です。
あらかじめ選択されている追加オプションや、既定の選択肢のように見せかけた高額な後払いオプションなど、卑劣なチェックボックスを思い浮かべてみてください。

旅行業界では長い間、このようなやり方を批判されてきました。



しかし、インドでは今、抵抗を開始しました。

最近導入された「ダークパターンの防止と規制のためのガイドライン(2023年)」では、虚偽の緊急性、定期購入の罠、おとり商法など、よくあるダークパターンを禁止しています。

オンライン旅行代理店(OTA)を含め、インドで組織的にサービスを提供するプラットフォームでは、こうした欺瞞的な手法を合法的に展開することはできなくなりました。

オンライン旅行代理店(OTA)が今、考え直さなければならないいくつかのダークパターンを見てみましょう。

虚偽の緊急性

「チケットは残り2枚です!」「このホテルはこの1時間で10人が閲覧しました」といったメッセージは、偽りの希少性を作り出すことを目的としています。
しかし多くの場合、その主張を裏付けるリアルタイムでの在庫証明がありません

旅行において希少性は実際にあり得ますが、FOMO(Fear of Missing Out:見逃したり取り残されたりすることへの不安)を明確に操作することは倫理的な問題を引き起こしかねないでしょう。

こっそりと隠されたコスト

魅力的な低価格を前面に出し、予約の流れの後半で隠れた手数料で不意打ちにすることは、多くの旅行者がオンライン旅行代理店(OTA)に対して抱く不満のひとつでしょう。

こうした「ドリップ・プライシング」のダークパターンは、インドの新しい規則に違反する可能性があります。
今後企業は、税金やサービス料のような必須の料金を、前もって表示する必要があります。

定期購読のこっそり申し込み

予約フローに埋もれている、会員制プログラムや付加保険の選択チェックボックスは、今後消えるかもしれません。

新しいガイドラインでは、明示的な同意なしに、事前にチェックされたサインアップや購読を禁止しています。
また、無料お試しキャンペーンには、キャンセル方法に関する明確な情報開示が必要です。

注目を集めるナッジ

ポップアップ通知によって、カートの中身がまだ残っていたり、アプリのダウンロードを催促されたりすると、気が散って迷惑ですよね。

ナッジ(無意識のうちに誘導すること)は違法であり、露骨なしつこい口説き文句は、オンライン旅行代理店(OTA)によって調整される必要があるでしょう。

OTA(オンライン旅行代理店)にとって、ダークパターンの排除は単なるコンプライアンスを意味しているわけではありません。
そこには、倫理的なデザインと透明性を通じて、顧客の信頼を高めるチャンスがあるのです。

もちろん、ビジネスのニーズとユーザーエクスペリエンスのバランスを取ることは、容易なことではありません。

コンバージョン率の最適化実験を行っている社内のチームは、おそらく最も大きな影響を受けるでしょう。

感情的な操作によって、衝動買いや会員登録を促すことを目的とした実験は、中止せざるを得ないかもしれないからです。
しかし、正当な手法によってユーザーの導線やサイトの構成を最適化する余地は依然として残っています。

UX の先駆者たちがよく言うように、最も倫理的な顧客体験とは通常、最もスムーズなものです。

インドの新しいダークパターンのルールは、旅行会社にとってビジネスの成長とユーザーのニーズを一致させる絶好の機会です。
ユーザーをだますことだけがコンバージョン率をあげる道ではないのです。

ixigoでは、UXと顧客がすべてであり、信頼できる双方向のコミュニケーションが不可欠です。

開発チームにおける影響力

  • コンバージョン最適化の実験を行う開発チームにとって、新しいルールはある種の実践を制限する。意図的に心理的な弱点を引き起こさせることはできない。
  • 例えば、レイアウトの変更やユーザー導線の簡素化など。ただし、ダークパターンとして認定されるような操作には近づかないこと。
  • 価格、利用規約、キャンセルなどの開示において透明性を保つこと。ユーザーの選択に影響を与える重要な情報は隠さない。
  • 疑問がある場合は、そのテストが規制に準じているかどうか、法務/政策チームに相談すること。用心するに越したことはない。
  • 倫理的なデザインを徹底することで、消費者の信頼と信頼を築くチャンス。これは最終的に企業の成長にもつながる。

私の結論

あなたはマネージャーとして、すべての試みを見直し、あらゆるところに注意を払いましょう。
これはオンラインおよびオフラインの事業に影響を与えます。

ダークパターンのガイドラインがどのようにオンライン旅行代理店(OTA)の開発チームの実験に影響を与えるのかを逐一確認してください。
コンプライアンスは不可欠ですが、それでも倫理的な成長はできるのです。

消費者保護を積極的に実施することで、ブランドがより誠実で透明性の高い経験をし、製品を健やかに成長させるチャンスにきっとつながるでしょう。

 

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